アイコン 選挙コンサルへの支払い問題 長崎県知事の答弁拒否が抱える政治的リスク(2022年12月9日~言論サイト『論座』郷原信夫)その4


https://webronza.asahi.com/politics/articles/2022120700007.html

大石賢吾

上記の大石けんご氏に選挙期間中、付きっ切りでTwitterを担当していたSNS嬢中村佳美はジャッグ・ジャパン・大濱崎卓真氏に雇われて、2ヶ月間にわたって長崎に長期出張できていた。当然、ジャッグ・ジャパン・大濱崎氏がホテル代とか旅費や労務費は、電話代402万円の内から払ったと考えるのが妥当でしょう。

「電話代」以外が含まれるのかという客観的事実は捜査に影響するか

郷原信郎 郷原総合コンプライアンス法律事務所 代表弁護士

郷原

 

 

告発状についてオンラインで説明する郷原信郎弁護士と上脇博之・神戸学院大教=2022年10月19日

 

 

それに対して大石知事は・・・・将棋で言ったら完全に詰んでる。

 

 

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「捜査に与える影響」は考えにくい

 小林県議の大石知事への質問は、このような状況を受けて、既に確認されていると思える第1段階の客観的事実について確認すべく、大石知事が、6月県議会で、約402万円の「電話代」について、「402万円はオートコールなど」と答弁していたことについて「など」が何なのかを具体的に問うものであった。
 質問自体は、大石知事はもちろん、告発されている出納責任者、選挙コンサルタント等の犯罪の嫌疑についてのものではなく、あくまで、大石知事が選任された知事選挙で、大石知事が提出した選挙運動費用収支報告書について、6月議会で知事自身が答弁している内容について具体的に問うものであり、質問自体は全く正当である。

 しかも、そもそも長崎地検が受理している告発事件について、県知事がいかに発言しようが、捜査に影響することはないし、小林議員が質問したのは、長崎地検の捜査等によって既に確認されていると考えられる第1段階の「客観的事実」であり、それに答えること自体が、捜査に影響を与えることも考えられない。
 大石知事は、「告発状が受理され、捜査が進行している状況にあること」を理由に、「選挙に関する質問」についての答弁を拒否したのであるが、少なくとも「捜査に与える影響」は答弁を差し控える理由にはならない。しかし、自らの刑事責任に関連する事項でもあるので、大石知事が「黙秘権の行使」として答弁を拒否するのであれば、それは被疑者的立場にある者の権利なので、致し方ないと言える。
 既に、嫌疑の第1段階としての、約402万円の支出に「電話代」ではないものが含まれているという「客観的事実」はほぼ明らかになっていると考えられるので、それについて答弁を拒否することは、弁明の機会を放棄したということであり、客観的事実が一層疑いの余地のないものになったと言える。

大石賢吾
定例記者会見に臨む大石賢吾知事=2022年11月9日

事実でない記載なら出納責任者の虚偽記入罪も

 もちろん、第2段階の嫌疑、すなわち、被告発人の出納責任者と選挙コンサルタントのO氏についての買収罪の成否については、「電話代には含まれない支払い」の趣旨、被告発人らの認識について、今後の検察などの捜査が行われ、その結果に基づいて判断されるものであり、買収罪について嫌疑が十分ではないとの判断に至る可能性もないわけではない。
 しかし、その点の判断如何にかかわらず、少なくとも、「電話代に含まれない支出」があることが明らかである以上、選挙運動費用収支報告書の約402万円の「電話代」の支出の記載が虚偽であることは否定できない。

 告発状では、買収の事実に加えて、
出納責任者が、J社名義の口座への402万82円の振込送金が、被告発人Oに対する選挙運動の報酬の供与であるのに、大石氏の選挙運動費用収支報告書に、「支出の部」に「科目 通信費」「区分 選挙運動」「支出の目的 電話料金」として記載し、もって、選挙運動費用収支報告書に虚偽の記入をした
 との選挙運動費用収支報告書虚偽記入罪(公職選挙法246条第1項第5号の2)の事実も告発事実に含めている。

 長崎地検の刑事処分において、出納責任者、O氏の買収・被買収の故意等についての証拠上の問題から、買収罪についての嫌疑が十分ではないと判断されて、買収罪について不起訴処分となることは、可能性としてはあり得る。しかし、その場合でも、「電話代には含まれない支出」を電話代と記載したことについて、出納責任者について虚偽記入罪が成立することは否定できない。
 つまり、本件については、上記の第1段階について客観的事実が確認できた時点で、出納責任者についての選挙運動費用収支報告書の虚偽記入罪の嫌疑は十分であり、大石知事が答弁しているように「公職選挙法にのっとって適切に対応した」ということになる余地はないのである。

 今年2月の知事選で当選した大石氏の選挙運動に関して、公選法違反があり得る事態になったことが、今後、長崎県政にどのような影響を与えることになるのか。
 大石知事は、知事に選ばれた選挙での選挙運動費用の収支報告書に「電話代」と記載した支出に、「電話代ではない支出」が含まれていることが強く疑われるのに、それを否定できず、県議会で自ら行った説明について釈明することもできない。そのような状況が、長期間にわたって継続することは、県政に対する県民の信頼を大きく損なうことになりかねない(県政担当のマスコミ関係者によれば、12月2日の県議会には、200人を超える傍聴人が詰めかけ、大石知事が答弁拒否を繰り返した場面では、非難のヤジ・怒号で議場内は騒然となったとのことだ)。

 このような事態を受け、県議会関係者から長崎地検宛てに、早急に捜査を遂げて適正な刑事処分を行うことを求める要請書の提出が予定されているようだ。
 今後、告発状で指摘する、出納責任者を供与者、選挙コンサルタントのO氏を受供与者とする買収罪の成否、大石知事の関与の有無等について、所要の捜査が行われ、検察の判断が下されることになるが、いずれにしても、上記のとおり、出納責任者について選挙運動費用収支報告書の虚偽記入罪の成立は免れないと考えられる。そして、連座制の対象となる出納責任者が公選法違反で有罪となった場合は、候補者すなわち大石知事の当選は無効になる。

 6月の長崎地検への告発状の提出、6月県議会での中村議員の大石知事への質問、10月19日の告発受理を経て、12月2日県議会での小林議員の質問に対して大石知事が答弁を拒否したことで、この問題は、再度の知事選の可能性も含む新たなフェーズに入ったと言えるだろう。

言論サイト「論座」郷原信郎 郷原総合コンプライアンス法律事務所 代表弁護士

[ 2023年1月23日 ]
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