アイコン 長崎撤退の三菱重工 新たに下関に造船関連施設用不動産購入 米艦受注できるか


高市政権は2025年12月、「造船業再生ロードマップ」を公表。
建造量で24年907万総トンを、10年後の35年には1800万総トンと倍増させる計画。そのために、35年までに官民で1兆円超の投資を実現させる計画。GDP倍増の170兆円投資計画より先に発表されていた。

造船業の経営環境
温暖化ガスの排出が少なく、低燃費の商船や軍艦などを新造するニーズがあり、老朽船の更新ラッシュも重なっている。すでに欧州では環境適合船を義務化する。
造船大国だった日本の新造船のシェアは、今や韓国・中国に市場を喰われてしまい世界全体の1割程度。
日本が船主となる船を造る際も、海外の造船所に頼らざるを得ない状況。また、日本の大手商船会社も、価格面から日本の造船会社には発注せず、韓国へ大量発注する政治配慮なき、国益を考えない利益第一主義の商船業界となっている。

 

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ただ、資源や穀物や電子製品などを輸入品に依存する日本にとって造船能力の低さは経済安全保障上のリスクに直結している。新コロナ以降、世界中の各国が経済安保をはかる中、日本も国挙げて造船業の復興を目指している。
造船業の裾野は広い。そのため、大型投資の恩恵は舶用エンジンやバルブ、計器などを手掛ける企業など広範に及ぶ。
韓国は造船量は今や中国に大幅に先を越されているが、舶用エンジンの多くを中国へ輸出している。日本は政権者たちが米国発の新自由主義の経済政策に心酔し、コアの国内市場を衰退させ続けてきた。

過去の財閥系の大手造船会社は今や(建造予算がある)軍艦しか建造できなくなり、商船は今治造船など、地方の造船会社が生き残っているだけである。

●長崎県の造船業は、三菱造船が新造商船の建造工場だった巨大ドッグを持つ香焼工場の新造船部門を大島造船所に譲渡、実質、創業者の岩崎翁が開設した長崎市の造船所(長崎市内の幸町工場/渕町+飽の浦工場/香焼工場など)は、飽の浦のタービン工場だけを残し、同造船所の機能は諫早工場に縮小移転、集約され、昔の面影はない。

三菱重工長崎造船所の現在の機能は、造船ではなく、火力・地熱プラント、燃料電池、石炭ガス化複合発電、舶用機械、航空機用エンジン部品、高密度艤装船、防衛機器、宇宙機器などの製造を行っている。

同社は、小泉の聖域なき削減を真似た経営陣が利益第一主義に走り、技術開発・設計部隊さえ大幅縮小させ、建造力、技術開発力、価格競争力を大幅に落とし、大型客船建造の失敗と火災、インド洋で同造船所の新型の大型コンテナ船が真二つに折れる事件などが発生、現在の三菱重工の造船は予算が豊富な軍艦や潜水艦の建造しかできなくなっている。それでも建造した軍艦でさえ納期遅れを発生させるなど・・・。

●佐世保重工は経営難から大阪の名村造船(大阪)の完全子会社に。

●大島造船(長崎県西海市)は、1975年に大阪造船所、住友商事、住友重機械工業により設立されたが、現在では、今治造船など多くの造船会社が株主になっている相浦機械が筆頭株主、次は大島造船が子会社を作り自社の迎賓館として開業させたオリーブベイホテルが大株主。大島造船は利益率も高く健全経営の造船会社。
◎三菱重工の造船部門そのものが今や世界遺産になりつつある。

三菱重工下関造船所、造船関係機械製造工場の建設用地を30億円で取得
三菱重工下関造船所は、下関市が埋立造成した市有地の「長州出島」を30億円で買収した。造船関係の工場を造る計画。下関造船所も開業から112年を超す古い造船所で第4ドッグまである。政府補助もある国内フェリーを中心に建造している。
三菱重工には、長崎・下関のほか、神戸(主力は軍艦・潜水艦建造)、横浜船渠(現横浜製作所/風力発電機、ガスエンジン製造や修繕船など事業)
高市政権の造船業の復活機会を享受する。

