大統領府の尹道漢国民疎通首席秘書官は、「ロシア側が次席武官を通じて『機器の誤動作で計画されていない地域に進入した。意図を持って侵犯したものではない。すぐに調査に着手し、必要なあらゆる措置を取る」と釈明した』と語っていた。

これは先にこうした内容を韓国大統領府が発表することにおいて、ロシア政府の発表もそれに準じた内容になるだろうとの読みで、かつてに発表したものと見られる。

ところが、わずか数時間後、ロシア政府は、同日午後、ロシア側から「韓国軍のパイロットたちは自国軍用機の飛行航路を妨害し、安全を脅かす非プロフェッショナルな飛行をした」という公式電文を受け取った。
韓国大統領府が「ロシア側が次席武官」の話として伝えた内容はロシア側では確認もされておらず、完全に否定した。

２３日午前中に領空侵犯事件は発生、その日のうちにロシア武官と大統領府は会合を持ったとされる。駐韓大使館のロシア武官が情報収集もろくにできない時間で、大統領府と会合を持つのだろうか。ロシア武官は会合を持つにしても本国の上層部と話す内容についても調整時間が当然必要である。

これに先立ち、ロシアの国防長官は前日の声明で、「領空を侵犯していない」という見解を表明、ロシア航空宇宙軍司令官も「韓国のパイロットたちの行動は『空中錯乱行為』だ」と非難した。
ロシア側もＴｕ－９５の２機しか公表せず、その機の前方を威嚇飛行したとしていた。

韓国の政界では、大統領府が、意図的に事案を矮小化しようとしたという批判もある。
尹道漢首席秘書官は「（前日のロシアの国防長官声明は）公式見解ではなく、ロシア次席武官の釈明が公式見解だと判断した」と説明して誤魔かしている。（ロシア国防長官もコケにされたものだ）
・・・・
肝心の大統領府に金の玉を抜かれた国防部の鄭景斗長官は、日本が竹島を自国領土だと主張したことについて、「一考の価値もない」と反論したものの、中・露の挑発行動に対しては一言も抗議や批判をしなかった。
そうして、遅れて「（ロシアの主張は）事実の歪曲であるだけでなく、昨日外交ルートを通じて明らかにした遺憾の意の表明や再発防止コメントとは対照的だ」と述べた。

２５日、韓露は協議を持ち、韓国側はロシア側に対して、韓国戦闘機のレーダー記録などから作成したロシアのＡ５０早期警戒管制機の飛行ルートの詳細をロシア側に渡したという。その際、ロシア側から領空侵犯の謝罪等の言動は一切なかったという。ロシア側は飛行ルート資料を持ち帰り検討するという。

以上、

戦時作戦統制権早期返還論者で盧武鉉政権下で海軍参謀総長に就任、その後退役、文大統領になり国防長官に海軍からはじめて大抜擢、大統領府に現在も影響力を持つ宋永武前国防長官に忖度した韓国海軍は、昨年１２月２０日、海上自衛隊哨戒機に対するレーダー照射事件を発生させたものの、大統領府が情報をコントロールし、鄭景斗国防長官による完全否定発言、問題のすり替え、自衛隊機が威嚇飛行したと槍玉に挙げ、韓国側の公開映像では作為して近接飛行させるなどしていた。安全保障上とても付き合える相手ではない。

＜うがった見方＞
今回は、大統領府の言いなり飾り物になっている空軍出身の鄭景斗長官が可愛そうで、鄭長官に忖度した空軍が、ロシア軍機に対してフレア弾２０発、３６０発の警告射撃をさせたものと見られる。しかし、今回は日本が相手ではなく、大統領府は、いつものように手前都合のよいように、ロシア謝罪により早期収束をさせるつもりだったようだ。
しかし、ロシア側からすれば、Ｔｕ－９５に対する航路妨害など逆に抗議され、タジタジになっている。
（ＧＰＳがなかった１９８３年、大韓航空機がソビエト領空に侵入し撃墜され搭乗者２６９人全員が死亡した事件があった。）

竹島上空であり、もしも自衛隊機がスクランブル発進していた場合、韓国空軍の餌食になっていた可能性すらあるが、日本の防空識別圏は竹島上空には至っておらず、危うきに近寄らない。
今回の中国とロシアの空軍機による飛行演習については、日本も各地から１２機負まりをスクランブル発進させている。いずれも防空識別圏内での対応である。

結果、鄭景斗長官は今回もうだつが上がらない、大統領府からコケにされる材料を作ってしまったものと見られる。