サムスン電子 リストラ開始 一部30%減、管理・営業部門大幅リストラ
半導体回復において、サムスン電子はそれを牽引するAI半導体、NVIDIA GPUとセットする広帯域メモリHBMでSKハイニックスに遅れを取り、今回の半導体需要もスマホやPCなどの需要が中国経済の低迷による在庫増に、伸びは期待できず、汎用DRAMの相場は昨年10月を底に回復中だったが早、今年7月にはピークを迎え8月から下落に転じている。現在の業績を牽引しているのはHBM等高付加価値品の需要増となっている。
(サムスン電子は9月10日現在、HBMの最大の需要先であるNVIDIAの認証試験に発熱・消費電力問題からクリアしておらず、再試験でクリアしてはじめて採用される。ただ、ほかのメーカーへサムスンのHBMは大量に納品されている。)
スマホは、今ではAI半導体投入の新製品を出してもアップルのように盛り上がらず、これまでドル箱だった西欧では、プレミアム価格帯の折り畳みスマホの販売台数が、Honor(オナー、深セン至信/元ファーウェイのサブブランド)に抜かれたニュースも報じられている。
家電領域は世界的な景気低迷で販売台数は伸びず、中国製と競争が激化し、プレミアム価格帯で世界一のシェアを握っても利益が付いてこなくなってきている。
やはり世界の三大経済市場、米国・欧州・中国の経済が共に成長過程・回復過程に入らねば、世界経済は好調に推移せず、米国発の世界物価高のように、ほかの経済圏の足を引っ張る始末。
欧州経済はインフレ退治の金利高による経済悪化からやっと回復の基調に差し掛かっている。中国経済は新コロナからの経済回復が期待されたが、習政権の不動産政策の失敗から、不動産も消費も動かず、低迷し、失業率まで高くなってきている。それでいて世界最大の工場製品の生産国、国内需要低迷により、過剰生産された製品が海外へ輸出され、それも低価格で輸出され、各国の経済を破壊してきている。低価格で輸入を歓迎する新興国に対して、欧米各国は高い関税で防御に転じている。欧州では回復途上だった産業が、中国製品の輸入拡大ですでに不振に陥っている産業もある。それでいて、中国経済は回復途上にもなく、低迷したままだ。
世界経済が悪化すれば、新コロナの巣篭もり需要崩壊で低迷しているメーカー側が、今回、消費市場に仕掛けているAI半導体ブームも一巡すれば、「あったら便利」のスマホ需要は終了し、
AIスマホも半導体も再び低迷期に入る。
サムスン電子のリストラのニュースも最初は中国の営業スタッフの削減として報じられていたが、現実は、世界規模での削減のようだ。
<リストラ本文>
複数の関係筋によると、韓国のサムスン電子は一部の部門で海外のスタッフを最大30%削減する計画。
各国の子会社に対し、営業・マーケティング部門のスタッフを約15%、管理部門のスタッフを最大30%削減するよう指示した。
削減は、年内に実施され、米州、欧州、アジア、アフリカの人員に影響が出る。具体的な削減数や特に影響を受ける国、部門は不明。
同社は声明で、一部の海外拠点で行った人員調整は定期的なもので、効率改善を目的だと説明。具体的な削減目標はなく、生産スタッフに影響はないと述べた。
同社の昨年末時点の従業員数は26万7800人。半数以上に当たる14万7000人が海外を拠点にしている。
大半の従業員は製造・開発部門に所属、約21万4900人、
営業・マーケティング部門の人員は、約2万5100人、15%削減領域
その他の部門の人員は、2万7800人。うち管理部門は30%削減領域。
海外スタッフの削減に関する指示は3週間前に出された。
関係筋によると、インドでは従業員2万5000人のうち1000人が削減される可能性があるという。
サムスン電子にあり、忠誠を尽くす経営スタッフはいても、担当業務を牽引する優秀な経営スタッフは枯渇しているようだ。
百花繚乱、経営エネルギーを集中させることもできなくなっているようだ。下りは速い。
韓国ではサムスン電子にも左派政権の文政権下で組合が結成されており、中でも過激な北朝鮮系の民主労組の韓国内組織員は2万人前後、先般はストを敢行していた。まだ国内でやりくりして生産に支障が出る場面はないが、今後、韓国内でリストラでもすれば、急速に組織員が拡大し、生産に支障をきたす可能性もある。
現代自の場合、ストを実施する民主労組に妥協し続けたが、サムスン電子の半導体工場でストでも発生すれば、生産再開に2週間以上かかり、世界で半導体不足が生じる可能性もある。そうなけば需要先メーカーも安定供給してくれるメーカーにシフト換えする可能性もある。
スクロール→
サムスン電子 四半期決算ベース /億ウォン |
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24/6期 |
24/3期 |
23/12期 |
23/9期 |
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総収入 |
740,700 |
719,200 |
677,800 |
674,000 |
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売上総利益 |
297,600 |
260,300 |
216,600 |
207,800 |
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営業利益 |
104,500 |
66,100 |
28,200 |
24,300 |
||||
営利益率 |
14.1% |
9.2% |
4.2% |
3.6% |
||||
純利益 |
96,400 |
66,200 |
60,200 |
55,000 |
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サムスン電子 |
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通期推移/億ウォン |
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総収入 |
営業利益 |
営利益率 |
純利益 |
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2017/12. |
2,395,800 |
536,500 |
22.4% |
421,900 |
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2018/12. |
2,437,700 |
588,900 |
24.2% |
438,900 |
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2019/12. |
2,304,000 |
277,700 |
12.1% |
215,100 |
||||
2020/12. |
2,368,100 |
359,900 |
15.2% |
260,900 |
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2021/12. |
2,796,000 |
516,300 |
18.5% |
392,400 |
||||
2022/12. |
3,022,300 |
433,800 |
14.4% |
547,300 |
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2023/12. |
2,589,400 |
65,700 |
2.5% |
154,900 |
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