【愛媛】選果機メーカー松山産業が破産申請準備 特許技術で農産物加工を自動化、年商3億円から減収
愛媛県東温市の食品加工機械メーカー、松山産業株式会社が2026年8月31日までに事業を停止し、自己破産申請の準備に入ったことが分かった。負債総額は約1億5000万円。
同社は農産物の選別機や洗浄機などの設計・製造を手がけ、画像処理による自動選別システムを開発。選別装置の特許も取得し、愛媛県内にとどまらず、熊本県や鹿児島県の農業法人、食品加工会社などへの設備納入実績を持っていた。
ピーク時には年間約3億円を売り上げていたが、設備投資需要の減少や大型案件の納期遅延などで業績が悪化。2026年3月期の売上高は約1億6000万円にとどまり、赤字決算となっていた。
ニンジン・焼酎用サツマイモの選別設備を開発
松山産業は2012年4月設立。農産物の選別機械を中心に、洗浄機、皮むき機、自動箱詰め装置などの設計、製造、販売、メンテナンスを展開していた。
主力製品には、ニンジンの洗浄・選果設備、焼酎原料となるサツマイモの洗浄選果機、タケノコの水煮皮むき機械などがあり、トマトの画像選果機、ゴボウの洗浄機、ジャガイモの形状選果機なども取り扱っていた。
食品メーカーや醸造メーカー、農業生産者などを顧客とし、生産現場ごとの処理能力や作業工程に合わせた機械設備の開発を進めていた。
2015年6月には事務所を松山市から東温市へ移転。農産物の洗浄、選別、加工、箱詰めなどの工程を自動化する設備を取り扱い、事業を展開していた。
画像選別技術を開発 選別装置の特許も取得
同社の特徴の一つが、コンピューター制御や画像処理技術を活用した選別設備の開発だった。
2019年1月には、ニンジンの洗浄選果設備向けに新たな画像処理ソフトを開発したと発表。従来、優良品の選別工程に配置していた作業員を必要としない仕組みを実現したとして、農産物選別の省人化技術を紹介していた。
また、2016年6月には「選別装置」に関する特許を出願し、2017年8月に特許第6178894号として登録された。計量した対象物の組み合わせを制御する選別装置に関する技術で、独自の機械開発を進めていたことが特許公報から確認できる。
さらに2024年6月には、他社と共同出願した「乾燥小魚箱詰め装置」に関する特許第7501867号も登録されている。農産物の選別設備だけでなく、水産加工分野の機械技術にも開発実績があった。
熊本・鹿児島の農業法人、食品加工会社にも納入実績
松山産業の公式サイトには、過去の設備導入先として熊本県菊陽町の有限会社大自然ファーム、鹿児島県出水市の株式会社タケマンが紹介されている。
大自然ファームはニンジンを生産する農業法人で、松山産業の生産者向け洗浄・選果機を導入。公式サイトに掲載された当時のレポートでは、年間約1500トンのニンジンを生産・出荷する事業者として紹介されている。
また、タケマンはタケノコや焼酎用サツマイモの加工を手がける会社で、松山産業のサツマイモ洗浄機を採用したことをきっかけに、タケノコの皮むき設備、選別機、パレタイザーなども導入していた。
同社の過去の導入レポートによると、タケマンでは焼酎用サツマイモの処理規模が1日80~100トンに達していたという。
これらの実績から、松山産業が農産物の出荷工程だけでなく、食品加工や醸造向け原料処理の機械化にも携わっていたことが分かる。
なお、各導入事例は過去に公表されたものであり、事業停止時点における取引関係や設備の稼働状況は確認できていない。
年商約3億円から1億6000万円へ 資材高騰と納期遅延が重荷
食品加工・醸造メーカーなどとの取引や商社経由の受注によって、売上高はピーク時に年間約3億円を計上していた。
しかし、その後は資材価格の高騰などを背景に顧客の設備投資需要が縮小。加えて、一部の大型受注案件で納期遅延が発生したことも業績に影響した。
2026年3月期の年間売上高は約1億6000万円に減少し、赤字を計上。ピーク時の年商約3億円と比較すると、売上規模は約半分となっていた。
経営悪化には資金調達面の制約も重なった。松山産業は、過去に経営破綻した企業の事業基盤を引き継ぐ形で発足した経緯があり、外部からの資金調達が難しい状況にあったとされる。
受注環境の悪化や業績低迷が続く中、資金繰りが行き詰まり、2026年8月31日に事業を停止。事業継続を断念し、自己破産申請の準備に入った。
負債総額は約1億5000万円。現時点で自己破産の申請日や裁判所による破産手続き開始決定は確認されていない。
松山産業株式会社の企業概要
| 企業名 | 松山産業株式会社 |
|---|---|
| 所在地 | 愛媛県東温市 |
| 法人番号 | 5500001016799 |
| 設立 | 2012年4月 |
| 事業内容 | 農産物選別機、食品加工機械などの設計・製造・販売・メンテナンス |
| 主要製品 | ニンジン選果機、洗浄機、焼酎用サツマイモ加工設備、画像選別装置など |
| ピーク時売上高 | 年間約3億円(対象決算期未確認) |
| 2026年3月期売上高 | 約1億6000万円(赤字決算) |
| 事業停止日 | 2026年8月31日 |
| 法的整理 | 自己破産申請準備 |
| 負債総額 | 約1億5000万円 |
※納入実績および技術開発の記述には、同社公式サイトの過去の公開情報と特許公報を使用している。前身企業の正式名称および自己破産申請の実施日は確認できていない。
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