飲食チェーン店の赤字転落と急拡大の反動
飲食チェーン店が急速な拡大を遂げた後、赤字転落、経営難に至るケースが増加している。その背景には、過剰な出店戦略や市場環境の変化、消費者ニーズの多様化などが影響している。
急拡大の要因
多くの飲食チェーンは、短期間での市場シェア拡大を目指し、積極的な出店戦略を採用する。例えば、「いきなり!ステーキ」は2013年の1号店開店から急速に店舗数を増やし、最盛期には約490店舗を展開した。しかし、この急拡大は後に経営不振の一因となった。
業績不振の背景
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過剰出店による自社競合: 短期間で多数の店舗を開設することで、同一エリア内での自社競合が発生し、売上の分散や収益性の低下を招く。
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市場環境の変化: 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う外出自粛や消費者の節約志向の高まりにより、外食産業全体が大きな打撃を受けた。
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消費者ニーズの多様化: 消費者の嗜好が多様化し、総合型の業態から専門性の高い業態が求められるようになった。これにより、従来のビジネスモデルが通用しなくなるケースも増えている。
事例: いきなり!ステーキ
「いきなり!ステーキ」は、立ち食いスタイルのステーキ店として新たな市場を開拓し、急速に成長した。しかし、過剰な出店戦略が仇となり、業績不振に陥った。2022年8月には、運営会社の社長が経営責任を取り辞任する事態となった。
教訓と今後の展望
急速な拡大戦略は短期的な成功をもたらす可能性があるが、長期的な視点での持続可能な成長戦略が不可欠である。市場環境や消費者ニーズの変化を的確に捉え、柔軟に対応する経営判断が求められている。
参考リンク
- 飲食チェーン企業、衰退の5段階
- 閉店ラッシュが止まらない!?「いきなり!ステーキ」が赤字続き
- 外食で「閉店ラッシュ」、迫る経営破綻の危機
- 外食業界に起きたМ&Aの3つの波
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