アイコン ホンダ 中国問題深刻 誤った判断は顧客離れ引き起こす懸念も

 

 

ホンダは2月、中国で売れ筋のCR-Vが、「エンジンオイルパンにガソリンが流入してしまう」などのクレームが生じ、極寒地でエンジンが停止するという問題も発生、同車種はリコール・販売停止に追い込まれ、まだ問題の解決と改良エンジンの生産にてこずっている。
(ネットでは1月から問題になっていた)
(問題車両は東風ホンダ製造分・・・以前も東風と馬が合わず、広州ホンダを主力にした時期があった。)

中国奥地の冬季は、極寒、エンジン停止はいたたまれないが、死者が出なかっただけヨシとすべきだろうか。
しかし、日本ではFIT3ハイブリッドの販売を急ぎ、2015年秋から2016年春にかけ5回も6回もリコールして信用失墜、それ以降、FITが月間販売台数で1位や2位になったことはない。
当然、販売前の想定されるあらゆる条件下でのテスト走行は行っているものと見られるが、実際の市場では問題が発生し、リコールを繰り返していた。
このときも技術のホンダが・・・という失望の声が聞かれた。
こうしたFITの問題が、教訓化・共有化されず、今回、中国で同じような問題を起こしている。
これはただただ、経営陣の問題としか言いようがない。

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<ホンダの経営体制>
代表取締役:八郷社長は購買・生産上がり、
代表取締役:倉石副社長は長期にわたり中国担当だったがマネジメント畑。
専務取締役:研究開発・知的財産管理担当
専務取締役:営業担当・北米地域本部長
専務取締役:生産担当
専務取締役:財務・管理担当
取締役相談役:モータースポーツ出身
取締役:常勤監査委員2人(現場対応できない)
社外取締役:5人
以上、取締役は14名

北米担当取締役はいるが、中国担当の取締役はいない。
執行役員に中国本部長の水野氏がいるが、執行役員ではランク落ち、それも生産出身なのか、営業出身なのか、マネジメント畑かもわからない。

<倉石副社長の誤った判断>
倉石副社長は4月、日経による中国でのリコール問題についての取材で「問題は大きくない」と回答している。4月・5月の落ち込みを見てもまだそう思っているのだろうか。
(韓国勢が3月から昨年の反動で回復中とはいえ、一昨年よりまだ大きく出遅れており、米国勢が反米感情の高まりでマイナスになった分だけ、日本勢の販売環境はプラスに作用するなか、ホンダの5月の落ち込みは▲15%減にもなっている。倉石副社長のような間違った判断で、対策が遅延したり、対策を怠ったりすれば、リコール内容が内容だけに客離れを引き起こす可能性すらある。今や販売は戦国時代、ライバル社の弱みに付け込む販売は常套手段として用いられている)

<販売戦略面から>
昨年ホンダは中国市場で144万台販売し、米国では164万台販売している。しかし、販売の伸び率は中国が15.5%増に対し、一方、米国では0.2%増にとどまっていた。
市場の大きさからして、どちらも大事だが、それでもどちらに重点政策を取るか。北米は早くから進出し、精算も販売も体制が出来上がっており、当然、同社の販売台数を、売上高を増加させる原動力となるのは中国ということになる。しかし、同社の経営人材のシフトは中国を向いていない(但し、米国のトランプ変数は考慮せず)。

<取締役14人中、現場対応プロパーは7人>
中国では合弁だろうが、生産についてはすべてホンダが握っており、やはり、中国には強力な管理畑と生産管理畑の役員が必要ではないのだろうか。
同社は、社外取締役ばかり増加させ、全14人の取締役のうち社外除けば9人、うち2人は常勤監査委員を除けば実質7人(うち一人は相談役)しかいない。
取締役が多ければよいというものではないが、米国におけるタカタ問題に対する対応問題にしろ、国内のFIT問題にしろ、今回の中国問題にしろ、問題を発生させている以上、人材面からも体制強化が必要なのではないだろうか。

