アイコン 2023年の半導体の見通し 厳しい


サムスン電子、SKハイニックス、マイクロン、キオクシアなどメモリー業界大手が今年第4四半期(10~12月)にNAND型フラッシュメモリー事業で一斉に赤字を計上するとの見方が示されている。
ロシアのウクライナ侵攻、インフレ退治の高金利、中国のゼロコロナ政策失敗と大感染による世界的な消費低迷で、NAND型フラッシュメモリーに続き、DRAMの収益性も悪化しており、来年上半期にはサムスン電子を含む大半のメモリーメーカーで赤字拡大が予想されている。
市場調査機関ガートナーによると、2023年のメモリー半導体(DRAM、NAND型フラッシュメモリー)の市場規模は1336億ドルで、2022年の1593億ドルに比し▲16.1%のマイナス成長を見込んでいる。

市場調査機関WSTSは、来年のメモリー半導体の成長率を▲17.0%と予想し、半導体市場全体の▲4.1%よりはるかに上回る減速を予想している。
台湾の市場調査会社トレンドフォースは、「四半期ベースの下落幅は2008年の世界的金融危機当時に次ぐ過去2番目だ」とし、「家電など完成品の需要低迷が続く中、サーバー用DRAMの出荷量まで鈍化した」と分析している。

メモリーはすでに供給過剰で多くのメーカーが在庫を抱え生産調整に入っており、第3四半期に人為的な減産はないと否定したメモリー事界世界№1のサムスン電子が方針転換するかどうかに市場の関心が集まっている。

 

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米マイクロン、▲46%の減収予想
 半導体業界と海外メディアによると、米マイクロンは今年第4四半期の売上高が前年同期比で▲46.6%減少し、営業利益は赤字転換する見通しだという。
問題は赤字幅がどれほど深刻な水準になるか不透明なこと。一部海外メディアは過去最高の赤字を予想している。

<SKハイニックス>
SKハイニックスも子会社のソリダイム(旧インテルNAND事業部)の損失を合算すると、赤字幅が1兆ウォンをはるかに超えると予想されている。

<サムスン>
サムスン電子も第4四半期の実績が予想を下回る可能性が示されている。FNガイドによると、第4四半期のサムスン電子半導体部門の営業利益は2~3兆ウォン(約2050~3100億円)にとどまると予想される。 これは前四半期(7~9月)に記録した5兆1200億ウォンに比し約半分。前年同期の8兆8400億ウォンと比べれば1/3にすぎない。
一部には、主力の半導体事業が低迷し、第4四半期の営業利益が6兆9420億ウォンにとどまるとの見方も出ている。
特にNAND型フラッシュメモリー事業は、早ければ第4四半期から赤字に転落する懸念も示されている。
サムスン電子はライバル企業に比べ優れたコスト削減技術と高付加価値NAND分野での支配力によって、収益性では比較優位にあるが、価格の下落幅が拡大し、結局損失を避けられなくなっている。

市場調査会社トレンドフォースによると、第3四半期のNAND価格は第2四半期に比べ▲18%以上下落し、第4四半期には最大▲25%下落している。
サムスンが予想した下落幅よりも深刻となっている。

景気回復が遅くなれば、生産調整を行わないサムスンは価格より販売を優先させ(=シェア拡大)ながら在庫も積み上げ続け、こうした事態が長期化するという最悪の事態に至る可能性すらある。
今年は下半期から需要が回復し、シェア拡大効果が生じるとの見通しもあり、メモリー事業が赤字転落する事態にまでには、発展しないというのが専門家の共通認識という。
メモリー事業が赤字転落した場合、サムスンといえども経営陣に対する圧力が強まる。
 サムスンに詳しい関係者は「権五鉉元会長時代から固めてきた弾力的なポートフォリオ調節能力は、これまでサムスンが不利な市場環境でも一定の収益規模を維持できる基礎体力になった」とした上で、「最近の市況はパンデミックや戦争、インフレに地政学的な不確定要素など一寸先も見通せない状況であるほか、サムスンメモリー事業部の赤字転落は李在鎔会長をはじめとする経営陣に負担にならざるを得ず、赤字覚悟で現在の供給量に固執するとは思えない」と指摘した。

自社製半導体を搭載するスマホ、電子製品、家電が回復すれば、他社の需要も回復するが、欧州の電化製品への消費電力規制の動きなど景気回復需要に逆行する動きもある。

また想定外事象の発生、
ロシアのウクライナに対する核使用(ザポリージャ原発の破壊or戦術核の使用)
中国の新コロナ感染拡大によるパニック
中国の台湾侵攻
新コロナウイルスの新たな人類への脅威となる凶悪変異株出現

韓国は財閥は中が悪く、協調という言葉は通用しない、市場は食うか食われるかの戦場であり、ライバル関係にある。造船業界でも互いにたたきあいダンピング受注した挙句、2015年には3社とも銀行管理下に陥っていた。サムスンとLGは洗濯機事件、商標問題などで仲が悪く、LGとSKは特許問題で訴訟沙汰、米バイデン大統領が強制和解させた経緯がある。SKが半導体事業で窮地に陥ってもサムスンはわが道を行くというスタイルをとり続けることだろう。それゆえに大財閥に上り詰めている。戦略なきサラリーマン経営の日本の大手企業と異なるところだろう。

[ 2023年1月 1日 ]

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