ダイハツ軽トラ約30万台リコール 水分でボルト腐食、始動不能のおそれ
ダイハツ工業は16日、軽トラック「ハイゼット トラック」と、同社がOEM供給するトヨタ自動車の「ピクシス トラック」、SUBARUの「サンバー トラック」の3車種について、国土交通省にリコールを届け出た。対象は2021年12月から2025年7月までに製造された計29万8748台で、17日から無償修理を始める。リコール届出番号は5849。
バッテリー本体ではなく固定ボルトに不具合
不具合が確認されたのは、バッテリーのマイナス端子を固定する締結ボルトである。端子周辺の締結構造に対する設計検討が不十分だったため、走行時に車体が巻き上げた水分などが周辺に滞留し、ボルトが早期に腐食する可能性があるという。
腐食が進んだ状態で使用を続けると、ボルトが折損し、スターターが起動しなくなる。その結果、エンジンを始動できなくなるおそれがある。バッテリーそのものの性能低下ではなく、電気系統をつなぐ端子部分の固定不良が始動不能を招く構造だ。
国土交通省の資料によると、不具合は市場からの情報を通じて判明した。これまでに27件の不具合情報が寄せられているが、事故は確認されていない。
ハイゼットだけで27万台超
対象台数の内訳は、ダイハツのハイゼット トラックが27万2600台で最も多い。トヨタのピクシス トラックが1万3379台、SUBARUのサンバー トラックが1万2769台となっている。
同じダイハツ製の軽トラックが、トヨタとSUBARUにもOEM供給されているため、一つの設計上の不具合が3ブランド、約30万台に及ぶ大規模リコールとなった。
対象となる製造期間は全体で2021年12月3日から2025年7月4日まで。ただし、車種や型式によって期間は異なり、サンバー トラックは2021年12月13日以降に製造された車両の一部が対象となっている。
防水カバー追加とボルト交換
改善措置では、対象となる全車両について、バッテリーのマイナス端子に防水カバーを追加する。あわせて、腐食の有無にかかわらず締結ボルトを新品へ交換する。修理費用はかからない。
対象者には、ダイハツ、トヨタ、SUBARUの各販売会社からダイレクトメールなどで通知する。対象車両には仕事で日常的に使われるケースも多いとみられ、出先や作業開始時にエンジンを始動できなくなれば、配送や現場作業に影響が及ぶ可能性がある。通知を待たず、早めに対象の有無を確認することが望ましい。
購入時期だけでは判断できず
メーカー各社は、対象となる車台番号の範囲に、実際にはリコール対象外の車両が含まれる場合があるとしている。また、公表されている製造期間と購入時期は一致しないため、「2025年に買ったから対象外」などと単純には判断できない。
所有者は車検証に記載された車台番号を使い、各メーカーのリコール対象車両検索で確認するか、購入した販売店に問い合わせる必要がある。国土交通省も、正確な対象判定についてはメーカーや販売店への確認を求めている。
軽トラックは耐久性や実用性が重視される一方、雨水や泥水にさらされる環境で使用されることも少なくない。今回のリコールは、比較的小さな締結部品の設計が、長期間の使用を通じて車両の始動機能全体に影響を及ぼす問題となった。事故は発生していないものの、腐食は時間の経過とともに進行する可能性があるため、対象車両の所有者には早期の無償修理が求められる。





