今や製造業の鍵握るレアアース磁石 中国外で増加しても限定的の見方
レアアースやレアメタル、世界市場規模は35億ドル程度と小さいが、半導体、蓄電池、モーター、スピーカ、機械部品、医療器械、自動車、飛行機、ドローン、ミサイルに至るまで必須アイテムとなっており、現代の製造工場もセンサー技術とモーターを駆使したライン生産、製造機械、ロボット、各種装置も影の主役はレアアースとなっている。そのレアアースやレアメタルの製品市場の8割以上のシェアを持つ中国。モーター必須のネオジウム磁石については9割のシェアとされる。
鬼畜トランプも145%の対中関税爆弾を投下したものの、中国からしっべ返しのレアアースの輸出規制にあい、トランプは1ヶ月でギブアップ、5月12日には関税を145%から30%に落とし、禁止したAI半導体H20の対中輸出も再認可して、見返りに中国からのレアアースの輸入を勝ち取った。
米国では実際、自動車部品のモーター類を製造する一工場が操業停止に追い込まれ、こうした事態が続けば、自動車生産ができなくなる恐れまで発生して、中国に泣きを入れ、レアアースの対米輸出再開を認可してもらったのが実態だった。
トランプがウクライナの埋蔵レアアース欲しさに、同国に対する戦費支出金の対価を求め採掘権益の契約を取得、また、レアアースの産地でもあるミャンマーの軍事政権を認める行動までとった。期を一にしていた。
しかし、ミャンマーなどで採れるレアアースやレアメタルは含有鉱物を中国企業が買い取り、中国で製品化しているのが実態でもある。ニッケルについては産地インドネシアが付加価値を付けての輸出を決定、含有鉱石の輸出を禁じ、国内で抽出し、製品輸出に切り替えている。しかし、実態はニッケル鉱山の大部分の採掘権益を中国企業が持ち、インドネシアは石炭も輸出するほど産出しており、中国企業はインドネシアで製品化して輸出している。インドネシアニッケルも大部分は中国の支配下にあるのが実態だ。(日本はフィリピンニッケルを産出している)
★中国は米国の関税攻撃に対して、約6ヶ月前の4月2日に、世界の多くの産業が依存しているレアアース磁石の輸出を停止した。その後、米中関税交渉で一部のレアアース関連品の輸出は認められたが、現在ではより厳格な輸出管理を行うようになったという。
(ネオジウム磁石の製造工程で、磁石保持力を安定させるジスプロシウムを添加したネオジウム磁石をさす。中国は9割以上のシェアを持つ)
このことで、世界各地でレアアース磁石を生産する動きが急速に進むようになった。しかし、現実問題としては「前途多難」とニューヨーク・タイムズが報じた。
中国はレアアース磁石の供給を握ることで、米国のトランプ大統領やEUとの貿易交渉において交渉材料を得た。
トランプ大統領は対中関税の引き上げについてインドやブラジルなどに比べて慎重な姿勢を示すようになった。(インド・ブラジルは50%/相互関税に報復した中国は145%にしたが、レアアース規制でトランプ合衆国はギブアップ、現在はレアアースの輸出は審査を厳しくしているものの、輸出を再開させ、関税も現在は暫定ながら30%になっている。
5月12日の米中通商交渉で、米中は、中国のレアアースの輸出再開と米国の中国への半導体輸出再開で合意した。
しかし、対中タカ派の米商務省はNVIDIAの対中輸出申請から2ヶ月以上審査時間をかけ、激怒した中国がNVIDIAのH20につき、セキュリティ上問題があると因縁を付け、今では中国企業に購入しないように呼び掛けている。また、中国はH20に匹敵するAI半導体の製造にも成功している。こうしたことから中国側もレアアースの輸出の審査を厳しくしている。トランプはそうした米商務省の動きも知らず、レアアースを輸出しなければ、200%の関税をかけるぞと中国に対して恫喝を入れていた。商務省は長官と担当輸出審査担当の次官が対中強硬派。
中国はまた、欧州向けのレアアース磁石の輸出を制限し、EUに対して中国製電気自動車(EV)への関税を再考させようとしている。
ただ、中国EV大手は欧州市場を輸入規制されていないPHVや欧州での現地生産に切り替える動きを加速させている。バッテリーのCATLの欧州工場はすでに生産を開始している。
中国からのレアアース磁石の入手が困難になったことを受け、世界各地でレアアース磁石を生産する動きが急速に進行するようになった。
カナダに本社を置くネオ・パフォーマンス・マテリアルズ(以下、ネオ社)は9月中旬、エストニア国内に設立した工場の稼働を開始した。
このことで、欧州と米国の磁石生産能力は一挙にほぼ倍増した。ネオ社はさらに多数の設備を導入し、今後数年でこの工場の生産量を倍以上に引き上げる計画。
北米と欧州は毎年、自動車、ロボット、ドローンその他の製品向けに約4万トンのレアアース磁石を調達しており、そのほぼすべてが中国からの輸入。
アジア以外の国々によるレアアース磁石の年間生産量は2000トンに過ぎず、主にドイツとフィンランドで製造されている。
さらに、日本企業は日本とベトナムで年間2.5万トンを生産しており、日本と韓国の自動車メーカーに多くを供給している。
一方で、中国では年間20万トン以上のレアアース磁石が生産される。
多くは中国国内の工場でモーターやその他の機器に組み込まれ、中国の膨大な製品輸出の一部として世界中に流通している。
ドイツのVACグループは、欧州の主要なレアアース磁石メーカーであり、同社のエリック・エッシェンは、10月に米国サウスカロライナ州サムターで年産能力約2000トンの工場を稼働させる予定と述べ、さらに、サムター工場ではドイツのVAC工場で18ヶ月間研修を受けた米国人スタッフを起用し、来年3月末までにサウスカロライナ州工場のフル稼働を目指すと説明している。
同工場の生産能力は18ヶ月以内にほぼ倍増する可能性があるという。
米国内ではそれ以外にも、レアアース磁石を製造する工場を開設したり、製造量を急拡大させようとする動きが多くある。
