アイコン 日産ルノー、仕掛けた仏マクロン大統領の焦り 支持率下落に加えデモでパリマヒ

 

 

フランスのマクロン大統領は昨年5月、大統領に就任したが、政策がどっちつかずで、今年8月、9月、11月と痺れを切らした大臣たちが辞任、支持率も25%まで落ちている。
 そこに、燃料税を導入しEVを導入させようとしたが、10月の失業率も9.1%(若年失業者21.5%)と高く、景気もヨチヨチ歩きの中での政策に、生活が苦しくなるとして、パリでは燃料税に反対するデモで首都の道路がマヒする事態に陥っている。
 マクロンは、ルノーのEVを買わせようとしているのだろうか。

マクロンは、2014年のオランド政権時代、ルノーを担当する経済大臣だったが、その時に、ルノーに対する政府介入を強化するために、ルノーに対する15%の政府持株を、2年以上所有株の議決権を2倍にする法案を立案・可決させ、さらに、政府資金を1500億円以上を投資してルノー株を4.7%買い増した。
その目的は、ルノーによる日産の吸収統合であった。

しかし、大臣など相手にしないゴーンCEOが反発、日産からも猛反発の声が上がった。

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結果、仏政府はルノーに介入しない、仏政府の持株は18%までに制限することで一件落着した。買い増した4.7%の株式は大統領に昨年5月に就任した後の11月に1600億円で売却している。

しかし、政府資金を1500億円あまりも投じた作戦が頓挫したことは、オランド大統領に対しても赤恥をかかせ、マクロンにとって煮えくり返る案件となっていた。

そうした怨念が、今年になり、大統領になった身として、再びメラメラ燃え上がった。
再度、日産をルノーに吸収統合させる画策を練った。
相手は前回反対に動いたゴーンCEOをターゲットにした。
ゴーン氏は今年6月、ルノーCEOの任期となっていた。
当然、フランス政府は筆頭株主としての存在は変わりなく、ゴーンのCEOの再任を拒否することもできる。
ゴーン氏にしても、マクロンが大臣だった時には、日産の動きもあり、強気にも出たものの、大統領になったマクロンには、任期の問題もあり、従わざるを得ない。

そこで、マクロンとゴーンは、一撃の下に日産を吸収統合する段取りを取っていた(今年12月までに吸収統合する動きだったとされている)。

しかし、日産側がその動きを察知するに至り、日産は、ゴーンに裏切られた思いで、これまで、日本の証券等監視委員会や監査法人が問題提起し、中途半端に終わらせていた私的流用などゴーンの足元を崩す調査に乗り出し、

1、今回、逮捕されたケリー代表取締役など極一部で共有されていた年10億円の報酬を別途、退職後にまとめて受領する契約書を作成(ゴーンの署名なし)していたことを突き止め、報酬未計上問題、
2、株価連動型報酬の未掲載問題、
3、日産が欧州に設立された会社に対して60億円を出資、その出資金のうち20億円がゴーン専用の世界5~6ヶ所の居宅購入問題、
4、ブラジルにいる実姉に対しても何もしていないのに毎年10万ドルのコンサル契約を締結して長年支払い続けてきた経緯があり、リオの(日産子会社所有のゴーン用)居宅も形式的には管理目的で住まわせている問題。
5、家族旅行の私的経費の付回し、
6、私的投資(損失)の日産付け回し
など数々の疑惑が噴出してきている。

そうした不正の流れの中で、東京特捜が動き、ゴーン代表取締役会長とゴーンの会社内の裏仕事を専門に行っていたケリー代表取締役を11月20日に逮捕した。

これに慌てふためいたのはマクロン大統領。
広義には、ルノーの雇用問題があるとしながら、自らが種を撒き、ゴーンを逮捕させてしまったマロン大統領。
大阪万博の決定日だったためパリにいた世耕大臣とフランスのル・メール経済大臣が急遽会合、2人は政治介入しないことで一致したものの、その後、ル・メール大臣はマスコミに連日記者会見して報道させ、TVにも出演、「日産の会長、アライアンスの会長にはルノー出身がならなければならない」など、政治介入しどうしである。

この政治介入は、日産にとって、別の意味でルノー離れを引き起こす可能性を秘めている。
日産は、現行所有する15%のルノー株を買い増ししないということを契約している。しかし、これはフランス政府が介入しないことを条件にしており、こうしたあからさまなル・メール大臣の発言を日産が介入とみなした場合、ルノー株を買い増すことも現実身を帯びてきている。

フランスの証券法では43.4%の日産株を持つルノーに対して、日産が持つルノー株15%は議決権がない。
しかし、日本の証券法では、ルノーが持つ43.4%の議決権は、日産がルノー株を25%以上保有すれば、議決権の行使はできないものになるとしている。

日産はルノー株を10%買い増しすれば、ルノーと決裂することも可能になる。
元々、フランス政府は介入しないことで約束しているものの、マクロンがゴーンを使い、再度日産の吸収統合に、それもこっそり一撃で統合する動きをしていたことに最大の政治介入問題がある。

ル・メール大臣と同様、マクロン大統領はG20で、安倍首相に「日産やアライアンスの会長にはルノー出身者を就任させる」よう泣きついたようだが、安倍首相は賢明で、民間企業に政府が介入すべきではないと一撃して終わっている。

<マクロン人気暴落>66%⇒25%
39歳のマクロンを大統領にしたサイレントマジョリティに対して、マクロンは真摯に対応していれば、大臣たちも辞めることはなかったろうが、元々バンカー出身で日産を手篭めにして、よくぞやったと国民から褒めてもらい一身で動いていた。いや大臣時代の失敗を大統領になり実現しようと試みていたと見るほうが正解だろう。

ところが、ゴーンまで逮捕され、日産はこれ以上ちょっかいを出させば日産がルノーから完全に外れる事態にいたる事態、人望の厚い大臣や支えた重鎮など3閣僚が辞任、支持率は25%に低下、燃料税導入でパリは大混乱、サイレントマジョリティさえマクロンに反旗を翻す事態に陥っている。

ロスチャルド家の中核銀行の元バンカーとしてのプライドが、若さもあり、2014年の失敗を許さないものにしてしまったと見られる。
このままでは、任期を全うせず、辞任するしかないような不甲斐ない大統領に、就任1年半もたたず陥っている。

失業率の高さの是正のため、安直にならず、汗をかき、国民のために動き、国民のための政治をすべきだ。
マクロン支持率は、今年10月33%、11月25%・・・昨年5月の政権発足時66%だった。
以上。

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[ 2018年12月 3日 ]

 

 

 

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