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アイコン 【倒産企業続報・福岡】千鳥屋本家など4社の民事再生手続き廃止 負債約22.7億円、破産へ移行見通し


福岡県飯塚市を拠点とする菓子製造販売の「千鳥屋本家」グループ4社について、福岡地裁が民事再生手続きの廃止と保全管理命令を出したと報じられた。4社は2026年2月27日に民事再生法の適用を申請し、3月27日に再生手続開始決定を受けていたが、再建手続きの継続が困難となったとみられる。

今回報じられた4社合計の負債総額は約22億7,270万円。2月の民事再生申請時に公表された約22億6,840万円とは若干の差がある。今後は破産手続きへ移行する見通しとされるが、現時点で破産手続開始決定は確認できていない。

千鳥屋本家グループは、福岡の銘菓「千鳥饅頭」で知られる老舗菓子店の流れをくむ企業群。「千鳥饅頭」のほか、洋菓子「ヨーデルン」などを販売し、福岡県内を中心に店舗網を展開していた。最盛期には66店舗を構えたものの、2026年2月の民事再生申請前には42店舗まで縮小していた。

 

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民事再生開始から約7カ月、再建手続きが廃止へ

千鳥屋本家グループ4社は、2026年2月27日に福岡地裁へ民事再生法の適用を申請。同日、監督命令を受け、その後、3月27日に再生手続開始決定を受けた。

民事再生は、裁判所の監督のもとで債務を整理しながら事業の再建を目指す手続き。4社は申請当初、親族が経営する菓子会社の支援を受け、店舗営業を継続する方針を示していた。

しかし、今回の報道では、福岡地裁が再生手続きの廃止と保全管理命令を出したとされる。

再生手続きの廃止は、民事再生による再建手続きが終了することを意味する。また、保全管理命令は、財産の散逸を防ぐため、裁判所が選任する保全管理人のもとで財産を管理する措置となる。

今回、再生手続きが廃止された具体的な理由や決定日、保全管理人の氏名は確認できていない。今後、破産手続きに移行するとみられるものの、破産手続開始決定が出たことを示す情報も確認できていない。

2026年2月の申請当時は営業継続を目指していたが、今回の手続き廃止により、事業再建を巡る状況は大きく変わったことになる。

1630年創業の菓子店が源流、「千鳥饅頭」で全国的な知名度

千鳥屋の歴史は、1630年(寛永7年)に佐賀県で「松月堂」の屋号を掲げて菓子の製造販売を始めたことにさかのぼる。

その後、1927年に福岡県飯塚市で「千鳥屋」を開業。戦後には福岡市にも進出し、「千鳥饅頭」を代表商品として広く知られるようになった。

千鳥饅頭は、カステラや丸ボーロの製法を生かした生地であんを包んだ菓子で、福岡県を代表する銘菓の一つとして親しまれてきた。

事業はその後、親族それぞれが運営する複数の企業へ分かれ、福岡、飯塚、関西、関東などで異なる事業主体が千鳥屋の名称を用いるようになった。

今回の対象となった千鳥屋本家グループは、こうした千鳥屋の事業系譜の一つ。現在の対象法人は2005年や2006年などに設立された会社であり、1630年の創業年は法人の設立年ではなく、菓子事業の歴史的な起源を示すものとなる。

同グループは「千鳥饅頭」をはじめ、丸ボーロ、カステラ、千鳥サブレ、花千鳥、アルペンなどの和洋菓子を取り扱い、福岡県内を中心に販売を展開していた。

年商約11億円から業績悪化、店舗は66店から42店に縮小

グループの菓子販売事業を担う千鳥屋本家は、2006年5月に設立。グループ再編を経て販売体制を拡大し、2020年3月期には年売上高約11億円を計上していた。

しかし、主力商品への依存度が高いなか、新型コロナウイルスの感染拡大によって店舗への来客数が減少。土産品や贈答品の需要にも影響が及んだ。

店舗網は最盛期の66店から縮小が進み、2026年2月の民事再生申請前には42店となっていた。赤字決算が続く一方、原材料費や諸経費の上昇も収益を圧迫した。

また、コロナ禍で増加した借入金など金融債務の負担も重く、資金繰りが厳しい状態に陥っていた。

こうした経営状況を背景に、グループ4社は2026年2月に民事再生を申請。親族会社の支援を得ながら経営再建を目指す方針だったが、今回、再生手続きが廃止される事態となった。

