数字でみる山口県の空き家問題 14万700戸、空き家率19.4%で全国8位 柳井市は26.6%
山口県で空き家の増加が続いている。
総務省の「2023年(令和5年)住宅・土地統計調査」によると、山口県の空き家は14万700戸。総住宅数72万6,400戸に占める空き家率は19.4%となり、全国平均の13.8%を大きく上回った。
都道府県別の空き家率では全国8位。さらに、賃貸用、売却用、別荘などの二次的住宅を除く空き家は8万500戸あり、総住宅数に占める割合は11.1%で全国7位となっている。
※空き家数・空き家率は総務省「令和5年住宅・土地統計調査」および山口県公表資料。住宅・土地統計調査は標本調査で、公表値は推計値。
山口県の空き家は14万700戸 空き家率19.4%
2023年10月1日時点の山口県の総住宅数は72万6,400戸。このうち空き家は14万700戸で、総住宅数に占める割合は19.4%だった。
全国では総住宅数6,504万6,700戸に対し、空き家は900万1,600戸、空き家率は13.8%。山口県は全国平均を5.6ポイント上回る。
| 項目 | 山口県 | 全国 |
|---|---|---|
| 総住宅数 | 72万6,400戸 | 6,504万6,700戸 |
| 空き家数 | 14万700戸 | 900万1,600戸 |
| 空き家率 | 19.4% | 13.8% |
| 賃貸・売却用などを除く空き家 | 8万500戸 | 385万6,000戸 |
| 同割合 | 11.1% | 5.9% |
単純計算すると、山口県では住宅およそ5戸に1戸が空き家という水準になる。
ただし、「空き家14万700戸」のすべてが放置された住宅ではない。賃貸住宅の空室、売却中の住宅、別荘なども統計上の空き家に含まれる。
賃貸・売却用などを除く空き家は8万500戸
空き家問題の実態を見るうえで注目したいのが、「賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家」だ。
山口県では8万500戸あり、総住宅数の11.1%を占める。全国平均は5.9%で、山口県は約1.9倍の水準となっている。
この区分には、居住世帯が長期間不在となっている住宅や、取り壊し予定の住宅などが含まれる。
「賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家」は統計上の区分であり、空家法上の「管理不全空家」や「特定空家」と同じ意味ではない。
25年間で7万戸増 山口県の空き家はほぼ2倍に
長期的に見ると、山口県の空き家は増加傾向が続いている。
| 年 | 空き家数 | 空き家率 |
|---|---|---|
| 1998年 | 7万500戸 | 11.1% |
| 2003年 | 8万2,200戸 | 12.6% |
| 2008年 | 10万4,600戸 | 15.1% |
| 2013年 | 11万4,400戸 | 16.2% |
| 2018年 | 12万6,800戸 | 17.6% |
| 2023年 | 14万700戸 | 19.4% |
1998年の7万500戸から2023年には14万700戸へ増え、25年間で7万200戸増加した。戸数ではほぼ2倍となる。
直近5年間だけでも、2018年の12万6,800戸から1万3,900戸増えた。
市別では柳井市26.6%、萩市24.6%
県内でも空き家率には大きな地域差がある。
住宅・土地統計調査で公表されている13市を見ると、最も高いのは柳井市の26.6%。次いで萩市24.6%、美祢市24.2%、長門市22.2%となっている。
| 市 | 空き家数 | 空き家率 | 賃貸・売却用などを除く空き家率 |
|---|---|---|---|
| 柳井市 | 4,760戸 | 26.6% | 18.9% |
| 萩市 | 6,390戸 | 24.6% | 18.4% |
| 美祢市 | 3,010戸 | 24.2% | 15.0% |
| 長門市 | 3,980戸 | 22.2% | 17.4% |
| 防府市 | 1万1,870戸 | 19.9% | 11.6% |
| 宇部市 | 1万7,080戸 | 19.8% | 8.6% |
| 岩国市 | 1万3,750戸 | 19.7% | 12.6% |
| 下関市 | 2万6,490戸 | 19.1% | 10.9% |
| 山口市 | 1万7,910戸 | 17.0% | 7.1% |
| 周南市 | 1万2,850戸 | 16.9% | 8.7% |
| 山陽小野田市 | 5,060戸 | 16.7% | 10.1% |
| 下松市 | 4,090戸 | 14.1% | 6.7% |
| 光市 | 3,210戸 | 13.1% | 8.2% |
空き家全体では柳井市、萩市、美祢市の順に高い。
さらに賃貸・売却用などを除いた空き家率は、柳井市18.9%、萩市18.4%、長門市17.4%となっている。
一方、下松市は6.7%、山口市は7.1%で、県内でも地域による差が大きい。
※住宅・土地統計調査は標本調査。市別数値も推計値であり、県全体の数値には表に掲載していない町の住宅も含まれる。
相続登記は義務化 2027年3月末が期限になるケースも
空き家問題と関係が深いのが、親などから引き継いだ住宅や土地の相続だ。
2024年4月1日から相続登記の申請が義務化され、相続によって不動産を取得したことを知った相続人は、原則としてその日から3年以内に相続登記を申請する必要がある。
注意したいのは、制度開始前に発生した相続も対象になることだ。
2024年4月1日以前に相続による不動産取得を知っていたものの、相続登記をしていない場合は、原則として2027年3月31日までに申請する必要がある。
遺産分割がまとまらない場合などには、「相続人申告登記」によって申請義務を履行する仕組みも設けられている。
放置すれば「管理不全空家」になる可能性も
2023年12月13日に施行された改正空家法では、倒壊など著しい危険がある「特定空家」になる前の段階として、「管理不全空家」が新たに設けられた。
適切に管理されず、そのまま放置すれば特定空家になるおそれがある住宅について、市町村は所有者に指導や勧告を行うことができる。
勧告を受けた場合、その土地について固定資産税などの住宅用地特例が適用されなくなることがある。
住宅用地特例では、200平方メートル以下の小規模住宅用地について固定資産税の課税標準を6分の1とする仕組みがある。ただし、特例が外れた場合の実際の税額は土地の評価額、面積、負担調整措置などによって異なる。
数字で見る山口県の空き家問題
山口県の空き家問題を数字で整理すると、県全体の空き家率の高さだけでなく、市による大きな地域差も見えてくる。
- 空き家数は14万700戸
- 空き家率は19.4%、全国8位
- 全国平均13.8%を5.6ポイント上回る
- 賃貸・売却用などを除く空き家は8万500戸
- 同割合は11.1%、全国7位
- 1998年から25年間で空き家数はほぼ2倍
- 市別では柳井市26.6%、萩市24.6%、美祢市24.2%
「山口県には空き家が多い」というだけでは、問題の実態は分からない。
賃貸・売却市場に出ている住宅と、それ以外の空き家を分け、市町村単位の地域差や長期的な増減を見ることで、山口県の空き家問題の姿がより明確になる。
また、空き家となった住宅が相続されるケースでは、住宅の管理だけでなく相続登記への対応も必要になる。
JC-NETでは今後も、公的統計や自治体資料をもとに山口県の空き家・相続問題を数字から追っていく。
総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査」
山口県「令和5年住宅・土地統計調査 住宅数概数集計結果」等
国土交通省「空き家対策特設サイト」「空家等対策の推進に関する特別措置法」関連資料
法務省「相続登記の申請義務化について」





