このままでは中国BYDに世界でEV市場を奪われる
中国製の安価な電気自動車(EV)との競争にさらされている欧米の自動車メーカー各社は、EV価格を化石燃料車並みに抑えるため、コスト削減の取り組みを強めている。業界幹部らが15日、明らかにした。
欧米のステランティスと仏ルノーは、より手ごろな価格のEVの開発を試みている。
米GMとフォードは、EV生産コストの低下に寄与しそうな提携の可能性を探っている。
安価なEVを生産する比亜迪(BYD)などの中国メーカーは、欧州などへの輸出攻勢を加速。米メーカーは、中国企業がメキシコに工場を建設して米国にEVを輸出する可能性を懸念している。
ルノーのルカ・デメオ最高経営責任者(CEO)は2023年の決算発表後、アナリストらに対し、どの社もEVのコストを化石燃料モデル並みに引き下げようと努めていると説明している。
価格引き下げは、電池パックのサイズを小さくできる小型車の方が簡単であり、大型電池を搭載したEVの価格は高止まりするとの見通しを示した。
フォードのジム・ファーリーCEOは、BYDに対抗できる低コストEVを設計するための特別チームを立ち上げたと述べている。
ただ欧米メーカーは、投資家が求める利益を確保するためには、まずコストを引き下げてからEVの価格を下げる必要がある。
ステランティスのカルロス・タバレスCEOは、通年決算の発表後に記者団に対し、「私が(目先のことだけを考える)短期主義者なら、利ざやの圧縮を看過するだけで即座にEVの売り上げを増やすこともできるだろう」と語っている。
その上でタバレス氏は、電池の原材料コストが下がっているため、同社のEVと化石燃料車の利ざやは「収れんしつつある」とし、この流れを加速させたい意向を示した。
以上、報道参照
3元系バッテリー搭載車
EV車両価格の25%~40%はEV用バッテリー価格、搭載量により走行距離が伸びる
EV用バッテリー価格の75%は材料価格、
高価格材料:
3元系・・・リチウム・コバルト・ニッケル
LFP・・・・・リチウム、 (コバルト・ニッケル不用)
中国BYDは米カルフォルニア州にEVバス工場を2014年から開設し、加州各都市や全米の環境派の自治体の市営バス等へEVバスを供給している。
BYDの強みは自社で電池から車両まで一貫して生産していることにあり、電池専業メーカーで世界一のCATLが、2021年に先陣を切ったリン酸鉄リチエム電池(LFP)で、走行距離を大幅に伸ばしたNEWタイプにも即対応している。
米国は現在、各種貿易障壁や関税で中国からの自動車もEV用バッテリーの輸入も実質締め出しているが、米FTA国であるメキシコに中国勢が進出し、部材を中国外で調達してEV生産すれば、米国としてはBYD車等の輸入を規制する手段がなく、米国市場は同じ手法をとる中国勢に駆逐されることになる。米政権がBYDを強引にエンティティリストに入れるしかない。
(現在、韓国製EVは米国とFTA提携国でもあり、IRA法適用車両に抜擢されている。しかし、搭載されているバッテリー材料はリチウムから黒鉛に至るまで、材料のほとんどは中国製でもある。昨年当初はIRA法の適用外であり、米国の要請で米国へ販売したウクライナ用の110万発の155ミリ砲弾輸出の見返りともされている)
中国勢がLFPに強いのは、2016年から始まった中国EV革命、LFPは韓国勢の3元系(コバルト・ニッケルの高価なレアメタル使用)より安全であることから、3元系を対象外にし、中国のEV補助金制度では韓国勢(3元系)ほか外資系を除外した。
(ただ、LFPの弱点は1回充電の走行距離にあった)
中国当局は、年次が進むに連れ、LFPの走行距離を伸ばした車両にしか、補助金を受けられなくしたことから、各電池メーカーは走行距離を伸ばす研究を続け、2021年に画期的に走行距離を伸ばしたNEW-LFPを開発、市場へ送り出した。
N-LFPは1回充電では3元系と走行距離はほぼ変らず2~3割安価なことから、韓国勢も即開発するとしたものの、米ビッグ3が2023年からのEV補助金制度に韓国勢の3元系に飛びついたことから、忙しくそれどころではなくなった。
中国勢のN-LFPの市場投入からすでに3年経過しているが、韓国勢でN-LFPを開発したというニュースはまったく伝わってこない。
(3元系はLFPより瞬発力に優れ、スポーツタイプでは3元系に優位性がある。ただ、多く搭載する必要もあり、車両価格は跳ね上がる。)
GMは中国CATLからライセンス生産の供与を受け、ミシガン州に直営のN-LFP電池工場を建設中。
(LGは主にGM+トヨタ+ホンダ/SKはフォード/サムスンSDIはステランティス/CATLはテスラ+ベンツの普及車)
トヨタは全固体電池の開発に取り組んでいるが、車両に搭載できるまでの小型化と価格にまだ難点があり、市場ニーズに合致した製品の開発が進められている。
2027年の当初は高価格から高級車用に搭載される見通し。その後はコストを下げられるかどうかが同社の命運を分ける。
そうしたことから、トヨタは米国ではLGエネソルと合弁会社を設立してLG製の3元系バッテリー工場を建設する。
