1月▲3.4兆円の貿易赤字 過去最大 円安15%は日本経済のため黒田日銀
財務省の発表した2023年1月の貿易統計によると、輸出から輸入を差し引いた1月の貿易収支は、▲3兆4966億円の赤字となった。
貿易赤字は18ヶ月連続、1ヶ月の赤字額としては、統計が比較可能な1979年以降で最大。
貿易赤字の増大は、輸入が増えた一方で輸出が伸び悩んだことが要因で、1月の輸入額は、原油やLNG=液化天然ガスなどエネルギー価格の上昇を背景に前年同月より17.8%増え、10兆478億円となった。
一方、輸出額は6兆5512億円と、前年同月を3.5%上回ったものの、伸びは小幅にとどまった。
このうち、最大の貿易相手国である中国向けの輸出額は▲17.1%減となった。
以上、
中国への輸出減は、中国がウィズコロナ策に転じたものの感染拡大により混乱、低迷していることある。
また、今年の春節(最大休暇日1/21~29日)が1月にあり、輸出減となったことがあげられる。
しかし、3月にも米バイデン政権の求めに応じ、中国に対し高額な半導体製造装置などの輸出を岸田政権主導で輸出できなくすることから、輸出減が常態化する可能性が高い。
(既に中国では日本製の半導体製造装置の中古価格が暴騰しているという)
日本はモノを製造しなくなったことから、東南アジアでさえ貿易赤字となっている。勝負は海外進出の工場や投資の見返りも含めた経常収支というだろうが、エネルギー価格高騰で経常収支も危うくなりつつある。また、日本企業の海外工場は現地法人化しており、その利益に対する税は現地国で納めており、日本の税収にはならない。
今後のエネルギー価格上昇要因
1、中国経済の回復(需要増)
2、インドの経済回復継続(需要増)
GDPは18年6.5%、19年3.7%、20年▲6.6%、21年8.7%、22年7.0%
3、西側の露産原油さらなる制裁強化=露生産調整(生産減)
4、反バイデンの米国シェールオイル軍団の生産調整(生産減)
(米国の原油掘削稼動リグ数が減少に転じている)
5、OPECの生産調整(生産減)
6、欧米等市場放出の備蓄原油在庫の再備蓄(需要増)
7、ロシアのウクライナでの戦術核使用もしくはザポリージャ原発破壊
(窮鼠猫を噛み、すべて吹き飛ぶ)
原油価格も75~80ドル(WTI)前後の高値で下げ止まり、円安も定着してきている。
原油価格が80ドル(WTI)を超えたのは米製インフレでの22年1月10日から、100ドルを超えたのは露のウ侵攻による3月1日、米のインフレ退治で100ドルを割ったのは7月11日、下げ底は12月9日の72ドル、23年2月15日現在79ドル前後、下げ止まっている。米国では既に原油価格は前年比で下げているが、日本は円安により価格は前年比で上昇したままとなっている。
今後、中国経済の回復により国際商品価格が総じて上昇すると予想され、米国のインフレ退治の高金利下でも既に下げ止まっている商品も多くなってきている。
円安は日本経済にとってよいことだ(日銀黒田丸/それを継承するとした植田次期総裁)。
高給取りの国会・地方議員や高給官僚、一部の高給取り会社を除けば、ほとんどの国民は物価高(食料インフレ率7.0%)で泣いてるがなぁ。
スクロール→
23年1月の貿易収支/財務省 |
||||
輸出 |
億円 |
65,512 |
3.5% |
23ヶ月連続増 |
数量 |
77.2 |
-11.5% |
4ヶ月連続減 |
|
輸入 |
億円 |
100,478 |
17.8% |
24ヶ月連続増 |
貿易収支 |
億円 |
-34,966 |
59.0% |
18ヶ月連続赤字 |
|
|
|
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|
円安 |
22/1. |
114.82円 |
23/1. |
132.08円 |
円安率15.0% |
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||||
輸出品目 |
前年比 |
寄与度 |
||
輸出増 |
自動車 |
14.9% |
1.8 |
|
鉱物性燃料 |
19.3% |
0.5 |
||
建設・鉱山重機 |
22.5% |
0.4 |
||
輸出減 |
自動車部品 |
-13.7% |
-0.6 |
|
半導体製造装置 |
-11.9% |
-0.5 |
||
プラスチック |
-11.6% |
-0.4 |
||
輸入品目 |
前年比 |
寄与度 |
||
輸入 |
石炭 |
93.3% |
4.3 |
|
液化天然ガス |
57.0% |
3.7 |
||
粗原油 |
35.3% |
3.1 |
||
|
||||
米国/億円 |
||||
輸出 |
12,310 |
10.2% |
16ヶ月連続増 |
|
輸入 |
9,504 |
21.5% |
23ヶ月連続増 |
|
収支 |
2,807 |
-16.1% |
2ヶ月連続減 |
|
|
||||
中国/億円 |
||||
輸出 |
9,675 |
-17.1% |
2ヶ月連続減 |
|
輸入 |
23,906 |
12.3% |
9ヶ月連続増 |
|
収支 |
-14,231 |
47.8% |
22ヶ月連続赤 |
|
|
||||
香港/億円 |
||||
輸出 |
2,557 |
-16.9% |
|
|
輸入 |
124 |
-33.6% |
|
|
収支 |
2,433 |
-15.8% |
|
|
|
||||
EU/億円 |
||||
輸出 |
34,345 |
-4.0% |
23ヶ月ぶり減 |
|
輸入 |
48,147 |
15.0% |
24ヶ月連続増 |
|
収支 |
-13,802 |
126.0% |
2ヶ月ぶり赤 |
|
|
||||
韓国/億円 |
||||
輸出 |
5,131 |
1.2% |
|
|
輸入 |
3,418 |
4.9% |
|
|
収支 |
1,712 |
-5.7% |
|
|
|
||||
台湾/億円 |
||||
輸出 |
4,205 |
-4.9% |
|
|
輸入 |
4,078 |
12.8% |
|
|
収支 |
126 |
-84.3% |
|
|
|
||||
ASEAN(東南アジア)/億円 |
||||
輸出 |
10,875 |
9.4% |
|
|
輸入 |
15,600 |
24.0% |
|
|
収支 |
-4,724 |
78.9% |
|
|
|
||||
オーストラリア/億円 |
||||
輸出 |
1,737 |
4.4% |
|
|
輸入 |
10,299 |
41.5% |
|
|
収支 |
-8,561 |
52.4% |
|
|
|
||||
中東/億円 |
||||
輸出 |
2,303 |
43.4% |
|
|
輸入 |
12,391 |
34.6% |
|
|
収支 |
-10,088 |
32.8% |
|