アイコン 東芝、中期経営計画を発表/最大4000人の人員削減と構造改革に挑む


東芝は5月16日、2027年3月期を最終年度とする新たな中期経営計画を公表しました。この計画には、最大4000人規模の人員削減を含む大規模な構造改革が盛り込まれており、2024年3月期比で9.5倍の営業利益3800億円の達成を目指しています。2015年の不正会計問題以来、経営の混乱が続く東芝は、筋肉質な経営体制を構築することで再成長の基盤を作る方針です。同日開かれた記者会見で、東芝の島田太郎社長は「次の100年に向けて社会に求められる企業への変身が必要だ。最適な事業運営体制のもと、渾身の力を込めて会社を成長企業にする」と強調しました。

中期経営計画の具体的な目標として、2027年3月期の売上高を3兆7500億円とし、前期から14%の拡大を目指します。また、売上高営業利益率を前期の1.2%から10%に引き上げる計画です。人員削減は国内従業員の6%に相当し、早期退職の募集や再就職支援を実施することで対応します。これにより、2024年3月期に1兆925億円あった固定費を425億円減らす予定です。

2024年3月期の連結決算(米国会計基準)では、最終損益が748億円の赤字(前の期は1265億円の黒字)となりました。半導体メモリー大手キオクシアホールディングスの持ち分法損益の悪化が響いた結果です。営業利益は前の期比64%減の399億円で、インフラ事業は堅調だったものの、デバイス事業でのハードディスク駆動装置(HDD)の返品などが影響しました。

 

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記者会見での異様な雰囲気と揺れ動く再建プラン

5月16日に行われた記者会見では、島田社長が冒頭挨拶でリストラ策に一切触れず、代わりにデジタル戦略について熱弁を振るったため、会場には異様な雰囲気が漂いました。大規模な人員削減が最大の関心事だったにもかかわらず、説明役を担ったのは副社長の池谷光司氏でした。池谷氏は数値分析を担当しており、経営の最重要事項である雇用についての説明を彼が行うことに、社内外からの驚きの声が上がりました。

島田社長は質疑応答でようやく「2015年以降の事業売却で実質的にスタッフが増加した状態だった。従業員とはこれ(人員削減)が本当に必要なのだと話してきた」と述べました。リストラは耐え難い痛みを伴いますが、約1.4兆円の巨額負債を返済するためには避けられない道です。同日の連結決算で営業利益は前期比64%減の399億円に沈み、EBITDAも前期比20%減の1800億円に縮小しました。

東芝は中期経営計画「東芝再興計画」の最終年度である2026年3月期に、売上高3兆7500億円、営業利益3800億円を目指します。しかし、国内従業員の6%を削減しながら成長を実現するのは容易ではありません。コスト削減の努力にもかかわらず、売上高を伸ばすことができなかった過去の経緯を考えると、今回の目標達成も不確かです。

 

非上場化後の挑戦と未来への展望

東芝は2023年12月に非上場化を果たしましたが、その後の再建プランの策定には多くの困難が伴いました。大型連休中も幹部らは休日返上で人員削減規模の検討を続け、当初は1万人近い削減案も議論されましたが、最終的には4000人規模に落ち着きました。

しかし、経営陣が決定した人員削減の規模は中途半端であり、構造改革の効果が十分であるかは疑問が残ります。東芝が再び成長軌道に乗るためには、優秀な人材を引き留めつつ、大規模な人員適正化を断行するという難題を解決する必要があります。

2023年12月20日、74年という上場の歴史にピリオドを打った東芝は、株式市場の圧力から解放されたにもかかわらず、依然として難路が続いています。再建への道は険しいものですが、東芝が描く未来に向けての挑戦は続いていきます。

 

[ 2024年5月17日 ]
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