米インフレ率高止まりの根拠 過去最高の就業者数 賃金上昇続く
1月の米小売売上高はほぼ2年ぶりの大幅増となり前月比で3%増と堅調な消費需要を示唆した。年率では6.4%増。
根強いインフレと闘うために米金融当局がインフレ退治のための利上げ継続の決意を固める可能性が高くなっている。
世界はインフレを上半期に押さえ込まなければ、中国爆弾を抱えており、米国はインフレ退治に失敗する可能性がある。
米インフレに誘発された世界のインフレは、14億人の中国景気の回復により、今度は中国発のインフレの影響を米国も世界も受ける可能性がある。
(米国は3.3億人+欧州は5億人=最大9億人/14億人のインド経済も回復してきている)
原油市場では、既に下半期には中国の景気回復による購入増で価格は再び上昇すると見ている。
一方、西側は怒りに盲目的になり、ロシア産原油に対する制裁をさらに強めようとしているが、ロシアが大幅減産すれば、それだけでも原油価格は再び暴騰することになる。
政経分離どころか、経済が政治に利用され、経済戦争により、経済が不自由に展開、世界はコントロールできなくなってきている。
今般でも原油価格は72ドルまで下げたものの、OPECの生産調整によりそれ以上は下がらず、新コロナ以前の50~60ドル台でのベースが既に異なってきている。
米国ではサービス産業が堅調、個人の可処分所得の増加、平均賃金の増加も続いている。
就業者数も増加が続き、12月の1億5,924万人から1月は1億6,013万人と1950年から統計資料以来、過去最高となっている。平均賃金の継続した上昇は労働者の争奪戦が行われていることも意味する。
米国の巨大IT企業のGAFAMやツイッター社などのリストラがメディアを飾るが、一方でこうした排出された即戦力となる人材の争奪戦が繰り広げられているIT業界の現実もある。
当然、就業者数の増加は、個人可処分所得の総額を押し上げ、外食等サービス産業の景気を押し上げ、家賃を押し上げ、食品や家電なども高くても購入し、金利上昇に関係なくインフレ圧力の最大の要因となってくる。
その内需による消費循環により企業経済も消費関連業界が牽引し、好景気は多くの産業へ波及。
また、バイデン政権の経済政策も、軍需産業や自動車産業、バッテリー産業、半導体産業など、結果、Chips法・IRA法による景気刺激策がとられ、就業者数の増加を招いており、よほど金利を上げない限り、インフレ退治の金利政策だけでは限界が生じている。
最悪は、
物価が高止まりしたまま=米金利が高止まりしたまま、中国経済が回復すれば、物価が中国を起源として再び上昇し、再び踏み上げ相場にいたり、持ちこたえている新興国もギブアップする国々が急増、世界の金融・債券市場がパニックに陥る危険性も出てくる。
そうした事態が長期化すれば、経済混乱により世界各国の政治も不安定化する恐れも高くなる。
グローバル化した市場原理により、労働力や電力が安価な国で製造されていた物品が、欧米消費国のサプライチェーンの見直しにより、コストが世界一高い部類の米国で生産されれば、現在の価格が高騰、高止まりするのは当然のこと。市場は再び安価に提供できる中国により、駆逐され続けることになる。
米バイデンの巨額1.9兆ドルの新コロナ経済対策を起源とした米インフレに、22年2月のロシアのウクライナ侵攻による露プーチン制裁、エネルギー価格や穀物も高騰し、狂乱物価を生じさせたこの2つ事案が解決しないまま、さらに3つも4つも事案が重なれば・・・。
スクロール→
米国の各種インフレ率 |
||||||
|
インフレ率 |
|||||
|
総合 |
食料 |
コア |
家賃 |
サービス |
エネルギ |
21/9月 |
5.4 |
4.6 |
4.0 |
3.16 |
3.20 |
24.83 |
21/10月 |
6.2 |
5.3 |
4.6 |
3.48 |
3.65 |
29.97 |
21/11月 |
6.8 |
6.1 |
4.9 |
3.84 |
3.77 |
33.29 |
21/12月 |
7.0 |
6.3 |
5.5 |
4.13 |
4.01 |
29.30 |
22/1月 |
7.5 |
7.0 |
6.0 |
4.36 |
4.58 |
26.98 |
22/2月 |
7.9 |
7.9 |
6.4 |
4.74 |
4.80 |
25.55 |
22/3月 |
8.5 |
8.8 |
6.5 |
4.98 |
5.12 |
32.05 |
22/4月 |
8.3 |
9.4 |
6.2 |
5.14 |
5.37 |
30.27 |
22/5月 |
8.6 |
10.1 |
6.0 |
5.45 |
5.74 |
34.06 |
22/6月 |
9.1 |
10.4 |
5.9 |
5.61 |
6.22 |
41.62 |
22/7月 |
8.5 |
10.9 |
5.9 |
5.70 |
6.25 |
32.93 |
22/8月 |
8.3 |
11.4 |
6.3 |
6.24 |
6.81 |
23.81 |
22/9月 |
8.2 |
11.2 |
6.6 |
6.59 |
7.37 |
19.80 |
22/10月 |
7.7 |
10.9 |
6.3 |
6.90 |
7.20 |
17.60 |
22/11月 |
7.1 |
10.6 |
6.0 |
7.10 |
7.20 |
13.10 |
22/12月 |
6.5 |
10.4 |
5.7 |
7.50 |
7.52 |
7.30 |
23/1月 |
6.4 |
10.1 |
5.6 |
7.88 |
7.60 |
8.70 |
インフレ圧力要因 |
|
|
||||
|
小売売上高 |
可処分 |
賃金 |
基準 |
||
|
前年比 |
前月比 |
個人所得 |
時間給 |
金利 |
|
|
|
|
億ドル |
$ |
|
|
21/12月 |
16.8 |
|
18,396 |
26.7 |
0.25 |
|
22/1月 |
13.7 |
|
18,080 |
26.8 |
0.25 |
|
22/2月 |
17.7 |
1.1 |
18,175 |
26.9 |
0.25 |
|
22/3月 |
7.0 |
1.2 |
18,270 |
27.0 |
0.50 |
|
22/4月 |
7.8 |
0.7 |
18,320 |
27.1 |
0.50 |
|
22/5月 |
8.7 |
0.4 |
18,424 |
27.3 |
1.00 |
|
22/6月 |
8.7 |
1.0 |
18,537 |
27.4 |
1.75 |
|
22/7月 |
10.0 |
-0.4 |
18,616 |
27.5 |
2.50 |
|
22/8月 |
9.7 |
0.7 |
18,700 |
26.6 |
2.50 |
|
22/9月 |
8.5 |
-0.2 |
18,771 |
27.8 |
3.25 |
|
22/10月 |
8.3 |
1.1 |
18,818 |
27.9 |
3.25 |
|
22/11月 |
6.5 |
-1.1 |
18,903 |
28.1 |
4.00 |
|
22/12月 |
5.9 |
-1.1 |
18,982 |
28.2 |
4.50 |
|
23/1月 |
6.4 |
3.0 |
|
28.3 |
4.50 |
|
23/2. |
|
|
|
|
4.75 |