倒産要約版 マレリホールディングス(株)(埼玉)/民事再生申請 負債1.2兆円
ADR申請していたマレリホールディングス(株)(所在地:埼玉県さいたま市北区日進町2-1917、代表:デイヴィッド・ジョン・スランプ氏ほか)は6月24日、東京地裁において民事再生法の適用を申請した。
負債総額は約1兆1856億円。
以下要約。
破綻 要約版 JC-NET版 |
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1 |
破綻企業名 |
マレリホールディングス(株) |
旧、カルソニットカンセイ(株) |
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カルソニックカンセイと伊マレリの統合新会社 |
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2 |
本社 |
埼玉県さいたま市北区日進町2-1917 |
3 |
代表取締役 |
デイヴィッド・ジョン・スランプほか |
4 |
設立 |
2016年10月. |
5 |
資本金 |
1億円 |
6 |
業種 |
自動車部品製造会社 |
7 |
売上高 |
2020年12月期、約1兆2665億円(連結) |
同期▲1442億円の赤字(連結) |
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8 |
破たん |
2022年6月24日. |
民事再生法の適用申請 |
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9 |
裁判所 |
東京地方裁判所 |
10 |
負債額 |
約1兆1856億円 |
11 |
破綻理由 |
日産系の旧カルソニックカンセイ(株)は2017年3月、日産のゴーン采配で米投資ファンドのKKRに4983億円で叩き売られた。KKRは2018年10月に62億ユーロ(当時8000億円)でFCAからイタリアのマレリを買収した。 2019年5月KKR主導のもとカルソニックカンセイとマレリは経営統合、経営統合名目でカルソニックはマレリを実質KKRから買わせられ、統合会社の名もマレリHDになった。 一方、日産および日本司法当局は2018年11月、不正のゴーンたたきを執行したところ、ゴーン(ルノー会長兼欧州自動車工業会会長)が極めて高く評価している欧米の主要メディアから連日、日産と日本司法当局はたたかれ続け、日産の欧州や北米・南米の販売台数は急減、大幅赤字に転落、それにより日産は採算性重視の世界的な事業再編を執行、売上台数はさらに大幅減、、そのうえ急激なEV生産移行による影響を大きく受け、さらに半導体不足による生産減に陥った。 日産やFCAに自動車部品を供給する同社は、規模の大きいマレリを統合していたことから大幅赤字に転落、KKRは融資先に債権カットを求めたものの多数の融資先は合意せず、今年2月事業再生ADR手続きによる金融機関に対して債権カットを要請した。しかしそれも不成立、今回の民事再生の申請となった。
KKRは自らの債権カット、融資先への債権カット分の株交付が求められるのではないだろうか。 KKRは持株比率を3割以下に減少させない限り、融資銀行は再建計画に同意しない可能性もある。 KKRは計算づくで、経営者責任、株主責任を問われる会社更生法ではなく、経営権を温存できる日本の民事再生法の適用を申請したようだ。
ただ、融資銀行も今後のこともあり、KKRとの全面戦争は控えるものと見られる。 KKRは当時のゴーンと良い関係にあったものと推量される。当時のゴーンは、自らの地位の安泰のため、ルノーに対する日産の配当金を増加させるため、車両二次電池メーカーなど日産の出資会社の持株を売却させ、利益の配当の上乗せを図らせていた。
市場はEVに急展開、部品点数も大幅減となる自動車部品業界も大変革が求められている。部品業界はそうした環境に対応できる技術開発が必須となっているが、こうした資金繰りに窮するようでは開発資金も限られ時代環境についていけないかもしれない。 |
カルソニックカンセイ 上場時決算 |
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14/3月期 |
15/3期 |
16/3期 |
売上高 |
9,186億円 |
9,655億円 |
1兆0,533億円 |
営業利益 |
288億円 |
315億円 |
382億円 |
経常利益 |
295億円 |
282億円 |
343億円 |
純利益 |
250億円 |
201億円 |
225億円 |
株主資本 |
1,782億円 |
2,122億円 |
2,166億円 |
総負債 |
2,495億円 |
2,475億円 |
2,219億円 |
総資産 |
4,277億円 |
4,598億円 |
4,386億円 |