トヨタは大型の全固体電池の開発を修了、国立の産総研+パナ社とも組んだものの、車両に搭載できる小型化や歩留まり問題をまだクリアできていない。
国内では新領域の各種電池を開発していた大学の研究者たちも、愚かで・・奴の小泉の研究予算の聖域なき削減が今に続き、ほとんどが研究を続けられず死に体となっている。そうした開発基礎研究技術を応用することすら学術研究が途切れできなくなっている。
(官僚養成機関の東大だけは予算が配せられ、それ相応の研究開発は続けられているが、ほかの著名な国大の基礎研究を含めた研究開発はほとんど途絶えている・・・東北大・東工大・京大・・・。ノーベル賞受賞者に東大卒は少ない)
日本の育成AIの旗手PFNにしても加速度GPUなどの半導体をサムスン電子で製造依頼したが、そのサイズは2ナノの領域、2ナノは台湾TSMCの(新と計画中の)熊本2工場では計画もなく、新企業のラピダスでは2ナノを2027年に量産開始するとし、30年に1ナノを目指すとしているサイズ。
日本國政府が米国様の言いなりになり、世界№1だった半導体産業を日米通商交渉により、米国からの)弾圧案件にしてしまい、日本の半導体は破壊崩壊した。今になって日本國政府は莫大な国費を無償供与して半導体生産業の復活を狙っている。国家20年先の計画性が皆無のため・・・愚か過ぎる。すべて小泉と・中の・・奴コンビが演じた結果の現在の日本國の姿でもある。
しかし、すでに台湾勢や韓国勢から5周回遅れの5年以上遅れ先が見えもない。半導体の製造には製造設計部門が必要であるが、その育成にも多くの時間がかかり、AIも含め高専や大学などで組織的に多くの人材を養成する必要がある。そうした人材育成投資では、中国は2010年代初期から政府が主導して全国に半導体やAIの専門学校や学部を創設し行っている。
日本國は大学予算・研究予算を減らし続け、学術機関ではその研究さえ崩壊寸前、中国では大量にそうした人材が最前線に投入されている。台湾や韓国でも産業拡大を計画しそうした人材育成に力を入れ続けている。
↓ステランティス会長がこなれたとする主なEV材料価格
リチウムは、米国で世界最大の鉱脈が発見され、中国四川省でもアジア最大の鉱脈が発見されている。
世界最大の生産量の豪州産リチウムは、砕かれた含有鉱石が中国企業に売却され、中国の安価な石炭(世界一の採炭量)を利用してレアメタルのリチウムが生産されている。現行、米国産リチウムもその含有鉱石を中国企業が昔から買取り、中国でレアメタル化されている。中国はレアメタルとしてのリチウムの生産量は、群を抜く世界最大の生産国となっている。
コバルトもコンゴ民主(アフリカ)でほとんど産出され、その採掘権のほとんどを中国勢が有し、その含有鉱石を中国へ運び、レアメタルのコバルトを生産している。
ニッケルはインドネシアが最大の生産国だが多くの国で生産されている。石炭を採掘するインドネシアはニッケルの含有鉱石の輸出を2年前に禁じ、現在ではレアメタルのニッケルを生産している。ここでも多くのニッケル鉱山の採掘権を中国勢が有している。
九州北部は1月に入り20キロ先の山々に霞がかかったままだが、まだ黄砂の時期ではなく、PM2.5によるもの。
中国は世界最大の石炭産出国、それでも足りず、輸入して燃やし続けている。
電力用が最も多いが、電力も生活用+オフィス・工場稼動用+スチール・アルミ等(電炉用)+レアメタル生産用(電炉用)に分かれる。
粗鋼生産では、石炭をコークス化し、コークスの火力を用いた高炉で、鉄や銅の含有鉱石を精錬し、スチールや銅を生産している。セメント生産でも多くの石炭燃焼熱を利用する。
その電力や粗鋼生産における排ガスの煤煙はPM2.5となり、梅毒より毒素のある有毒物質を地球の大気中に送り込み浮遊させ続けている。
当然、燃焼におけるCO2問題も平行して拡大し続けている。
元凶は中国にあるが、そうして生産された製品を購入拡大し続ける涼しい顔の欧米先進国にあり、選挙で勝つことだけを目的にしている近視眼的な欧米首脳たちの思考回路に問題がある。
スクロール→
EV・レアメタル等 |
商品先物国際相場/ドル等 |
||||
19/12. |
21/12. |
22/12. |
23/12. |
24/2/16. |
|
スチール |
3,774 |
4,568 |
4,019 |
3,928 |
3,901 |
アルミ |
1,807 |
2,818 |
2,378 |
2,384 |
2,217 |
マンガン |
31.50 |
31.25 |
31.25 |
29.25 |
29.25 |
銅 |
2.796 |
4.393 |
3.805 |
3.880 |
3.838 |
ニッケル |
13,950 |
20,880 |
29,866 |
16,375 |
16,006 |
コバルト |
32,750 |
70,500 |
51,955 |
29,135 |
28,550 |
リチウム(千) |
49.0 |
268.0 |
519.0 |
96.5 |
97.5 |
ネオジム(千) |
362 |
1,110 |
955 |
555 |
505 |