人物は別にしても中国本部長は取締役であるべきであり、生産現場上がりでなければ、強力な生産現場を管理する人材の執行役員を付けるべきだろう。それほど、生産現場で技術面を管理しながら、中国人を管理し、工場を管理することは中国では難しい。

1度あること2度あり3度あり。ホンダたるものやはり2度同じような問題を発生させてはなるまい。

<ホンダの今年の中国の月別販売状況>(マークラインズから引用)
1月:販売台数は、前年同月比10.9%増の12万6,174台だった。
1月の月間販売台数記録を更新した。
モデル別では、「アコード(Accord、雅閣)」、「シティ(City、鋒範)」、「シビック(Civic、思域)」、SUVのアキュラ「CDX」および「XR-V」が好調、また「フィット(Fit、飛度)」、「ジェイド(Jade、傑徳)」および「エリシオン(Elysion、艾力紳)」、ミッドサイズSUV「アヴァンシア(Avancier、冠道)」の販売が大幅に増加した。

2月:販売台数は前年同月比▲5.9%減の7万7,065台だった。
モデル別では、「アコード(Accord、雅閣)」、「エリシオン(Elysion、艾力紳)」、「クライダー(Crider、凌派)」が好調で、「ジェイド(Jade、傑徳)」、ミッドサイズSUV「アヴァンシア(Avancier、冠道)」の販売が大幅に増加した。
1~2月累計では前年同期比3.9%増の20万3,239台。
(追記、2月マイナスになった原因は、2月にCR-Vにエンジン問題が発生し、中国ではネットで即拡散。その後、リコールと販売停止に追いこまれた。)

3月:販売台数は前年同月比▲13.0%減の9万7,587台だった。
モデル別では、「アコード(Accord、雅閣)」、「ジェイド(Jade、傑徳)」、ミッドサイズSUV「アヴァンシア(Avancier、冠道)」、「UR-V]の販売が増加したが、リコール問題で出荷を停止している「CR-V」が大幅に減少、「フィット(Fit、飛度)」、「ヴェゼル(Vezel、繽智)」、「シビック(Civic、思域)」などの販売も減少した。
1~3月累計では前年同期比▲2.3%減の30万826台。

4月:販売台数は前年同月比▲8.8%減の10万1,027台。
モデル別では、「シビック(Civic、思域)」、「ジェイド(Jade、傑徳)」、「エリシオン(Elysion、艾力紳)」、ミッドサイズSUV「アヴァンシア(Avancier、冠道)」、「UR-V」などの販売が増加したが、リコール問題で出荷を停止していた「CR-V」が大幅減少を継続、また「アコード(Accord、雅閣)」、「グレイス(Greiz、哥瑞)」などの販売も減少した。
1~4月累計では前年同期比▲4.0%減の40万1,853台。

5月:販売台数は前年同月比▲15.3%減の9万9,263台。
モデル別では、「クライダー(Crider、凌派)」、「シビック(Civic、思域)」、「ヴェゼル(Vezel、繽智)」、「エリシオン(Elysion、艾力紳)」、「オデッセイ(Odyssey、奥徳賽)」、ミッドサイズSUV「アヴァンシア(Avancier、冠道)」、「UR-V」の販売が増加したが、リコール問題で出荷を停止していた「CR-V」が大幅減少を継続、また「アコード(Accord、雅閣)」、「フィット(Fit、飛度)」などの販売も減少した。
1~5月累計では前年同期比▲6.5%減の50万1,116台。

 

中国 ホンダ販売台数推移
 
販売台数
前年比
2014
788,276
4.1%
2015
1,006,332
32.5%
2016
1,247,713
24.0%
2017
1,441,307
15.5%
18/1
126,174
10.9%
18/2
77,065
-5.9%
18/3
97,587
-13.0%
18/4
101,027
-8.8%
18/5
99,263
-15.3%
18/1~5月
501,116
-6.5%

 

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[ 2018年6月13日 ]

 

 

 

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