中国に喰われる韓国の優位性 残るは半導体分野のみ
韓国では、世界トップの座を守っている産業はメモリー半導体だけで、その他の分野では中国がシェアを握ってしまったと報じている。
韓国はかつて中国より優位だった、鉄鋼、石油化学品、一般機械、造船、二次電池、ディスプレー、自動車などがことごとく追い抜かれ、今や優位性を持つのは半導体分野のみとなっている。
それも米国による中国制裁により、中国が日米の最新半導体製造装置やオランダのASML最先端の2ナノ極端紫外線露光装置の輸入ができず、半導体だけはHBMの製造開発力および製造力において韓国がまだ優位に立っている。
中国で造れるモノはいずれすべて中国が市場支配する。ニッチな分野しか残らない。
日経が調査した世界の主要製品・サービス67品目を対象とする2025年の世界市場シェア調査の結果は、中国企業は37品目で世界トップ5社に入り、そのうち約7割に当たる25品目で前年よりシェアを拡大したという。
世界シェア首位の品目数では、
米国が前年より▲4品目減少し23品目で最多だった。中国は1品目増の19品目となり、米国に追っている。
中国の躍進が最も顕著だったのは、
★車載リチウムイオン電池市場では、
CATLが首位、BYDが2位となり、中国企業全体のシェアは57.8%まで拡大している。
リチウムイオン電池でも、日本や韓国勢(LG・SK・サムスン系の3社)の3元系EVバッテリーに比し2割以上安価な高性能LFP電池を製造する中国勢は、その特許を有し、中国勢の牙城を脅かすどころか、今や劣勢に追い込まれている。米国の中国パージがなければ、韓国勢はさらに厳しくなっていたと推量される。
☆中国勢は国のEV政策により生産台数が拡大し続けており、内需と外需も拡大、東南アジアで販売台数を伸ばすには所得との関係もあり、価格を安く販売する必要がある。車両販売価格に大きく左右するEV電池でも中国勢は優位に立っている。
中国勢は欧州などにもLFP電池の生産工場を作っており、中国勢の電池シェアは欧州や東南アジアで中国勢のEV販売増により、電池需要も高まり、米国を除いて市場制覇を図っている。
造船や車両に使用される厚板や鋼板価格は韓国と中国の鉄鋼メーカーの価格差は2割あり、当然車体の製造コストも安価、欧米韓日に比し労働コストも安価、アルミも世界市場の60%前後は中国で生産されている。
中国製造2025により、外資生産分も含め国産国消政策により、内製化が進み、車両価格は世界一安価に製造できる国になっている。
★EV市場でも
BYDが14.5%のシェア、
テスラの11.3%を上回って世界首位。吉利汽車もシェアを伸ばし、中国企業の躍進を支えている。
一方、日本メーカーは蚊帳の外。
米国は中国製EVに100%の関税を課し、実質中国製をパージ。中国勢は米国向けが実質販売できない中、一方で、東南アジアなどへの輸出を急拡大。2025年の貿易黒字は約1兆2000億ドルの過去最高を記録している。
米国の対中デカップリング(分離差別)政策は、中国企業の世界市場拡大を阻止するどころか、輸出先の多様化を促す結果になっている。トランプ関税爆弾策は欧州・カナダはじめ世界中を敵にしている。
★スマートウォッチ市場では、
首位のアップルに対してファーウェイ17.0のシェアと伸ばし、首位との差を3ポイントまで縮めている。
★タブレット市場でも、
ファーウェイ、レノボ、シャオミがそれぞれシェアを拡大している。
★半導体メモリーのDRAM市場では、
SKハイニックスがシェアを1ポイント伸ばして34.0%となり、サムスン電子と並んで首位となった。米マイクロンを含む上位3社の合計シェアは92%に達する。
しかし、ここでも中国のDRAMメーカーCXMT(長鑫科技集団)の成長が著しく、同市場で占有率は不明ながら4位につけている。
中国政府は、中国で製造する機械や電子・電化製品には中国製の部品部材を使用するように外資も含めて強く要請しており、そうした政府のご加護もあり、CXMTは2016年設立ながら急成長、2025年にはDDR5 DRAMも発表している。
同社は合肥政府が36%所有(上場前)、7月27日、HBMの研究開発や工場新設資金を調達するため上海市場に上場、公開価格の8.66元に対し、初値は49.50元、終値も49.0元。公開価格の446%高で時価総額は3.3兆元、日本円で75兆円/23円に達した。(8月4日の株価は55.0元まで上昇している)
14億円人の経済である中国、内需だけでも桁違いに大きい。低迷している現在でもデカイ。
★半導体NAND型フラッシュメモリ市場では、
SKハイニックスとサムスン電子が1位、2位を占め、両社の合計シェアは50%に達する。
日本のキオクシアはシェアを1ポイント落としたものの3位を維持した。
☆半導体のファンドリーメーカーでは、
