アイコン 長崎県議会へ 玄界灘を守り育てる会 有志一同


和8年6月吉日

長崎県議会
観光生活建設委員会
委員の先生方へ

佐賀県唐津市湊町125番地12
特定非営利活動法人
玄界灘を守り育てる会 有志一同
会長 浪口 志郎

申 入 書
境界線付近における海砂採取事業の即時停止、実態調査及び原状回復等を求める申入れ

私たちは、玄界灘をはじめとする海洋環境の保全と再生に取り組み、不特定多数の利益の増進と、すばらしい自然環境を次世代へ継承することを目的として活動している者、並びに佐賀県玄海灘海域において漁業等を営み生活している者で構成される有志一同であります。

かねてより、佐賀県と長崎県の協定境界線付近において、長崎県側の海砂採取業者が境界線を越え、佐賀県側海域の海砂を区域外採取しているのではないかとの通報が寄せられておりました。

そのため、私たちは漁業探索機による海底の凹凸状況の確認、GPSによる運航記録の確認等を行ってまいりました。その結果、境界線を越えた区域外採取が現在も繰り返されている強い疑いを持つに至った次第であります。

 

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過去を振り返れば、今から約20年前の平成14年度、当時、長崎県と佐賀県との間で境界線について協議中であったにもかかわらず、年度をまたぐ同年3月11日から5月31日までの期間において、約20万㎥もの海砂採取許可が長崎県から事業者に出され、区域外採取が行われた事実があります。

また、平成15年にも、長崎県の採取業者に対し、区域外採取による違法操業が指摘され、改善命令が出されております。

本来であれば、その時点で採取業者は厳格にルールを遵守し、長崎県当局も再発防止策を徹底すべきでありました。ところが、その後も事態は根本的に改善されたとは言い難く、現在に至るまで区域外採取が繰り返されている疑いが極めて強い状況にあります。

このような事態を踏まえれば、長崎県当局は、現在認可している境界線付近での海砂採取事業を直ちに緊急停止し、実態調査を行ったうえで、然るべき行政処分及び原状回復措置を講じるべきであります。

現在、玄界灘では、約50年にわたる海砂採取による濁り、海底地形の変化、漁場環境への影響が、地域で生活する漁業者や沿岸住民に深刻な不安を与え続けています。

特に、度重なる区域外採取の疑いにより、佐賀県側海域の海底環境は保全対策が講じられないまま放置され、海底の凹凸は海上からの調査でも確認できるほど荒らされているとの認識を持っています。

また、長崎県が採取許可を出している区域は、境界線に隣接するエリアが多く、採取区域の選定そのものについても疑念を抱かざるを得ません。境界線付近で採取を認め続ければ、越境採取が発生する危険性は当然に高まります。それにもかかわらず、県がこのような区域設定を続けてきたことは、少なくとも行政上の重大な監督責任が問われるべき問題であります。

さらに不可解なのは、長崎県における海砂採取限度量の設定です。

長崎県以外の九州各県では、必要最小限の海砂採取量に抑える方向で運用されているにもかかわらず、長崎県では年間採取限度量が240万㎥と突出しており、そのうち175万㎥が壱岐沖の玄界灘エリアに指定されています。

一方で、実際に長崎県内で需要されている海砂の年間需要量は90万㎥弱に過ぎないとされます。県内需要を大きく上回る採取枠が設定され続けている理由について、長崎県当局は「県内業者の育成のため」と説明しているようでありますが、この説明は海洋環境保全、漁業被害、公共資源の適正管理という観点から到底納得できるものではありません。

海砂は、特定業者の利益のために存在するものではありません。
海砂は公有の資源であり、公共の福祉に資することを前提として、厳格な管理のもとで採取が許されるべきものであります。

にもかかわらず、実需を大幅に上回る採取枠を認め、その結果として境界線付近での区域外採取疑惑が繰り返されているとすれば、これは単なる業者の問題にとどまらず、長崎県当局の行政責任そのものが問われる問題です。

また、長崎県海砂採取検討委員会に示されている県内需要量の算定についても、その根拠が不明確であり、実態より過大に見積もられているのではないかとの疑念があります。仮に需要予測が実態と乖離したまま採取枠が設定されているのであれば、検討委員会の審議そのものが形骸化していると言わざるを得ません。

加えて、長崎県の海砂採取事務取扱要領についても、特定の事業者を保護する仕組みとなっている疑いがあります。採取資格や事業者の固定化、特定団体を通じた運用が長年続いているのであれば、それは自由で公正な競争を阻害し、結果として県行政と一部業者との癒着構造を生み出す温床となりかねません。

さらに、海砂採取業者の育成を理由に必要以上の採取枠を認めているという説明についても、到底看過できません。経営が苦しい業者を守るという名目で、海洋環境と漁業者の生活を犠牲にし、しかも一部事業者が九州福岡の中心部に高額な自社ビル等を所有している実態があるとすれば、県の説明は県民・漁業者・沿岸住民の理解を得られるものではありません。