しかし業界では、それらはすべて楽観的な見通しに過ぎないと指摘している。
レアアース磁石工場の操業は、建設よりもはるかに困難であり、全面的な稼働には最大3年を要する場合がある。
さらに、レアアース磁石の品質基準は極めて厳しく、経験豊富な技術者が必要とされる。
また、1つの工場は、数十種類の異なるタイプのレアアース磁石を製造する能力を備えていなければならない。
エンジン車の場合、座席、ブレーキ、サイドミラーなどのシステムに搭載されるモーターには、40個以上のレアアース磁石が使われることがあり、1個あたりの重量は10グラム未満であることが多い。電気自動車ではさらに多くの磁石が必要。
中国が磁石分野で圧倒的な優位を保っている理由の一つは、レアアース鉱石の精錬工程をほぼ完全に掌握している点にある。
耐熱磁石の製造に使用される3種類の主要なレアアース元素のうち、世界の99%以上が中国の精錬所で生産されている。
米国をはじめとする多くの国々は、リチウムなど長年にわたり自国の鉱山で採掘した含有鉱石を世界一の生産量を誇る石炭の熱エネルギーと石炭発電力により、レアメタルやレアアースの生産コストが大幅に安価な中国に送って精錬してきた(米豪は中国企業に含有鉱石売却が真実)。
また、世界のレアアース精錬設備の大多数は中国製であり、中国はこの種の設備の輸出を制限し始めている。新疆ウイグル地区に多くが所在する。
レアアース精錬に従事する技術者のほとんどは中国人で、中国政府は最近、これらの技術者の大半に対して海外渡航を禁止している。
ブラジルでレアアース鉱山を開発しているアクララ・リソースのラモン・バルア・コスタCEOは、「中国以外で関連技術者を見つけるのは非常に困難」と述べている。
中国のレアアース磁石への依存から脱却しようとする企業や国にとって、Neo社がエストニア最東部で展開する事業は極めて重要。
一方で、Neo社が新たに磁石工場を建設したナルヴァは、ロシア領内に入り込む湾状の河川地帯という難しい地に所在する。
エストニアはEUに加盟しており、ウクライナ問題でロシアとEUが対立を深める現状では、レアアース磁石の生産場所としてナルヴァは理想的とは言えない。
ロシアのプーチン大統領はウクライナ侵攻から4ヶ月後、ナルヴァがロシアにとって戦略的に重要と強調していた。
Neo社がナルヴァに新設した磁石工場の初期段階での年産能力は2000トンであり、工場内の一部設備は5000トンの生産能力を前提に作られている。
しかし、同社のラヒム・スールマンCEOは、レアアース磁石は製造工程が複雑であるため、生産能力を2000トンに引き上げるだけでも3年かかる可能性があると述べている。スールマンCEOは、この目標をさらに早く達成できる企業は存在しないとの考えを示した。
スールマンCEOは、レアアース磁石の製造について「もし以前にやったことがなければ、その仕組みはまったく理解できないだろう」と述べている。
自動車、建機、ロボット、機械、装置、モーター類に用いる磁石だけでもレアアースで行き詰まっている。半導体さえレアアースがなければ製造できない。その多くを中国が牛耳っている。
レアアース市場は30億ドル規模で、各種製造の必須アイテムながら売上高が小さく、欧米では産業として成立しなかった。現在でも世界最大級のリチウム生産国のオーストラリアのリチウム鉱石の9割以上が中国企業へ売却され、中国の安価な石炭エネルギーにより、レアアースなりレアメタルが抽出され、中国から世界へ販売されている。米国も含有鉱石生産量の7~8割を中国企業へ売却し、中国で抽出されている。
企業単位で言えば、市場規模が限られ、投資の割には儲からないレアアース市場といえる。
対世界で中国のレアアース輸出比率は80%に達し、保磁材のジスプロシウムを添加した最強のネオジム磁石に至っては90%を超えている。

世界の市場規模は35億ドル(2024年実績市場規模)、
投資の割にはリターンが限られるレアアース産業であり、装置や資材、電力、物流コスト高では中国勢に対応できない。ただ、使用は合金や触媒など微量が必要であり、素材コストの比重が大きければ販売価格にそれほど影響しない。
スクロール→
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レアアース生産と埋蔵 |
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2024年の市場規模は35億ドル(意外と小さい) |
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レアアースの生産 |
レアアースの埋蔵量 |
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2023年/USGS |
2023年/USGS |
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中国 |
67.8% |
中国 |
48.9% |
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ミャンマー |
11.4% |
ブラジル |
23.3% |
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米国 |
11.1% |
インド |
7.7% |
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オーストラリア |
4.3% |
オーストラリア |
6.3% |
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ナイジェリア |
1.9% |
ロシア |
4.2% |
