アイコン 銅需要は天井知らず 価格も再上昇へ ビッグテックプラスの台頭 Copper


銅は、世界経済の健全性を示す指標としての役割から「ドクター・カッパー(=銅)」と呼ばれている。
電化、通信・動力持続可能な各種インフラ、世界の製造業の重要な構成要素として、その動向は不動産から最先端技術まで幅広い産業に影響を与えている。
現在、価格は1ポンドあたり約5.00ドル(約10,100ドル/トン、LME)で推移しており、投資家にとって重要な問いは、銅価値が下がるかどうかではなく、次の大きな価格上昇パターンに入っており、どこまで上昇するのかという一点に絞られている。

スポンサーリンク

銅価格が過去に急騰した時期
●2009年〜2011年:危機後のスーパーサイクル
金融危機時の急落後、中国の前例のない景気刺激策が需要増加を促し、銅価格は急反発した。価格は2008年後半の1ポンドあたり1.30ドルから2011年には4.60ドル超へと上昇し、250%以上という驚異的な回復を見せた。

●2016年〜2018年:インフラ反発
2015年の1ポンドあたり約2.00ドルという安値の後、中国からの供給管理と建設インセンティブにより銅価格は上昇(EVシフト)。2018年までに価格は倍増して1ポンドあたり3.20ドル以上となり、鉱業界に活気をもたらした。

●2020年〜2021年:パンデミック・ブーム
パンデミック時のサプライチェーン混乱と景気刺激策による需要が重なり、銅価格は2020年の1ポンドあたり2.20ドルから2021年には過去最高の4.90ドル超へと急騰した。18ヶ月以内で120%上昇。
2020年から2023年にかけEV販売が世界で急速に増加、モーター等への銅需要が急増した。

●2022年3月~露制裁、資源価格上昇
 EV補助世界へ拡大、2024年までのバイデン政権時代、EV含め環境シフト。

● 2025年:トランプ関税爆弾乱高下
異常気象、地球温暖化は自然現象だとして環境問題完全無視の政策。
7月末にトランプ政権の銅に対する50%関税爆弾投下で銅価格は一時20%以上下げた。
しかし、その後もビックテック7やSBグループの数々の巨大データセンター計画が明らかにされ続けており、電力不足は切羽詰まった問題、原発にしろ、石炭発電にしろ、送電線網の再整備が必要であり、電線需要は計り知れず、銅価格を押し上げる主材料となっている。

旧小型原発は60MWh、データセンター1ヶ所に20MW以上必要とされ、発電所建設と送電線の再構築が早急に必要となっている。(SMRは30MWまでの超小型原発)

★ 眼下の問題
環境問題(健康問題/ザンビア残滓ダム崩壊等)、産地の気象問題(チリ・ペルー)、ゲリラ(コロンビア/コンゴ)、燃料供給(ボリビア)・・・
銅は最近、3ヶ月で最大の週間上昇を記録し、世界的な供給逼迫が深刻化している。 
チリとペルーの気象関連の中断からコンゴのプロジェクト遅延まで、重要地域での生産問題が短期的な供給を制限している。
チリは乾燥国、しかし、異常気象で豪雨が降り即大災害、銅産地の山間部でも影響を受けている。
ペルーも今春、大洪水で非常事態宣言、現在は落ち着いているもののインフラの回復には時間を要し、銅産地も影響を受けている。
また、コンゴ南のザンビアではた中国企業が設置した精錬所の残滓ダムが決壊、下流域を汚染し、大環境問題となっている。
産地のコンゴ民主もザンビアも開発主力は中国企業でもあり、中国へ輸出されている。

結果、すでに不足に直面している電力市場、産地の問題もあり、電線価格の上昇により今年さらに赤字が拡大する可能性がある。

<今日が強気相場である理由>
1ポンドあたり5.00ドルという価格は安くはないが、現在の状況はさらなる成長の可能性を示唆している。

●供給逼迫:…緊急要因
チリの生産は横ばい、
ペルーは気象、(中国やカナダの鉱業会社に対する)スト抗議活動により中断、不法採掘
コロンビアはゲリラ治安問題
コンゴの拡張プロジェクト遅れ 民族間・部族間のほかゲリラ問題もある
ザンピア(コンゴと同一地域の銅産地)のダム決壊、生産問題。環境大汚染に政府批判高まる。

●構造的赤字の迫り来る脅威:
大規模な新規鉱山操業がなければ、2020年代後半までに銅市場は年間200万〜400万トンの不足に直面する可能性があると予測している。
○電化の波:
電気自動車、送電網の強化、再生可能エネルギーイニシアチブが需要を押し上げている。
電気自動車はモーター等に従来の自動車の3〜4倍の銅を使用する。
★巨大データセンターの建設が進み、計画も増加し続けている。早急に電力と送電線需要が急増する。

