【マキタに下請法違反勧告へ】 金型3000個を無償保管させた構造問題──製造業に広がる「見えない負担」
電動工具最大手のマキタが、下請法違反の疑いで公正取引委員会から勧告を受ける見通しになった。発注見通しのないまま、商品の製造で使う金型およそ3000個を下請け約80社に無償で保管させていたとされる問題だ。
保管費用は2500万円超。マキタはすでに全額を支払い、不要になった金型の回収や廃棄も進めている。それでも公取委が勧告に踏み切る背景には、「事後補填では済まない構造問題」がある。
金型は製造の要であり、保管にはスペース、人員、管理費など見えないコストがのしかかる。発注予定のない金型を抱え込めば、下請け企業には単なる“倉庫代わり”の負担が発生し、資金繰りを圧迫する。今回、80社に及ぶ広範囲で同様の状況が生じていた事実は、下請け側が断りにくい力関係に置かれていた可能性を示す。
下請法は、こうした「不利な取引慣行」を防ぐために設けられた制度だ。補償すれば問題が解消する性質ではなく、構造自体が違反にあたる。公取委が重視したのはまさにこの点とみられる。
今回のケースは、マキタに限らず日本製造業に根強い“親企業優位”の商習慣が表面化した象徴とも言える。需要変動のリスクを下請けに押しつける、保管・管理などの「見えないコスト」を下請けに負担させる──こうした慣行は今も各所に残っており、政府は近年、是正に向けた監視を強化している。
世界的ブランドのマキタにとっても、コンプライアンスやサプライチェーン管理は企業価値に直結する時代だ。今回の勧告は、単なる法令違反の指摘にとどまらず、**取引の透明性と対等性を企業が再点検する必要性**を突き付けたものといえる。