境界線を越えて佐賀県側海域が採取されているのであれば、その海域の掘削深、海底地形、漁場環境への影響調査は当然行われなければなりません。しかし、現状では十分な調査が行われているとは到底言えず、このままでは佐賀県側の玄界灘は良質な海砂を盗掘され続け、漁場を荒らされ続けることになります。

これまで数十年間にわたる損失は計り知れません。

海砂は公有財産的性格を有する資源であり、採取にあたっては土石採取料が納付されています。しかし、境界線を越えて佐賀県側海域で採取されていたのであれば、本来その採取料の納付先は佐賀県であるべきです。

したがって、区域外採取の実態が確認された場合には、長崎県に納付された土石採取料のうち、区域外採取相当分については、少なくとも過去10年分に遡って佐賀県に返還されるべきであります。

また、海砂採取によって最も大きな影響を受けるのは、漁業協同組合の組合員をはじめとする沿岸漁業者です。仮に長崎県側の業者が佐賀県側の海砂を区域外採取していたのであれば、本来、その海砂採取迷惑補償料は、佐賀玄海漁業協同組合の組合員及び佐賀県玄海灘沿岸の関係漁業者に対して拠出されるべきものです。

したがって、今日まで壱岐市内の漁業協同組合又は関係団体に拠出されてきた海砂採取迷惑補償料についても、区域外採取相当分については、少なくとも過去10年分に遡って佐賀玄海漁業協同組合側に返還されるべきであります。

以上のとおり、私たちは、長崎県当局に対し、早急に緊急停止措置を講じ、実態調査、原因究明、責任の明確化、原状回復、補償料及び採取料の精算等を実行することを強く求めます。

なお、採取事業に関与する長崎県砂利協会関係の海砂生産組合、有明商事グループ及び葵新建設に対しては、少なくとも境界線から500mないし1km以上離れた区域で採取を行うことは当然の措置であります。

しかしながら、今日までの経緯、佐賀玄海漁業協同組合及び玄界灘沿岸の市民・漁業関係者に対する対応を踏まえれば、単なる区域変更だけで済まされる問題ではありません。

区域外採取が確認された事業者については、採取事業者としての登録抹消を含む厳正な処分がなされるべきであり、併せて本来補償を受けるべきであった佐賀県側漁業者に対し、過去10年分の補償料返還及び損害回復措置が講じられるべきであります。

よって、下記のとおり申し入れます。

1 境界線付近における長崎県側の海砂採取を即刻停止し、佐賀県側海域の海底調査を実施すること。
特に、境界線付近の掘削深、海底地形、漁場環境への影響、採取船の航跡、GPS記録、採取実績等を調査し、区域外採取の有無を明らかにすること。

2 長崎県海砂採取検討委員会で示された「5年間の県内予測需要量」について、予測積算の根拠を明らかにすること。
根拠が不十分なまま過大な採取枠を設定しているのであれば、壱岐海域における総採取量枠を少なくとも半分以下、100万㎥以下に抑制すること。

3 今後の採取許可区域については、境界線から少なくとも1km以上離し、長崎県壱岐側へ下げること。
境界線に隣接する区域での採取許可は、区域外採取を誘発する危険性が高く、直ちに見直すこと。

4 区域外採取相当分の土石採取料について、過去10年分に遡って精査し、佐賀県に返還すること。
長崎県に納付された土石採取料のうち、佐賀県側海域で採取された相当分については、本来の帰属先である佐賀県に返還されるべきである。

5 海砂採取事業者から壱岐市内の漁業協同組合又は組合長会等に拠出された海砂採取迷惑補償料について、区域外採取相当分を過去10年分に遡って精査し、佐賀玄海漁業協同組合側に返還させること。
本来補償を受けるべきは、区域外採取によって影響を受けた佐賀県側の漁業者及び沿岸関係者である。

6 区域外採取が確認された海砂生産組合、有明商事グループ及び葵新建設については、採取事業者としての登録抹消を含む厳正な処分を行うこと。
長年にわたり区域外採取が繰り返されていた事実が確認された場合、行政処分は形式的な注意や短期間の停止にとどめるべきではなく、採取事業からの排除を含めた厳正な対応を行うこと。

7 長崎県当局、採取業者、関係団体との間に不透明な運用や癒着構造がなかったか、長崎県議会としても実態解明を行うこと。
採取許可区域の設定、採取限度量の算定、海砂採取事務取扱要領の運用、補償料の流れについて、委員会として必要な資料提出と説明を求めること。

以上、玄界灘の海洋環境、佐賀県側漁業者の生活、そして公共資源の適正管理を守るため、長崎県議会観光生活建設委員会におかれましては、長崎県当局に対し、早急かつ厳正な対応を求めていただきますよう、強く申し入れます。

 

[ 2026年6月19日 ]
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