アイコン ≪特集・石木ダム/第四弾≫「ここまで使ったから」で、まだ使うのか――県議会は追加予算の自動販売機ではない!


石木ダム 大石

135億円増額、完成は7年先送り。
前稿で取り上げた石木ダムの計画見直しである。総事業費420億円、完成目標2032年度末。この数字を掲げる以上、県は、その根拠と実現できる条件を説明しなければならない。
だが、もう一つ、正面から問うべきことがある。

 

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新聞

これから使う税金に、それだけの効果があるのか。
仮に「ここまで事業を進めたのだから、完成させるしかない」と言うのなら、話が逆だ。
すでに使った金は、これからの支出を正当化する免罪符にはならない。必要なのは、過去の決定を守る説明ではなく、今後の負担に見合う事業なのかという検証である。
引き返しにくい事情と、進めるべき根拠は別物だ。
県は、県民が比較できる資料を出すべきである。
完成までに、あといくら必要なのか。完成後の維持管理には、どれだけかかるのか。さらに工期が延びた場合、負担はどう変わるのか。
そして、ダムを進める場合と、代替策を組み合わせる場合とで、費用、効果、実現までの時間に、どんな違いがあるのか。
都合のよい数字だけを並べても、比較にはならない。同じ条件で、利点も弱点も示してこそ、県民は判断できる。
水需要の見通しはどうか。治水効果の前提はどうか。過去の説明が、今の条件でも成り立つのか。
「必要性は変わらない」と言うなら、変わっていないことを数字で示せ。結論の繰り返しは、検証ではない。

金子谷川

県議会にも言いたい。
説明を求め、答弁を聞き、最後は予算を認める。それだけで監視役を果たしたことになるのか。
議員が予算に賛成するなら、何を確認し、どの数字を根拠に、この負担を妥当と判断したのか、自ら県民に説明すべきだ。
「県が必要だと言ったから」では、議会が判断する意味がない。
県議会は、県がボタンを押せば追加予算が出てくる自動販売機ではない。
事業の完成を訴える政治家も同じである。
完成への決意を語るなら、増額を抑える手立ても語れ。早期完成を求めるなら、工程を阻む課題をどう解決するのか示せ。
政治家の任期が終わっても、県民の負担は終わらない。看板を次の世代に渡せば、説明責任まで済むわけではない。
そして、忘れてはならないのが住民の暮らしだ。
住み続けたいという意思を、工程表の「未解決事項」の一行で片付けてはならない。完成を求める地域にも、ただ「待ってほしい」と繰り返すだけでは足りない。
どちらにも必要なのは、判断の根拠が見える説明である。
第四弾で求めたいことは、はっきりしている。
次の予算を認める前に、「残る費用」と「得られる効果」を、代替策と並べて県民に示せ。
長く続いた事業だからこそ、検証は厳しくなければならない。
「ここまで来たから」では済まされない。
問われているのは、過去にいくら使ったかではない。これから県民にいくら払わせ、その判断に誰が責任を持つのか、である。

JC-net・日刊セイケイ編集長・中山洋次

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