アイコン テスラ・マスク氏幹部を次々首切りEV急速充電所開発中断 関連社員500人超解雇


米EV大手テスラが、米テキサス州で開催した投資家デーで、壇上のイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は16人の幹部を従えて「ご覧の通り、われわれには豊富な人材がいる」と胸を張った。
マスク氏によるワンマン経営を懸念する投資家の声に答えた形だった。

ロイターの分析によると、現在ではそのチームの少なくとも5人が同社を去っている。テスラ社、マスク氏、そして昨年壇上にいた16人の幹部からのコメントは得られていない。
マスク氏は最近、上級管理職に宛てた電子メールで、最高クラス2人を含む数百人の従業員をレイオフ(一時解雇)する計画を示したと、新興メディア「ジ・インフォメーション」は報じている。メールには「この措置により、人員とコストの削減について、絶対的な強硬姿勢で臨む必要があることが明らかになるよう望んでいる」と書かれていた。

テスラの規制当局への提出書類によると、ザック・カークホーン最高財務責任者(CFO)は守秘義務契約を結んで辞任し、ドリュー・バグリーノ前最高バッテリー・エンジニアも先月の大量レイオフに伴って社を去った。
バグリーノ氏はこの時、1億8100万ドル相当のテスラ株を売却した。

 

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<充電部門・開発部隊実質解散>
充電部門を率いたレベッカ・ティヌッチ氏とチームの大半は、今週解雇された。同氏は1年前、投資家デーの壇上にいた2人の女性のうちの1人だった。

パワートレイン・エンジニアリング担当バイスプレジデントだったコリン・キャンベル氏も去った。同氏も壇上にいた1人。

<テスラに対する見方>
デラウェア大学のワインバーグ・コーポレートガバナンス・センターを創設したディレクター、チャールズ・エルソン氏は、これほど多くの経営幹部が去ったとなれば、テスラの取締役会が監視すべき問題だと指摘している。
「非常に短期間で大勢の離職者が出たことは、リーダーシップの取り方に問題があることを示している。これほど素早く、これほど多くの人々を失うのはおかしい」と述べている。

<戦略の転換>
テスラの収益と株価が下落する中、マスク氏は同社への支配力をさらに強めている。そのことの方が、幹部の入れ替わりよりも大切だと言う投資家もいる。
「イーロンがいなくてこれだけ入れ替わりが激しいのなら、大変なことだ。だがイーロンがいる限り、人材の才能を引き出して前進し続けるだろう。つまり、全てはイーロンが残っているかどうかだ」とディープウォーター・アセット・マネジメントのマネージング・パートナーでテスラに投資しているジーン・マンスター氏はそう語っている。

マスク氏は、販売台数の減少や競争激化に対応するため、大幅な戦略転換を示唆している。
この変更により、中核的な位置から外れる幹部も出てくるかもしれない。

<未来戦略>
マスク氏は4月、投資家に対し、テスラの未来は従来の自動車製造ではなく、人工知能(AI)と完全自動運転車「ロボタクシー」にあると語った。
実際に行動も起こしている。マスク氏は従業員の10%削減(1.5万人相当)し、新しい低価格車ラインの計画を廃止するとともに、既存モデルを改良して低価格車を開発する方針に転換した。
また、年間販売台数が300万台に達するまで新工場の建設を一時停止すると発表した。(2023年販売実績180万台、24年計画220万台、30年計画2000万台)

データ分析・アドバイザリー会社エスカレントのバイスプレジデント、K.C.ボイス氏は大量の人員解雇について「テスラの根本はAI企業だという話を受け入れるのであれば、心配する必要はないかもしれない。完全な自動運転化とロボタクシーという約束を実現するために、事業の規模や人員を正しく調整するという考え方に合致している」と指摘した。

昨年の投資家デーの壇上にいなかった幹部も、ここ数週間で何人か離職している。
一部のアナリストは、テスラが直面している課題を考えると「経営陣」が存在することこそが非常に大事だとみている。ウェドブッシュ証券のアナリスト、ダン・アイブス氏は「テスラがカテゴリー5(最強)のハリケーンに見舞われている今、マスク氏の後ろに強力な戦力が控えていることは重要だ」と語った。

第一四半期の決算悪化を受け、同社は新規の低価格車開発を断念し、既存車両の低価格車とロボットタクシー(完全自動運転車によるタクシー事業)を開発するとし,決算悪化予想で下がり続けた株価が大幅に上昇、5月2日180ドル(4/22日140ドル)まで戻している。
しかし、現実はカルフォルニア州では、試験車に運転手を補助で置きながら、自動車と衝突した自転車を認識できず(二次的)事故を発生させ、同州から完全自動運転の試験運転認可を取り消されている(別に救急運行中の救急車を認識できず、試験車は片側に寄せず停止または徐行しなかった問題も発生していた)。
こんな感じではスバルや日産のセーフティシステムより、安全システムが疎かなようだが、ロボタクシーそのものに目新しさはなく、裏づけもなく、材料で遊んでいるようだ。

完全自動運転車は中国からも遅れている。
ただ、完全自動運転車はこれまでの蓄積情報に加え、ビッグデータ活用のAIにより判断させる方法も取り入れた方式に変化してきており、意外と解決するのは、これまでの蓄積情報、生成AIの量子コンピュータ、通信速度の6Gの世界かもしれない。

テスラでは、自社で急速充電所を開設するには1ヶ所あたり高額を要し、他社も設置すべきだとしたものだろう。結局、自社で設置しても利益が出るには時間を要し、施設の減価償却で業績を悪化させると見たのだろう。米政府も設置するとしていたがどうなったのだろう。開発の多くを補助金でカバーできれば、こんなこともなかったろう。テスラは既存充電所の充電設備については拡充するとしている。

テスラそのものはオーナー色だけの個人企業。
テスラ社の場合、目標達成すればCEOの自分だけに大量の新株が無償交付される取締役会議の決議に見られるように経営権・支配権も個人に従属させている。


スクロール→

テスラ 四半期と年の業績推移 販売台数/千台

/百万ドル

台数

売上

営業利益

営利率

税前利益

純利益

24/1Q

386

21,301

1,171

5.5%

1,553

1,144

 前年比

-8.5%

-8.7%

-56.0%

 

-44.5%

-54.9%

23/4Q

484

25,167

2,064

8.2%

2,191

7,943

23/3Q

435

23,350

1,764

7.6%

2,045

1,878

23/2Q

466

24,927

2,399

9.6%

2,937

2,614

23/1Q

422

23,329

2,664

11.4%

2,800

2,539

通期業績推移

/百万ドル 

売上高

営業利益

営利率

税前利益

純利益

23/12.

96,773

8,891

9.2%

9,973

14,974

22/12.

81,462

13,656

16.8%

13,719

12,587

21/12.

53,823

6,523

12.1%

6,343

5,644

20/12.

31,536

1,994

6.3%

1,154

862

19/12.

24,578

-69

 

-665

-775

                     

 

テスラのサイバートラック=装甲車は販売するほどに赤字とされており、その上、実車でのリコール問題もすでに発生している。6万900米ドル~9万9990米ドル/重さは3トン超。

 

テスラ/世界販売台数

 

販売台数

前年比

2018

245,300

2.4

2019

367,500

49.8%

2020

499,600

35.9%

2021

936,200

87.3%

2022

1,313,900

40.3%

2023

1,800,000

37.0%

2024

2,200,000

計画

2030

20,000,000

計画

 

[ 2024年5月 5日 ]

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