アイコン 貿易支配国の米国、欧州の火薬庫イタリアとスペインの政局

 

 

EUは米トランプの制裁に真っ向から対決すべき時期に、イタリアとスペインの政治が揺れている。
スペイン議会は1日、マリアノ・ラホイ首相に対する不信任案を可決した。
スペインでは5月下旬、中道右派の与党・国民党の元幹部が企業から賄賂を受け取ったとされる汚職事件で、元幹部など29人に有罪判決が言い渡され、これを受けて野党第1党の社会労働党が議会にラホイ首相に対する不信任案を提出していた。
不信任案の採決は1日行われ、賛成180票、反対169票、棄権1票の賛成多数で可決された。
これにより野党・社会労働党(PSOE)の党首ペドロ・サンチェス氏の首相就任への道が開かれた。
ラホイ氏が党首を務める与党・国民党(PP)の大量汚職問題が引き金となった不信任案は、PSOEに加え、少数政党の急進左派やバスクなど民族党も賛成にまわりで可決したものだった。1977年の民主化以降、不信任案可決によって退任に追い込まれた首相はラホイ氏が初めて。

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ラホイ首相は、これに先立ち、自身に対する信任投票を待たずに敗北を認め、国に尽くせたのは「光栄」だったと述べ「不信任動議は可決される見通し、これはつまりペドロ・サンチェス氏が新首相になることを意味する」と話した。
サンチェス氏は、今回の信任投票を要求していたラホイ氏の政敵であり、次期首相就任を目指す構えを見せている。

ただ、社会労働党(PSOE)は中道左派であり、イタリアのようなポピュリズムに乗じた5つ星運動のようなEU離脱・放漫財政派ではないとされる。
だが、サンチェス政権になっても、サホイ首相同様、少数与党となり、政治の混乱は続くものと見られる。

今年3月に総選挙をやったばかり、サンチェス氏は、来年5月の欧州議会選、国内地方選が終わるまで総選挙は行わないとみられている。
EU加盟に対する対応は、組閣後、しばらく様子見る必要がある。
PSOEとPPが大連立することは考えられない情勢。

<イタリア>問題を抱える新政権/世論調査ではWスコアでEU離脱派を圧倒
新政権は、当面EU離脱は考えず、それでもEUが財政の健全化を求めて実施している緊縮財政に対しては、歳出拡大策を取る。

イタリアでは、スペインより深刻、3月の総選挙で反グローバリズムの「5つ星運動」と右派の「同盟」が連立することで勝利した。しかし、なかなか組閣に至らず、今般、やっと組閣の運びになった。
これは、両党が、財務相にEU懐疑派エコノミストのパオロ・サボーナ氏(81歳)を指名したものの、過去の反省から憲法により国会に縛られず任命権を持つマッタレッラ大統領が拒否権を発動、一時は解散総選挙になる可能性もあったが、財務相にEU中道派のエコノミストのジョバンニ・トリア氏(69)氏を起用し、首相に政治経験0の法学者ジュゼッペ・コンテ氏(53)を起用することで大統領と合意した。
コンテ氏が現在組閣に当たっている。五つ星のディマイオ党首と同盟のサルビーニ書記長は共に副首相に就任し、財務相を大統領から拒否されたパオロ・サボーナ氏は欧州担当相に就任する。

ただ、与党となる両党は、根本が反グローバリズムのEU懐疑派であり、今後、EUの財政規律にとらわれない財政政策や、これまで、移民や難民への規制強化を掲げてきたことから、新政権が実際にどのような具体策を打ち出すか、EUとの対立懸念も大きく、EUの不安定要因になっている。
イタリアは、まだEUが求める財政の健全化には至っておらず、金融機関にしても再建中(イタリアの銀行の不良債権はGDPの約2割と巨額)、EUのタガが外れ、新政権が自主独立の放漫財政を公約どおり実施し歳出拡大を行った場合、EU本部との対立だけではなく、イタリアの財政が再び緊迫化する可能性もある。

しかも、これまで2回助けたようにEUは支援せず、信用不安に陥っても助ける相手がいなく、ギリシャのようになってしまう可能性すらある。それでも、EUを離脱しない限り、EU全体に与える影響は、ギリシャと比べものにならないほど経済規模が大きい。
イタリアは、眼下、EUを離脱せず、EU本部に逆らって財政・金融政策を行うことになる。

こうした中、世論調査ではEU残留派が65%前後を占め、新政権も世論に縛られる可能性も高い(EU離脱支持は30%未満と残留派がWスコア)。

財政不安に陥ったイタリアに対して、EUによる金融締め付けと難民の取り扱いでEUとイタリアの国民感情が交錯し、国民感情に火をつけたのがポピュリズム政党の5つ星運動となる。しかし、政権担当となると、失敗した場合、即、国民の熱は冷めてしまうことにもつながる。
すでにその証が世論調査での国民のEU残留支持率の多さではなかろうか。

更なる変数として欧州から嫌われ者の米トランプが、5つ星と同盟を煽る可能性もある。

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[ 2018年6月 2日 ]

 

 

 

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