エディー・バウアー北米店舗運営会社が破産申請 ブランドは生き残るが、実店舗は岐路に
米老舗アウトドアブランド「エディー・バウアー」の北米店舗運営会社が、米連邦破産法の適用を申請した。2005年、2009年に続く3度目の破産で、ブランドの不振というよりも、現代の小売業が抱える「構造的な歪み」が改めて浮き彫りになった形だ。
なぜ3度目の破産に至ったのか
今回の最大の要因は、外部環境の急変と競争力低下が同時に進んだ点にある。
第一に、米国の輸入関税を巡る不確実性だ。アウトドアウェアは海外生産への依存度が高く、関税コストの増加は原価を直撃した。
第二に、競合との差別化に失敗したことが挙げられる。北米市場では「Patagonia」や「The North Face」が環境配慮や機能性で若年層の支持を拡大する一方、エディー・バウアーは「往年の定番」から脱却できなかった。
第三に、不採算な実店舗網の存在だ。コロナ禍で一時的に高まったアウトドア需要が一巡する中、賃料や人件費、在庫負担が経営を圧迫し続けていた。
「ブランド消滅」ではない理由
注目すべきは、今回の破産がブランドそのものではなく、北米の店舗運営会社に限定されている点だ。
ブランドの知的財産権は、世界的なブランド管理会社「Authentic Brands Group」が保有しており、破産の対象外。オンライン販売や卸売は別のライセンス先が担っており、継続される。
仮に北米の実店舗が清算に向かっても、ブランド自体はライセンス先を切り替えながら存続する可能性が高い。これは近年の米小売業で一般化している「ブランドと店舗の分離」モデルの典型例だ。
日本市場への影響は限定的
日本の消費者にとって最大の関心事だが、日本のエディー・バウアー事業への直接的な影響はない。
日本では、北米の店舗運営会社とは異なる枠組みで事業が行われており、再上陸時には「伊藤忠商事」などが関与している。今回の破産申請は米国・カナダの実店舗に限定され、日本を含む海外ライセンシーの店舗は対象外とされている。
業界への示唆
今回の破産は、「有名ブランド=安泰」という時代の終焉を示す象徴的な事例だ。ブランドは金融資産として生き残る一方、実店舗は収益性次第で切り離される。
小売業界では今後も、地政学リスクや関税、インフレを背景に、ブランドは残るが店舗は消えるという再編が加速するとみられる。エディー・バウアーの動向は、その最前線を映すケースと言えそうだ。