●在庫の低水準:
LMEと上海取引所の在庫は限られたままで、さらなる混乱に対するバッファーがほとんどない。

<銅価格の動き>
銅価格は通常、小幅な上昇にとどまらない。歴史的傾向は、それらが迅速かつ大幅に発生する可能性があることを示している。
●適度な上昇(10〜15%):
供給課題が続き、インフラ投資が一貫している場合、価格は1ポンドあたり5.10〜5.30ドルに上昇する可能性がある。

●ブレイクアウト・ラリー(25〜30%):
より顕著な供給逼迫により、銅価格は1ポンドあたり5.80〜6.00ドルに押し上げられ、2021年の高値を超える可能性がある。

●スーパーサイクル・シナリオ:
電化の需要が継続的な供給制約と衝突すれば、銅は長期間にわたって1ポンドあたり6.00ドル以上の価格を維持する可能性があり、世界中の鉱業経済を変える。

★結論
銅は「未来の金属」としての地位を確立しているが、現在の動きは、緊急の要因である供給減少によって推進されている。
過去のスーパーサイクルからパンデミック時のピークまで、銅は不足と需要増加が重なると急騰する能力を示してきた。

<今後の銅需要>
米国は大電力消費の巨大データセンターの開発が目白押しとなっている。連れて発電所と電線ケーブルの需要が急拡大することになる。
トランプしは、銅輸入につき50P関税爆弾を落とした。市場は大きなショックを受け(▲22%下落)、本人もびっくりして電線等の銅製品に限定に縮小した。

しかし、銅の大消費地である中国はEVがすでに販売台数(総販売台数3143万台/今期は3400万台)の約半分に達し、データセンターも開発してきている。ソーラー発電所や風力発電所も桁違いで増加させ続けている。これに沈滞している国内景気が浮上してくれば、銅需要はさらに大きく上昇する。

データセンターの需要はビッグテック+ほか、先進国各国も力を入れており、また、ビッグテックはコストダウンを図るため、冷却用の水と電力がある途上国にも開設、銅は現在から2030年まで需要増により量も価格も上昇し続けることになる。
ただ、自動車用は2035年にはリサイクル品で需要は満たされてくると見られている。また、盲目のSMR開設認可がトランプ氏により大幅緩和されれば建設コストは大幅ダウン、データセンター近隣にSMRが開設され電線需要も限られてくる。(原発は小さくとも大きくともメルトダウンすれば一緒/原子力偵察衛星、原子力空母、原子力潜水艦、原子力ミサイルなどすでにマイクロ原発は兵器の分野で用いられている)
以上、報道などいろいろ参照


スクロール→

銅生産量/千トン

 

国・地域

2020

シェア

2017

20年比

 

世界

16,890

100.0%

19,939

-15.3%

1

チリ

5,700

33.7%

5,503

3.6%

2

ペルー

2,200

13.0%

3,462

-36.5%

3

中国

1,700

10.1%

1,656

2.7%

4

コンゴ民主

1,300

7.7%

1,094

18.8%

5

アメリカ合衆国

1,200

7.1%

1,260

-4.8%

6

オーストラリア

870

5.2%

859

1.3%

7

ロシア

850

5.0%

705

20.6%

8

ザンビア

830

4.9%

797

4.1%

9

メキシコ

690

4.1%

742

-7.0%

10

カザフスタン

580

3.4%

540

7.4%

 

その他

970

5.7%

3,321

-70.8%

 


スクロール→

銅価格

月末

銅価格

SOX指数

 

 

USD/Lbs

指数

 

2019/12.

2.816

1,140

EV上昇、従来内燃機車の3倍以上の銅使用

2020/6.

2.732

1,430

20/12.

3.519

2,765

21/6.

4.282

3,325

21/12.

4.463

3,985

22/6.

3.609

2,590

22/12.

3.810

2,502

23/6.

3.751

3,610

 

23/12.

3.880

4,097

 

24/6.

4.442

5,472

 

24/12.

4.036

4,979

 

25/4/7.

4.054

3,694

データセンター向け電力不足へ

25/6.

5.068

5,546

 7/21..

5.763

5,739

 7/31、トランプショック.

4.403

5,607

25/9.

4.827

6,369

 11/3.

5.035

7,251

 2018年代から新たな需要としてEVの大普及、2024年からはAI半導体を導入した巨大電力消費の巨大データセンターの設置や目白押しの設置計画、付帯需要(発電と電線ケーブル)が生じ、銅の需要を押し上げ続けている。
一方で、銅生産は、環境破壊問題、豪雨自然災害問題、労使対立スト問題、ゲリラ治安問題、はたまた関税爆弾投下問題など様々な問題も生じている。
1104_09.jpg

[ 2025年11月 4日 ]

スポンサーリンク
  

 

 


HTML Comment Box is loading comments...



※記事の削除等は問合せにて。

スポンサーリンク
 

 

関連記事

 

 



PICK UP


破産・小口倒産一覧