≪第15回≫大村市新庁舎、市民が見るべきは『JVの組み合わせ』である

大林組、西海建設、高瀬建設JVは何を意味するのか
大村市新庁舎建設工事をめぐり、市民が本当に見るべきものは何か。
工事費の金額か。落札率か。大手ゼネコンの名前か。
それとも、完成予想図の見栄えか。
もちろん、それらも大事である。
しかし、公共工事の本質を見るなら、もっと大事なものがある。
それは、JVの組み合わせである。
今回の大村市新庁舎建設工事では、3社による共同企業体、いわゆるJVでの参加が条件とされている。
代表者には、大規模建築工事を担うだけの企業評価、施工能力、免震構造の庁舎等に関する実績が求められる。
一方で、構成員には県内業者、市内業者の参加条件も設けられている。
表向きは、非常にもっともらしい制度である。
大規模工事には大手の技術力が必要。
地元経済への波及効果を考えれば、県内業者、市内業者の参加も必要。
公共工事である以上、地元企業に仕事が回る仕組みも必要。
ここまでは、誰も否定しないだろう。
だが、問題はその先である。
その条件によって、実際にどの大手ゼネコンが代表者となり、どの県内業者、市内業者が構成員として組み込まれるのか。
その組み合わせは、どのように決まっていくのか。
そこに、市民が知らない力学は働いていないのか。
ここを見なければ、入札の本当の姿は見えてこない。
現在、注目を集めているのが、大林組、西海建設、高瀬建設によるJVの行方である。
大林組は、日本を代表するスーパーゼネコンである。
施工実績も、技術力も、企業規模も、申し分ない。
大村市新庁舎のような大規模公共工事で代表者となること自体は、不自然ではない。
しかし、前回も指摘したように、大林組には近年、重大な安全管理上の問題が相次いでいる。
中央新幹線第四南巨摩トンネル新設工事では、労働災害をめぐり、労働基準監督署に対して事実と異なる説明を行っていたとして、会社及び社員2名が労働安全衛生法違反で罰金刑の略式命令を受けた。
岐阜県はこれを受け、大林組に対して入札参加資格停止措置を講じている。

また、東京・八重洲のビル建設現場では、鉄骨落下により作業員5人が死傷する重大事故が発生している。
報道では、鉄骨を支える支保工の強度計算に誤りがあった可能性が指摘されている。
こうした事案を前にして、市民が抱く疑問は当然である。
「大林組だから安心」と言い切れるのか。
「大手だから大丈夫」で済ませてよいのか。
過去の事故や処分を、大村市はどこまで確認しているのか。
しかし、今回さらに見るべきは、大林組だけではない。
問題は、その横に並ぶ地元業者である。
大林組、西海建設、高瀬建設。
この3社が組むことに、どのような意味があるのか。
公共工事におけるJVは、単なる名簿ではない。
そこには、役割分担がある。
施工上の責任がある。
問われているのは、建物の立派さではない。
公共工事としての透明性である。
そして今、市民が見るべきは、まさにこのJVの組み合わせなのである。
JC-net・日刊セイケイ編集長・中山洋次