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その他 |
3.5% |
ベトナム |
3.9% |
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2024年の生産量は約30万トン、2018年のレアアースの埋蔵量は1.2憶トン/USGS |
米国 |
2.1% |
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グリーンランド |
1.7% |
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その他 |
1.9% |
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スクロール→
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中国政府のレアアース輸出規制 |
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2025年4月2日から輸出規制のレアアース |
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レア鉱物 |
用途 |
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サマリウム、 |
磁石 |
触媒 |
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ガドリニウム、 |
X線源 |
磁性材料 |
MRI造影剤 |
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テルビウム、 |
ブラウン管、 |
蛍光体材料 |
磁性膜 |
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ジスプロシウム、 |
レーザー材料 |
赤外線放射源 |
ネオジム磁石保持剤 |
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ルテチウム、 |
触媒 |
PET |
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スカンジウム、 |
アルミ合金 |
ミサイルノーズコーン |
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イットリウム |
ミサイル |
点火プラグ電極 |
超電導 |
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エルビウム |
光ファイバー添加 |
YAGレーザー添加 |
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ツリウム |
光ファイバー添加 |
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薄い青色の6種は4月2日の中国輸出規制品+レアアース磁石が輸出規制 |
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すでに規制していたレアアースとレアメタル等 |
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ガリウム、 |
半導体 |
窒化ガリウム |
レーザー |
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ゲルマニウム、 |
光検出器 |
放射線検出器 |
赤外線透過 |
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黒鉛(グラファイト)、 |
砲弾鋳型 |
負極材 |
電極棒 |
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アンチモン、 |
難燃剤 |
鉛電池 |
合金 |
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超硬質材料、 |
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タングステン、 |
電子顕微鏡等電極 |
合金 |
X線遮蔽材 |
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テルル、 |
触媒 |
合金 |
太陽光発電剤 |
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ビスマス、 |
合金 |
ビスマス系高温超伝導物質 |
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モリブデン、 |
合金 |
添加剤 |
太陽光発電電極材 |
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インジウム |
電極 |
p型半導体 |
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ネオジム |
最強磁石 |
+ジスプロシウム |
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サマリウムコバルト磁石 |
高温対応磁石 |
2番目の強度 |
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