東海経済1月レビュー 消費は堅調、製造業と中小企業に逆風

2026年1月の東海経済は、「緩やかな回復」を維持しながらも、製造業の生産調整や海外情勢の不透明感を背景に、足踏み感が一段と意識される局面となった。統計や企業動向を総合すると、消費と雇用に明るさが見える一方で、地域の基幹産業と中小企業を取り巻く環境はなお厳しい。
景況判断では回復と停滞の二極化が鮮明だ。日本銀行のさくらレポート(1月)や中部経済産業局の総括判断は「緩やかに持ち直している」とした。ただ実態を見ると、輸送機械を中心に製造業の生産は伸び悩み、企業の景況感(BSI)はゼロ近辺まで悪化。2026年1~3月期にマイナス転換を見込む声も出ている。一方、名古屋駅周辺の百貨店売上やインバウンド需要は堅調で、愛知県内の実質賃金が2カ月連続でプラスとなるなど、家計の購買力には改善の兆しが見られる。
地域経済の中核である自動車産業では、次世代へのシフトと増産計画が並走する。トヨタ自動車は1月、次世代モビリティ「e-Palette」を自治体などへ納車し、2027年の自動運転レベル4実現に向けた社会実装を進めた。年明け以降は受注残解消に向けて国内生産の増加を計画するが、米国の通商政策を巡る関税リスクなど外需の不透明感が、輸出動向の重しとなる可能性がある。
一方で、企業倒産の増勢は警戒材料だ。1月中旬に公表された2025年通期の東海3県の倒産件数は971件(前年比8.5%増)と、2013年以来の高水準に達した。業種別ではサービス業が最多だが、人手不足と資材高騰が続く建設業も高リスク状態が続く。コロナ期の実質無利子・無担保融資、いわゆる「ゼロゼロ融資」の返済本格化に伴う資金繰り悪化が、息切れ倒産として表面化している。
地域活性化に向けた動きも進む。名古屋市は1月26日、丸紅およびパーソルHDと、市内企業のグローバル化推進に関する協定を締結した。中小企業の海外進出、とりわけベトナムなどアジア圏への展開を支援し、工業団地の入居優遇や高度外国人材の採用を後押しする。製造業の「脱・国内依存」を促す施策として注目される。
総じて1月の東海経済は、賃金上昇を背景に消費の芽が育つ一方、海外リスクと倒産増という逆風が同時に吹く展開だった。基幹産業の動向と中小企業の資金繰りの行方が、春先にかけての地域経済を左右する。





