中国経済の現況 セメント生産の減少続く
財新/S&Pグローバルが6日発表した4月の中国サービス部門購買担当者景気指数(PMI)は52.5で前月の52.7から低下した。コスト圧力が背景。ただ、新規受注の伸びが加速し、景況感も改善した。
PMIは好不況の分かれ目である50を16ヶ月連続で上回った。
製造業とサービス業を合わせた総合PMIは52.7から52.8に上昇し、2023年5月以来の高水準となっている。
財新智庫のシニアエコノミスト、王哲氏は、製造業も非製造業も今年、好調なスタートを切り拡大基調を数ヶ月にわたり維持していると指摘した。
新規受注は昨年5月以来の高水準で、新規輸出受注も外需回復と観光の伸びで過去10ヶ月で最大の伸びを記録している。
サービス業の今後12ヶ月の見通しは今年最高となった。
一方、コスト圧力がくすぶり、人件費や原材料、エネルギーの投入価格が上昇したが、上昇幅は長期的平均を下回っている。
サービス業は、顧客向け価格を引き上げる一方、離職者によって生じた欠員の補充には依然消極的。
王氏は「公表された政策を効果的かつ迅速に実施し、現在の景気回復の勢いが維持され、最終的に全体的な市場期待が改善されるよう一貫した取り組みが必要だ」と述べている。
↓PMI+小売
小売(年比)は、2015年は毎月10%以上増加、2019年も8%前後増加し続けていた。
23年3~5月の伸び率が高いのは22年3~5月に上海ロックダウンなどで小売が激減、その反動増となっているもの。毎月前年同月比で最低でも7%以上の伸びが中国経済には必要。
スクロール→
中国製造PMI |
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国家統計局 |
財新S&P-G |
国家統計局 |
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|
製造PMI |
製造PMI |
非製造 |
小売(年) |
23/1. |
50.1 |
49.2 |
54.4 |
3.5 |
23/2. |
52.6 |
51.6 |
56.3 |
3.5 |
23/3. |
51.9 |
50.0 |
58.2 |
10.6 |
23/4. |
49.2 |
49.5 |
56.4 |
18.4 |
23/5. |
48.8 |
50.9 |
54.5 |
12.7 |
23/6. |
49.0 |
50.5 |
53.2 |
3.1 |
23/7. |
49.3 |
49.2 |
51.5 |
2.5 |
23/8. |
49.7 |
51.0 |
51.0 |
4.6 |
23/9. |
50.2 |
50.6 |
51.7 |
5.5 |
23/10. |
49.5 |
49.5 |
50.6 |
7.6 |
23/11. |
49.4 |
50.7 |
50.2 |
10.1 |
23/12. |
49.0 |
50.8 |
50.4 |
7.4 |
24/1. |
49.2 |
50.8 |
50.7 |
5.5 |
24/2. |
49.1 |
50.9 |
51.4 |
|
24/3. |
50.8 |
51.1 |
53.0 |
3.1 |
24/4. |
50.4 |
51.4 |
51.2 |
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<セメント生産に見る景気>
電力の発電総量で工業趨勢も判断できるが、EV+PHV向けのレアメタルなどが大量生産され、電力を大消費しており、ここではセメント生産量で見てみた。
習近平政権の直政策である共同富裕論による不動産企業に対する三条紅線規制(2020年夏)の絶対命令、不動産バブルがはじけ、多くの国民が被害にあい景気大幅悪化。
政府は購入側にも不動産会社に対しても規制を大幅緩和して不動産業の景気回復を図っているが、笛吹けど踊らずの足元景気となっている。
国民皆投機家、マンションで一攫千金を狙い、優遇税制措置の一家一戸の規制も厳しく、法的に離婚までして購入するほどだった国民投機家たちは、焦げ付き、価格は暴落、不動産会社の高利社債購入分の多くもデフォルトにより崩壊している。
公共投資は中央が旗振り、地方政府に働きかけているが、地方政府は国有地の利用権販売で財源を確保していたことから、不動産利用権は売れず、地方政府は資金不足、地方政府そのものも直接や第3セクター方式で多くの不動産会社を擁しており、地方政府そのものが尻に火が付いた状態。
そうしたことから、公共事業・民間不動産開発事業などの建築・土木工事に必須のセメント需要が低下し続け、生産が減少し続けている。現在の中国景気を一番現しているようだ。
大型工事
大連海底トンネル(約5キロ/完成予2035年の渤海海峡海底トンネルの一環)は2018年着工、2023年5月完成。
(港珠澳大橋(香港-マカオ・珠海/全長:約55キロ)は2009年12月~2018年10月完成で関係なし)
スクロール→
中国のセメント生産量/国家統計局/億トン |
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月/年 |
20年 |
21年 |
22年 |
23年 |
24年 |
1 |
- |
- |
- |
- |
- |
2 |
- |
- |
- |
- |
- |
3 |
14.8 |
19.7 |
18.7 |
20.6 |
15.4 |
4 |
22.3 |
23.9 |
19.5 |
19.4 |
|
5 |
24.9 |
24.3 |
20.3 |
19.6 |
|
6 |
22.9 |
22.4 |
19.6 |
18.5 |
|
7 |
21.8 |
20.6 |
19.2 |
17.6 |
|
8 |
22.5 |
21.5 |
18.8 |
17.9 |
|
9 |
23.3 |
20.5 |
20.9 |
18.9 |
|
10 |
24.1 |
20.1 |
20.4 |
19.1 |
|
11 |
24.3 |
20.0 |
19.2 |
19.0 |
|
12 |
21.3 |
19.1 |
16.8 |
15.8 |
|
年計 |
222.2 |
212.1 |
193.4 |
186.4 |
|
前年比 |
|
-4.5% |
-8.8% |
-3.6% |
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