アイコン 来年の半導体市況▲4%減の予測も 在庫増、金利高景気後退、セットメーカー問題


来年、世界の半導体市場がマイナス成長になるとの見方が出ている。
特に韓国企業の主力商品であるメモリ半導体が大きな打撃を受けると予想され、サムスン電子やSKハイニックスの実績にも悪影響が避けられないとみられる。

半導体メーカー40社が加盟する世界半導体市場統計(WSTS)は、来年の世界の半導体市場規模が今年より▲4.1%減の5565億ドルにとどまると予測した。2021年は26.2%の高成長となったが、今年は4.4%に鈍化、来年は反対に萎縮する見通しを示している。
地域別では、米国、欧州、日本、アジア太平洋地域など世界各地域のうち、依然として新コロナの余波で苦しむ中国が含まれたアジア太平洋地域が▲7.5%のマイナス成長と増すナス成長を牽引し、ほかはインフレ退治の高金利に市場は低迷し、半導体需要の不振を予想した。

WSTSは今年8月までは、今年13.9%、来年4.6%の成長を予想していたが、3ヶ月で展望を大幅に下方修正した。このような結論を下した理由について「インフレと最終市場需要の減少により成長展望値を下げた」と説明した。

 

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これに伴い、2018年の半導体好況の翌年だった2019年以来、4年ぶりに半導体市場の規模が縮小する見込みとなった。
日経新聞も、2019年の半導体不況時より在庫がさらに大きく増えているとし、4年前より不振幅が大きくなると懸念を示した。
 米IT調査会社であるガートナーも、半導体市場が今年4.0%成長した後、来年は▲3.6%のマイナス成長になると予想した。
ガートナーは「現在、半導体市場はスマートフォン・パソコンなどで構成された消費者主導の市場と、企業主導の市場の間で両極化している」と説明した。
 台湾国立研究機関の工業技術研究院も、来年の半導体市場が▲3.6%縮小するものとみている。

消費者主導の市場は、40年ぶりの最悪のインフレと金利上昇といった要因により、可処分所得が減り、人々が旅行・レジャーなどをスマートフォンやパソコンのような技術製品より優先視しているため、停滞が予想される。また中国除く各国がウィズコロナ策を導入したことから、パソコン・タブレット・サーバーなどの新コロナ特需が一巡した反動も大きくなっている。

企業主導の市場は、経済鈍化と地政学的緊張にもかかわらず企業のインフラ強化や事業拡張計画、デジタル化戦略などに支えられ相対的には良好だとガートナーは分析した。
ただ、半導体の塊であるデータセンターの新規投資を控える大手も多く出てきており産業用もけっして安泰ではない。さらに金利高で景気後退が予測される中、投資全般を控える動きも強くなってきている。
 以上、ロイターなど報道参照、

半導体の在庫問題はほとんどの半導体メーカーが生産調整して在庫減らしを進める中、メモリ半導体最大手のサムスン電子は生産調整をしていない。そのため在庫は増え続けている。最先端の半導体を生産しており、在庫を抱えても在庫処分による値崩れはほとんどないと見ており、同社の経験から、こうし低成長期こそシェア拡大のチャンスと見て生産を維持している。
ただ、今年7~9月期でサムスン電子全体の在庫資産は57兆3198億ウォンとなり昨年末の41兆3844億ウォンより15兆9354億ウォン増、率にして38%増加している。
特に、半導体部門の在庫は26兆3652億ウォンで昨年末の16兆4551億ウォンから60%増と大幅に増加している。
売上額を在庫資産で割った在庫資産回転率が高いほど企業の経営活動性が高いとされるが、サムスン電子の7~9月期の在庫資産回転率は8.1回で、リーマンショック時の14.3回より大幅に低くなっている。

SKハイニックスは在庫減らしのため現在大幅減産中、新たな大規模建設投資も先送りした。顧客の問題もあろうが、メモリ半導体のNAND市場でサムスンに次ぐ2位だった地位もキオクシアに奪われたと報じられている。
来年は、今年積みあがった在庫処分が先決となり、生産量の減少の原因ともなる。

半導体の生産はチップ製造とセットメーカーの生産能力が現在噛み合っておらず、車両用でも、ルネサスなど4大メーカーはすでに半導体チップの在庫量は不足前の水準に戻っているが、セットメーカーの生産能力がまだ追いついていないことから、半導体のチップメーカーや自動車メーカーにそのしわ寄せが生じている。
セットメーカーは、いろいろな半導体チップと部材を組み合わせパッケージ化し、機能検査までして出荷するが、車両搭載用半導体を製造している半導体メーカーの在庫が十分だとしても、そうしたセットする材の一つでも納品が遅れた場合、生産できず、生産遅滞の原因になる。
部品・部材が中国のゼロコロナ策の影響を受け日本への供給が遅滞、日本の自動車メーカーがこぞって生産調整に追い込まれ、それはトヨタやホンダで現在も続いていることと酷似している。
以上、



 

[ 2022年12月 6日 ]

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