米金融不安 300億ドル支援効果なし ファースト・リパブリック・バンク
米ファースト・リパブリック・バンクに対して米大手行11行が参加して300億円ドルの支援預金を表明したものの、20日の株価はさらに暴落し、不安の解消には至っていない。
SVBのように破綻させるのか、米金融当局の混乱が続いている。
本来、金融当局が緊急支援すべきだろうが、自らの手を汚さず、業界の自助力で再建させようとしている。しかし、金融当局と業界の双方の金融支援がなければ、20日のように更なる暴落を生じさせる。支援が官ではなく民、出資ではなく預金という手法も混乱を生じさせている。
SVBの英法人をHSBCに1ポンドで売却したように、第3者金融機関に売却させる手立ても必要だろう。
クレディスイス(CS)の場合、スイス金融当局が支援を表明するとともにUBSに買収させる積極的行動に出て、CS問題は20日一応収束した。
ファースト・リパブリック・バンク(本部:サンフランシスコ)の総資産は2126億ドル(約28兆円/131円/2022期末=年末)特定都市のプライベートバンキングで急成長してきた銀行。資産規模は全米14位で16位のSVBより少しだけ大きい。
こうした金融機関の信用不安は、拡大し続けている資本市場のシステムに問題があり、特に金融機関に対してはストレストテストが設けられていたが、政府関与縮小(=緩和)の共和党の前トランプ政権が適用金融機関の資産額を引き上げ、中堅銀行は除外され、金融当局の検査が手ぬるいものになっていたことも事実(SVBの担当金融当局はサンフランシスコ連銀)。
ストレストテストを行ったところでCSの事例もあり、その効果は限定的かもしれない。
高インフレ、急激な高金利に至った極端な状況下、これまでに急成長してきた銀行が急激に疲弊してきているようだ。
急成長の裏に高金利、リスク投資の比重が大きくなっているものと見られる。基準金利の高金利が続けば続くほど、さらに金融機関はあちこちの分野で破綻が連鎖する可能性すらある。
日本で過去流行った暴利のシステム金融、米国では投資ファンドも含め、ババ抜き合戦の中に現在地があるようでならない。最終的に巨額のババをつかんだところから破綻する。今後、投資ファンドがその商品において投資家に損失を与えることになる。
ファースト・リパブリック・バンク |
|
株価推移/ドル |
|
3/6. |
122.07 |
3/7. |
115.60 |
3/8. |
115.00 |
3/9. |
96.01 |
3/10. |
81.76 |
3/13. |
31.21 |
3/14. |
39.63 |
3/15. |
31.16 |
3/16. |
34.27 |
3/17. |
23.03 |
3/20. |
12.18 |
↓SVBショック、13日暴落した米金融機関
SVBショック 13日一時取引停止に至った金融機関 |
||||
2023年3月 |
6日(月) |
10日(金) |
13日(月) |
20日(月) |
ファースト・リパブリック・バンク |
122.07 |
81.76 |
31.21 |
12.18 |
ウェスタン・アライアンス・バンコープ |
75.39 |
49.34 |
26.12 |
29.21 |
パックウェスト・バンコープ |
27.40 |
12.35 |
9.75 |
10.28 |
カスタマーズ・バンコープ、 |
29.84 |
22.86 |
17.42 |
17.91 |
コメリカ、 |
69.15 |
58.81 |
42.54 |
44.57 |
イースト・ウェスト・バンコープ |
74.55 |
62.71 |
51.82 |
54.82 |
ハワイ銀行 |
73.72 |
63.38 |
51.75 |
50.97 |
・米市場では前日比20%以上下落した場合、一時的にサーキットブレーカーが作動する。上記は13日ブレーカーが作動した金融機関。 |
米金融不安 300億ドル支援効果なし ファースト・リパブリック・バンク
米ファースト・リパブリック・バンクに対して米大手行11行が参加して300億円ドルの支援預金を表明したものの、20日の株価はさらに暴落し、不安の解消には至っていない。
SVBのように破綻させるのか、米金融当局の混乱が続いている。
本来、金融当局が緊急支援すべきだろうが、自らの手を汚さず、業界の自助力で再建させようとしている。しかし、金融当局と業界の双方の金融支援がなければ、20日のように更なる暴落を生じさせる。支援が官ではなく民、出資ではなく預金という手法も混乱を生じさせている。
SVBの英法人をHSBCに1ポンドで売却したように、第3者金融機関に売却させる手立ても必要だろう。
クレディスイス(CS)の場合、スイス金融当局が支援を表明するとともにUBSに買収させる積極的行動に出て、CS問題は20日一応収束した。
ファースト・リパブリック・バンク(本部:サンフランシスコ)の総資産は2126億ドル(約28兆円/131円/2022期末=年末)特定都市のプライベートバンキングで急成長してきた銀行。資産規模は全米14位で16位のSVBより少しだけ大きい。
こうした金融機関の信用不安は、拡大し続けている資本市場のシステムに問題があり、特に金融機関に対してはストレストテストが設けられていたが、政府関与縮小(=緩和)の共和党の前トランプ政権が適用金融機関の資産額を引き上げ、中堅銀行は除外され、金融当局の検査が手ぬるいものになっていたことも事実(SVBの担当金融当局はサンフランシスコ連銀)。
ストレストテストを行ったところでCSの事例もあり、その効果は限定的かもしれない。
高インフレ、急激な高金利に至った極端な状況下、これまでに急成長してきた銀行が急激に疲弊してきているようだ。
急成長の裏に高金利、リスク投資の比重が大きくなっているものと見られる。基準金利の高金利が続けば続くほど、さらに金融機関はあちこちの分野で破綻が連鎖する可能性すらある。
日本で過去流行った暴利のシステム金融、米国では投資ファンドも含め、ババ抜き合戦の中に現在地があるようでならない。最終的に巨額のババをつかんだところから破綻する。今後、投資ファンドがその商品において投資家に損失を与えることになる。