【福井】鯖江市のマルヨシ漆器店が破産 負債約7億円 ピーク年商12.6億円から3000万円へ
福井県鯖江市莇生田町のプラスチック製漆器販売会社「(株)マルヨシ漆器店」が、福井地方裁判所から破産手続き開始決定を受けた。負債は債権者約10人に対し、約7億600万円とみられている。
同社は1965年創業。関連会社が製造する椀、皿、弁当箱などを扱い、学校給食をはじめ病院、介護施設など業務用市場を中心に全国の漆器問屋へ販売してきた。
ピーク年商12億円超から3000万円まで縮小
マルヨシ漆器店は、1994年には年商約12億6000万円を計上するなど、業務用漆器の販売会社として一定の事業基盤を築いていた。
しかし、その後は少子化による学校給食用食器の需要減少に加え、安価な海外製品との競争が激化。受注は長期的に減少し、2022年の売上高は約3000万円まで落ち込んでいた。
さらに新型コロナ禍による営業環境の悪化や原材料価格の上昇が収益を圧迫。過去の設備投資に伴う借入金も重荷となり、長期にわたる売上減少のなかで財務負担が膨らんでいた。
破綻のポイント: 今回の破綻は単なる原材料高によるものではなく、学校給食向け需要の縮小、海外製品との価格競争、売上減少、借入負担という長期的な構造問題に、コロナ禍や原材料高が重なったものとみられる。
関連会社の貨泉プラスチツクも破産
マルヨシ漆器店の商品供給を担っていた関連会社「貨泉プラスチツク(株)」も、すでに経営破綻している。
貨泉プラスチツクはABS樹脂製の椀や皿、お盆、弁当箱、学校給食・病院向けの耐熱食器などを製造していたが、2024年3月に福井地裁から破産手続き開始決定を受けた。負債は約5億円だった。
マルヨシ漆器店では債務整理を進めていたものの、債権者との調整がまとまらず、最終的に今回の破産手続きに至ったとされる。
※両社間で債務整理が行われていた経緯があるため、両社の負債額を単純に合算した数字は記載していない。
業務用漆器で全国有数の鯖江 地場産業にも逆風
鯖江市を中心とする越前漆器産地は、伝統的な木製漆器だけでなく、飲食店やホテル、学校、病院、介護施設などで使用される業務用漆器の一大産地でもある。
福井県によると、越前漆器は業務用漆器製造で全国の約8割を占める国内有数の産地である。
一方で、業務用市場でも生活様式の変化や人口減少、安価な輸入製品との競争など事業環境は変化している。特に学校給食など公共・施設向け需要は少子化の影響を受けやすく、従来型の大量供給を前提とした事業モデルには厳しさが増している。
鯖江市ではプラスチック製品関連の倒産も
鯖江市では2026年1月にも、業務用漆器やプラスチック製品を製造していた「窪田プラスチック」が破産している。
同社は1993年には年商約6億3000万円を計上していたが、漆器業界からの受注減少や採算悪化などから、2025年には約2億7000万円まで売上高が縮小。資金繰りの見通しが立たず事業継続を断念し、負債約8600万円を抱えて破産した。
個々の企業で破綻に至った事情は異なるものの、鯖江市の業務用漆器・プラスチック加工関連企業で相次いで企業退出が表面化している点は注目される。
伝統産地、価格競争から高付加価値化へ
越前漆器は長い歴史を持つ一方、現代の産地は伝統工芸品だけでなく、業務用食器や樹脂製品など幅広い市場を支えてきた。
しかし、人口減少や少子化による国内需要の縮小、海外製品との価格競争、原材料・人件費の上昇など、中小製造・販売会社を取り巻く経営環境は厳しい。
今回のマルヨシ漆器店の破産は、一企業の経営問題にとどまらず、価格と数量を軸としてきた業務用市場が転換期を迎えていることを示す事例ともいえそうだ。産地には今後、従来の業務用市場を維持しながら、高付加価値商品や新たな需要の開拓を進められるかが問われる。
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