日立、家電事業をノジマに譲渡 「選択と集中」最終章へ
ノジマは「製造小売」へ転換、VAIO買収に続き布石
日立製作所と日立グローバルライフソリューションズ(GLS)は21日、日立ブランドの家電事業を新会社として分割し、ノジマが設立する特別目的会社に同事業の株式80.1%を譲渡すると発表した。取得額は約1100億円。競争法などの許認可を経て、2027年3月期中の完了を見込む。日立は事実上、消費者向け(BtoC)家電事業の経営権を手放し、ノジマは小売りから企画・製造までを手掛ける「製造小売業(SPA)」への事業モデル転換を加速させる。日本の電機・小売り業界の構造変化を象徴する転換点となる。
今回の再編は、日立が長年進めてきた事業ポートフォリオ入れ替えの「総仕上げ」に位置づけられる。同社はこれまで上場子会社の売却を進め、IT基盤「ルマーダ」や社会インフラを軸とする高収益なBtoB(企業間取引)企業への脱皮を図ってきた。コモディティ化が進み、アジア勢との価格競争が激しい汎用家電事業を切り離すことで、経営資源の再配分を徹底する。
一方、空調事業は今回の譲渡対象から外し、自社事業として継続する。空調は家庭用にとどまらず、データセンター向けの冷却システムやビル用マルチエアコンなど、脱炭素社会を支える「環境インフラ」としての側面が強い。グローバル市場において高い成長性と利益率が見込めるコア事業として、今後も自社での投資を継続する構えだ。
家電事業を受け継ぐノジマ側の狙いは、巨大な転換点にある。2025年に実施したパソコンメーカー・VAIOの買収に続く製造業への大型投資であり、自社で企画・製造・販売を一貫して担うSPAモデルの確立を目指す。国内のみならず、海外で日立ブランドを展開する合弁会社も新会社に集約する。
ゼロから自社ブランドを育成するのではなく、「日立」という歴史あるプレミアムブランドと技術力を基盤に据えることで、他の家電量販店とは一線を画す高収益モデルの構築を狙う。かつて日本の高度経済成長を牽引した名門の家電事業が、有力小売チェーンの傘下で再出発することになり、国内の製造委託先や部品サプライチェーンの再構築など、産業界全体へ波及する影響も注視される。





