アイコン 鉄鋼製品の日本市場と日本の17年度の粗鋼生産量▲0.3%減 火災等響く

 

 

日本が輸入している鉄鋼製品輸入国は、中国・韓国がほとんどだが、中国は日本同様、米国から鉄鋼製品の輸入分については232条発令による25%追加関税の制裁を受けている。

韓国は232条課税がかけられなかったものの、米韓FTA見直し交渉で、輸出量を30%減少させることになった。
中国はそれまでに鉄鋼製品の米国への大量輸出に対して批判され、反ダンピング課税を課せられ、米国への輸出量を大幅に削減させてきた中で制裁を受けている。

その減少した分が韓国への輸出に振り向けられたといっても過言ではない。中韓FTA締結により、それ以前に、韓国は、建設資材に使用される中国製H型鋼に対して反ダンピング課税を課していたが、FTAにより中国製鉄鋼製品が大量に流入したことから、厚板などに対して反ダンピング課税をかけようとしたところ、中国当局から猛反発・報復すると脅され、取りやめた経緯があり、大量に中国鉄鋼製品が韓国に流入している。

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昨年5月、新日鉄大分が火災を起こし、電炉製品である厚板生産工場が被災し、新日鉄は他社に製造応援を依頼したが、韓国勢はここぞとばかりに厚板の営業を日本の造船所にかけていた。韓国の造船業界は低迷、中国からの厚板輸入品と自国産品であふれ、日本をターゲットにしている。

韓国にあり、価格対応面で中国製の輸入品に押された韓国鉄鋼製品は、米国へも輸出され、米トランプが中国製板材を加工した韓国製管材が米市場を脅かしていると発言するにいたっていた。

今や日本市場は、公共投資の高水準が続き、東京五輪特需、不動産再開発ラッシュもあり、建設需要旺盛、米国からパージされた中国製や韓国製の鉄鋼製品が日本市場を駆逐するのは目に見えている。
痺れを切らした日本は今年3月、中国製と韓国製の輸入管材品についてダンピング調査に入っている。

世界鉄鋼協会は2018年の需要予測では、世界では1.6%増の16億48百万トンと見ている。2017年は7.0%増の16億22百万トンだった。

2018年の鉄鋼需要量予測
1、中国は前年と変わらず7億65百万トン
2、アメリカは1.1%増の1億17百万トン
3、インドは5.7%増の約1億トン
4、日本は0.8%増の64百万トン

最大需要国の中国は17年と変わらず7億65百万トン、米国は1.1%増の1億17百万トン、インドは5.7%増(量は米国に迫る)、日本は0.8%増の64.5百万トンになる見通し。

中国の2017年の鋼材輸出量は前年比▲31%減の7,543万トン。中国当局により粗悪品鉄鋼メーカーの摘発が続けられている。

粗悪工事に加え粗悪品が用いられ過去のインフラ現場の崩壊など社会問題になっている。
また、中国では、不動産バブルを規制強化しても地方政府単位で開発投資はどこかで常に生じ、インフラ投資も軌道に乗せられ、一頃から落ちたとはいえ経済成長も6%後半と成長させ続けており、需要が減ることはない。
生産キャパは10億トンを超えており、紆余曲折しながらも生産は拡大し続け、日本市場も隙あらば大量に入ってくる。

<国家による人民大量殺害の大気汚染>
中国の電炉・高炉の粗鋼生産量に伴い、電炉熱源の発電における石炭燃焼、高炉の熱源のコークス生産と粗鋼生産におけるPM2.5を減らすことが大気汚染の世界の願いでもあろう。中国が怖くて環境先進国の欧州さえ何も言わない。(粗鋼および鉄鋼生産会社のほとんどが国営企業でもある)
ましてや中国と貿易量が拡大し続ける日本は九州が特に中国の大気汚染に直接晒されているが、何も言えない言わない関係にある。
中国の環境問題は人殺しであり、地下水汚染でがん村が各地にあるなど人権問題より最優先させる必要があるにもかかわらず・・・。狂人トランプに物申させるしかないだろうが、トランプ自身が環境規制緩和派であり、期待しようもない。

中国はPM2.5を大幅に削減できる触媒装置をコストが高くなるためほとんど設置していない。それは石油プラント施設や火力発電所・セメント工場でも同じこと。
少しだけ中国が前に向いているのは、今年から集中暖房用の燃料を石炭からLNGに転換させていることだろうか。今冬には中国でLNGが不足して世界価格が急騰した。

 

粗鋼生産量
/千トン
2010
2017
17-10
17/10
中国
638,743
831,730
192,987
30.2%
日本
109,599
104,661
-4,938
-4.5%
韓国
58,914
71,081
12,167
20.7%
 
アメリカ
80,495
81,640
1,145
1.4%
世界計
1,433,433
1,691,224
257,791
18.0%

 

2017年 米国の国別鉄鋼輸入
米商務省
/万トン
輸入国
輸入量
占有率
1
カナダ
550
16%
2
ブラジル
480
14%
3
韓国
340
10%
4
メキシコ
300
9%
5
ロシア
270
8%
6
トルコ
206
6%
7
日本
178
5%
8
ドイツ
138
4%
9
台湾
103
3%
10
インド
80
2%
11
中国
78
2%
 
その他
724
21%
 
合計
3,447
100%
 
<2017年度の日本粗鋼生産量>
日本鉄鋼連盟が20日発表した2017年度(4~3月)の粗鋼生産量は、前年度比▲0.3%減の1億0483万5000トンで、2年ぶりのマイナスとなった。
高水準の公共投資、20年東京五輪、都市再開発を背景に建設向けが好調だが、高炉の大型改修や設備トラブルがあり、需要に対応できなかったことが響いた。2018年には回復する。
 
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[ 2018年4月21日 ]

 

 

 

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