「チロリアン」商標訴訟で和解、2023年に「ヨーデルン」へ改称

業績悪化の過程では、主力商品の一つ「チロリアン」を巡る商標権問題も経営上の課題となっていた。

「チロリアン」は、ロール状のクッキー生地にクリームを詰めた洋菓子。千鳥屋の代表的な商品として長く販売されてきた。

しかし、同じ千鳥屋の流れをくむ福岡市の「千鳥饅頭総本舗」が商標権を保有しており、飯塚市の千鳥屋本家による商品名の使用を巡って訴訟に発展した。

訴訟は2022年12月27日に大阪地裁で和解が成立。千鳥屋本家は2023年4月から、従来「チロリアン」として販売していた商品を「ヨーデルン」に改称した。

長年使用してきた商品名を変更したことは、ブランドの認知度や販売活動にも影響を及ぼしたとされる。コロナ禍による需要減少からの回復が遅れるなか、商品名の変更も収益回復を難しくする要因の一つとなっていた。

ただし、今回の再生手続き廃止について、商標問題が直接の原因となったことを示す情報は確認できていない。

支援を予定していた千鳥屋宗家、店舗や商品の行方は不明

2026年2月の民事再生申請時には、兵庫県西宮市を拠点とする親族経営の菓子会社「千鳥屋宗家」の支援を受け、店舗営業を継続する方針が示されていた。

千鳥屋宗家は、飯塚市の千鳥屋本家とは別の法人・事業主体であり、今回の再生手続き廃止の対象となった4社には含まれていない。

また、福岡市を拠点とする「千鳥饅頭総本舗」も別事業者で、同社は2026年3月に千鳥屋本家グループの民事再生申請とは無関係である旨を公表している。

一方、今回の再生手続き廃止後も千鳥屋宗家による支援が継続しているか、製造設備や店舗、商品販売事業の譲渡が行われたかについては確認できていない。

千鳥屋本家の公式通販サイトには現在も千鳥饅頭、ヨーデルン、丸ボーロ、カステラなどの商品の案内や店舗一覧が掲載されている。ただし、サイトに情報が残っていることだけで、全店舗の営業継続や受注・出荷状況を確認することはできない。

また、公式サイトは2026年3月31日、福岡市内の平尾店で展開していた「パティスリー一実」のケーキ販売を終了すると告知している。これはケーキ販売に関する告知であり、平尾店全体の閉店を示すものではない。

今後は千鳥饅頭やヨーデルンなどの商品について、製造・販売を継続する主体や店舗網の取り扱いが焦点となる。

対象4社の会社概要と負債額

今回、再生手続き廃止と保全管理命令が報じられたのは、千鳥屋本家を商号とする2法人、チロリアン、一実の計4社。

同名の「株式会社千鳥屋本家」が2法人存在するため、法人番号と設立年で区別する必要がある。

法人名 法人番号 主な事業・設立 2026年2月申請時の負債
(株)千鳥屋本家 9290001046187 菓子販売・2006年5月設立 約10億5,000万円
(株)千鳥屋本家(旧・有限会社千鳥屋本家) 6290002046874 菓子製造・2005年9月設立 約7億3,800万円
(株)チロリアン 3290001045525 菓子製造 約4億1,800万円
(有)一実 2290002019974 菓子製造・1998年5月設立 約6,240万円
4社合計・2026年2月申請時 約22億6,840万円

所在地は千鳥屋本家2法人とチロリアンが福岡県飯塚市、一実が福岡市中央区。今回の法的整理は、福岡地裁で進められていた。

なお、今回の報道における4社合計の負債総額は約22億7,270万円で、2月の申請時点に公表された約22億6,840万円を430万円上回る。差額の発生理由や算定基準については確認できていない。

4社は再生手続き廃止と保全管理命令を受けたとされ、今後は破産手続きへの移行が見込まれている。破産開始決定の有無や、各法人の事業・資産の承継状況については引き続き確認が必要となる。

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※本記事は、2026年2月の民事再生申請、3月の開始決定に続く情報をまとめたもの。今回の再生手続廃止・保全管理命令については、決定日と裁判所公告原本の独立確認に至っていない。破産手続開始決定が確認されたものではない。

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