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アイコン 【岩手】震災から復旧した山岸冷蔵が破産 負債約6億6300万円、復興庁が再建事例で紹介


岩手県大船渡市の水産物加工・冷凍卸売業者、山岸冷蔵(株)(大船渡市末崎町)は、2026年9月30日に事業を停止し、10月19日に盛岡地裁から破産手続き開始決定を受けた。負債総額は債権者約45名に対し、約6億6,300万円。

同社はサンマやサケなどの水産物加工を手がけ、かつては年商10億円を超える規模まで事業を拡大した。2011年の東日本大震災では建物と在庫が流出し、約4億3,000万円の被害を受けたが、国の復興支援制度などを活用して操業を再開。2014年には復興庁の企業再建事例集でも紹介されていた。

その後も主力魚種の不漁などによって収益が伸び悩み、多額の借入負担も重なって資金繰りが悪化した。事業の一部を大船渡市内の別業者に譲渡したうえで、営業を終了したとされる。

 

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1952年創業、サンマ加工から冷蔵・冷凍事業へ進出

山岸冷蔵は、復興庁が2014年にまとめた企業復興事例集によると、1952年にサンマを中心とする水産加工業者として創業した。1971年には冷蔵倉庫を取得し、水産物の冷凍保管と卸売事業にも進出した。

大船渡市の魚市場から仕入れた水産物を加工・冷凍し、卸売商社などに販売。サンマや秋サケのほか、サバ、イカ、イサダなど多様な魚種を取り扱い、地元水産加工業の一角を担ってきた。

1992年3月期には売上高約10億2,800万円を計上したとされるが、その後は秋サケの不漁などにより業績が変動。2000年代には売上高が5億~6億円前後で推移していた。

復興庁の2014年の資料でも年商約5億円の企業として紹介されており、水産加工・物流会社など12社で構成する「大船渡湾冷グループ」の一員だったことが記録されている。

東日本大震災で約4億3000万円の被害、半年後に操業再開

2011年3月の東日本大震災では、大船渡市を襲った津波によって建物や保管中の在庫が流出した。復興庁の報告書によると、被害額は在庫が約2億円、建物が約2億3,000万円に上り、合計約4億3,000万円という甚大な被害となった。

同社は経済産業省の中小企業等グループ施設等復旧整備補助事業(グループ補助金)や、被災中小企業向けの施設整備支援融資制度などを活用。サンマ漁期に間に合わせるため復旧を急ぎ、同年9月には設備を一部復旧して操業を再開した。

震災前の設備能力は凍結庫90トン、冷凍保管庫2,600トンだったが、再開時はそれぞれ20トン、1,000トンに縮小。その後、2012年9月までに凍結庫60トン、冷凍保管庫1,600トンへ回復させた。

ただし、設備を全面的に元の規模へ戻すのではなく、事業環境に応じた規模に抑えることで、設備投資や在庫の負担を軽減する方針を取っていた。

復興庁が経営改善事例として紹介、魚種拡大と在庫圧縮を推進

復興庁は2014年3月に公表した「被災地での55の挑戦―企業による復興事業事例集 Vol.2―」で、山岸冷蔵を震災からの経営再建事例として紹介している。

震災後の同社は、サンマに偏っていた取り扱いをサバ、スルメイカ、イワシなどへ広げる一方、漁期以外にはサンマの塩蔵加工、惣菜向けイカ加工、釣り餌用イサダの加工なども手がけ、冷凍設備の稼働率向上を図った。

また、原料の仕入れ前に販売先の購入意向を確認し、少量単位での販売にも対応するなど、過剰在庫を防ぐ営業方式へ転換。運転資金や短期借入金の負担軽減を図り、当時は収益性にも改善が見られたとされる。

2016年3月には、岩手県の産業再生復興推進計画に基づく食品関連産業の指定事業者にも選ばれていた。

震災で経営基盤を大きく失いながらも、設備の復旧と業務の効率化を進めてきた企業だった。

主力魚種の不漁と借入負担が重荷、事業の一部を譲渡

震災後は売上高が一時1億円台まで落ち込んだものの、設備の復旧とともに回復し、2014年以降には4億円台の売上高を計上する時期もあった。

しかし、サンマや秋サケをはじめとする主力魚種の不漁などで原料調達環境は厳しく、加工数量や売上高が不安定な状況が続いた。赤字決算を繰り返すなかで多額の外部資金に依存する財務体質となり、借入金の負担も経営を圧迫していた。

復興後も収益の安定化を図ってきたが、資金繰りの維持が困難となり、2026年9月30日をもって事業を停止。10月19日に盛岡地裁から破産手続き開始決定を受けた。

負債総額は約6億6,300万円で、債権者は約45名とされる。

事業停止に際しては、水産加工関連事業の一部を大船渡市内の別業者に譲渡したとの情報がある。ただし、譲受先の正式名称や譲渡された事業・設備の具体的な範囲、雇用および取引契約の承継内容については確認できていない。

会社概要

商号 山岸冷蔵株式会社
所在地 岩手県大船渡市末崎町
法人番号 1402701000237
創業 1952年(復興庁資料による)
事業内容 水産物加工、冷蔵・冷凍保管、水産物卸売
主な取扱魚種 サンマ、サケ、サバ、イカ、イサダなど
過去の売上規模 1992年3月期約10億2,800万円(提供情報)
事業停止 2026年9月30日
破産開始決定 2026年10月19日・盛岡地裁
負債総額 約6億6,300万円
債権者数 約45名

 

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