アイコン エコカー補助金見直しで変わる市場設計 「普及促進」から「高価格EVの購入後押し」へ


政府が決めたエコカー補助金(CEV補助金)の見直しは、単なる金額調整ではない。制度の狙いは、これまでの「普及促進型」から、「市場価格に連動した購入後押し型」へと、市場設計そのものを転換する点にある。

新制度では、EVやPHEV、FCVの補助金上限を「平均車両価格の2割相当」に統一する。EVは上限が90万円から130万円に引き上げられ、PHEVも85万円に増額される。一方、FCVは255万円から150万円へと大幅に減額される。補助金の“物差し”を揃えることで、エコカー間の公平性を確保するのが表向きの狙いだ。

注目すべきは、補助金の効果が向かう先である。価格連動型の補助は、車両価格が高いほど金額インパクトが大きくなりやすい。結果として、補助の主な受益者は普及価格帯ではなく、比較的高価格帯のEVに寄る構造となる。実際、現在上限90万円の補助を受けているトヨタのEV「bZ4X」やレクサスのEVは、2026年1月以降、最大130万円まで補助が引き上げられる見通しだ。

 

スポンサーリンク
 
 

これは、EVの「台数を広く伸ばす」政策というより、「高単価EVの購入障壁を下げる」市場設計といえる。補助金が価格差を埋める役割を強めることで、購入を迷っていた層の背中を押す効果は期待できるが、低価格EVの裾野拡大に直結するかは別問題となる。

一方、FCVの大幅減額は、水素車を軸に据えてきた従来の政策メッセージを弱める。適用を2026年4月以降にずらしたのは急激な市場縮小を避けるためとみられるが、補助水準の見直しは、FCV市場が「保護対象」から「競争市場」へ移行しつつあることを示唆する。

今回の制度変更は、エコカー市場の方向性を示すシグナルでもある。補助金は今後、技術育成や普及のための“下支え”という役割から、市場価格を前提とした“選別的な後押し”へと性格を変えていく。2026年以降、日本のエコカー市場は、補助金の額そのものよりも、「どの価格帯を政策が支えるのか」という市場設計の変化が、販売動向を左右することになりそうだ。

 

EV自動車

[ 2025年12月17日 ]
スポンサーリンク
  

 

 


HTML Comment Box is loading comments...



※記事の削除等は問合せにて。

スポンサーリンク
 

 

関連記事

 

 



PICK UP


破産・小口倒産一覧