この分野では台湾のTSMCが市場の50%以上の市場占有率を持ち、サムスンが2位となっている。しかし、中国のSMIC(中芯国際集成電路製造有限公司/政府系投資会社出資)が7ナノ以上の特注半導体分野では力を持ち、中国のファブレスメーカーはじめクアルコム、ブロードコムおよびTIなどからも受託生産している。サムスンは最先端の2ナノ3ナノの特注半導体(ファブレスの半導体)を製造できるものの赤字が続いている。
なお、中国に所在するサムスン電子の西安工場やSKハイニックスの無錫工場・大連工場で生産されているメモリー半導体は中国製となる。
★造船分野では、
首位は中国船舶集団(CSSC)で17.8%、2位は韓国のHD現代重工業が13.7%、3位は日本の今治造船。
韓国の造船業は、高付加価値のLNG(液化天然ガス)運搬船や環境対応船では競争力を維持しているものの、建造量全体や受注残・価格競争力では中国に追い抜かれており、すでに優位性を失っている。
英クラークソン・リサーチの調査では、2025年の世界の造船業界の船舶受注量は狂乱トランプにより前年比▲27%減の5643万CGT(標準貨物船換算トン数)。中国勢の受注量は3537万CGT(1421隻)でシェア63%。韓国勢は1160万CGT(247隻)で21%。
2025年末の世界の船舶建造の受注残量は1億7,391万CGTで、うち中国勢は1億748万CGTでシェア62%、2000年代まで世界一だった韓国勢は3,512万CGTで20%と大きく水をあけられている。韓国勢は今や高付加価値のLNG船に注力し、この分野だけは韓国がまだ優位性を有している。
船舶分野も狂乱トランプが昨年10月、米国の港湾に入港する中国製船舶や中国籍船舶に対して高額な入港料を支払わせようとしたが、中国がレアアース輸出規制の反撃爆弾を投下し、実質、発動されなかった。
韓国勢はMAMGAとトランプを持ち上げ、米国への巨額投資の進出を約束したものの、今では宙ぶらりんとなっている。ただ、韓国勢は米軍艦船の補修や新造船艦船の建造に門戸を開いている。
☆ほか、中国では宇宙開発、ドローン、ロボットでの成長も著しい、
こうした分野の中国の台頭に対する人材は、2000年代から国家策定した千人計画により海外頭脳を高額報酬で調達、また米英独など最先端の研究を行う大学などの中国人の学生や研究者たちを高額奨励し帰国させ調達、政府が2013年ころから半導体設計、半導体の製造設計、AIなどを学ぶ国営の科学院を全国の主要都市に開校させ、専門学生のほか、大学生や大学院生、企業の開発担当者らにも門戸を開放し、上記の調達した海外勢や科学分野の大学教授らが直接指導に当たらせ調達してきた。
中国政府は国家挙げてこうした研究開発の大学や研究所を支える人材教育にも強力に推進している。
ここにきて、一気に花開いているのは、LLM-AIやAIロボット分野ではなかろうか。
やはり14億人のパワーは計り知れず、世界は共存共栄の互恵の精神が政治に必要となっている。習は世界は中国製品により安価に購入でき、もっと喜ぶべきだとしているが、相手国の産業育成を全く考慮しない真の互恵の精神を無視したものに過ぎない。
中国の政治主導の輸出は、習の不動産政策が失敗、内需低迷が続く中、輸出拡大で経済回復を図ろうとする習の野望でもある。中国のダンピングや安価輸出は借金漬けのインフラ投資も含め習の一帯一路覇権戦略の一環でしかない。
以上、報道など各種参照
ただ、総じて米国が中国に対して課す関税高や中国大手製造業者などに対してのエンティティリストによる制裁も多く、EVや先端の中国製品の多くが輸出できなくなっている。
そのため中国勢は東南アジアに製造拠点を移し、本国からそうした海外関連企業の工場向けに部品部材を中国本国から輸出し、東南アジア諸国で製造し、米国へ輸出している。
中国が輸出好調である理由も一つはそこにあるが、一方で、輸出がこれほど増加しているにもかかわらず、ダンピング輸出により企業の利益は限られ、利益は新規投資に回すことをできず、結果、内需経済の低迷は続いている。
中国政府は生産過剰でダンピング輸出をさせても生産させなければ経済が回らなくなり、経済低迷サイクルのジレンマに陥っている。
なお、中国は政治体制が歪、国家が情報をコントロールしており、今や世界の情報もコントロールする動きにある。それは米国と並ぶハッカー技術によるもので、孫氏曰く「彼を知り己を知れば百戦殆からず」の戦法を地で実践している。中国製の電子機器が組み込まれた船舶や自動車・電子製品・家電に至るまで製品にはバックドア系のウイルスが組み込まれ、中国政府機関が傍聴していることにもっと留意すべきだろう。英国で販売されている小米製のノンフライヤーは周辺の会話を中国で傍聴していることが知られている。