米軍艦建造を海外同盟国企業に依頼へ
米トランプ政権、日・韓・トルコの軍艦を参考に、軍艦2隻を3ヶ国の何れかに発注へ。
9月1日、「ホワイトハウスと米海軍は、新フリゲート艦として日本の新型FFM(もがみ型改)、韓国の忠南級フリゲート艦、トルコのイスタンブール級フリゲート艦を検討している」、「この評価は今年11月12日に提出される予定」。
国防総省は2027会計年度の予算案に18.5億ドルを計上し、この資金の使用用途として「外国設計によるフリゲート艦と駆逐艦・巡洋艦の採用や同盟国の造船所における建造・部品製造を含む大規模研究」と説明している。

米国では、「海軍艦艇の国外建造(上部構造の主要部品製造も含む)はバーンズ・トレフソン修正条項で禁止している」、「米行政管理予算局(OMB)は、予算面から海軍艦艇を同盟国の造船所で建造したい」、造船業界は「議会と造船所業界団体は雇用を守るため海軍艦艇の国内建造を守りたい」、「ホワイトハウスは同盟国設計の艦艇を取得して国内建造させることで雇用と投資を生み出したい」としている。設計図を取得するため当初の2隻を決定艦艇国に建造依頼し、同型艦はそれ以降は米国で製造する。

バーンズ・トレフソン法の修正案で、「下院は戦闘艦艇の海外建造にFY2027の資金を使用するのは禁止だが、補助艦艇についてその限りではない」、「上院は補助艦艇のバルク燃料輸送船と戦略輸送船を最大2隻ずつ建造することについては条件付きで認める」とし、そのうえで上院は受注した海外の造船所に米造船産業基盤への直接投資を義務付ける方針。

バーンズ・トレフソン法の修正案の成功事例
「(米国の)沿岸警備隊の中型砕氷船計画」で、カナダ企業の米子会社の造船会社が受注し、カナダ社は2隻建造を受注し、同社が所有するフィンランドのヘルシンキ造船所で建造、その後は、米ガルフ・カッパー造船所が建造し、米国の造船労働者の雇用を守ることになっている。

米国の新フリゲート艦の検討では、
●日本の「三菱重工業の新型FFM(もがみ型改)輸出バージョンのフリゲート艦、
●韓国の「現代重工業、ハンファオーシャン、SKオーシャンプラント」が建造している「忠南級フリゲート艦、
●トルコのイスタンブール海軍造船所、アナドル造船所、セデフ造船所、 セフィーネ造船所が建造している「イスタンブール級フリゲート艦」
が検討候補に挙がっている。
決定された造船会社が3隻目以降を建造するには、造船所を米国に作るか、米国の造船会社を買収する必要がある。
〇韓国は官民揃ってトランプに「МAМGA」の帽子まで作りトランプにゴマすり提供、米軍艦の受注や軍艦の修繕船事業の受注に懸命となっている。
韓国のハンファはすでに米軍艦を製造しているフィリー造船所(現在名:ハンファ・フィリー造船所)を2024年に買収し所有している。米海軍から各種ミサイル搭載専用の特殊軍艦の建造も受注している。

日本のもがみ型改は、近海防衛担当フリゲート艦として建造、コンパクト設計の多機能艦として射撃砲や各種ミサイル・魚雷なども備え、哨戒ヘリも1機搭載、機雷用のソナーシステムも備えている。

↓もがみ1番艦
2022年3月、1番艦は三菱重工長崎造船所で建造されたが納品日までは建造が遅れ、三井E&S造船玉野艦船工場(現・三菱重工マリタイムシステムズ)が建造した2番艦が先に納品された。こうしたことも長崎造船所の解体が行われた原因ともなった。
すべては三菱重工の経営陣に責任のすべてがあるにもかかわらず、三菱重工創業の地の造船所を実質解体した。日本のしっぽ切りの官僚体質は旧財閥企業に今でも残っている。

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[ 2026年9月 4日 ]

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