アイコン 欧州バッテリーの期待の星 ノースボルト社破産で消滅へ 3元系バッテリー


★2024年11月21日、民事再生法の適用申請
電気自動車(EV)向け電池を手がけるスウェーデンの新興企業ノースボルトは、米連邦破産法11条(民事再生法)の適用を申請したと発表した。
ノースボルトによると、現在手元には約3000万ドルと約1週間分の運転資金しか残っていない。
負債総額は58億ドル(約8500億円/148円)。破産法申請後も事業を継続し、来年第1・四半期までに再建を果たす見通しという。

この僅か数ヶ月でノースボルトは生産面の問題や主要顧客の喪失、資金不足などに悩まされて経営環境が急激に悪化し、欧州製EV電池の最有力メーカーという地位から一気に存続が危ぶまれる状態に転落した。

欧州内に広がっていた、ノースボルトが西側自動車メーカーの中国製電池依存を減らす切り札になるとの期待も萎んだ格好。(実際は中国勢より現地生産の韓国勢が納品大)

ただ、破産法申請によって新たに2億4500万ドルの新規資金調達が可能。株主で最大口顧客のスウェーデンのトラックメーカーでVWグループのスカニアは2024年11月21日、ノースボルトに電池製造支援のため1億ドルを融資すると明らかにしていた。

★2025年3月12日、破産申請
ノースボルトはスウェーデンで破産申請したと発表した。スウェーデン企業の破綻としては過去最大級で、EV向け電池でアジア勢に対抗し得る欧州企業が消えることになる。
ノースボルトは資金繰りの悪化で昨年11月に米国で連邦破産法11条の適用を申請していた。従業員数は5000人以上。
「現在の形態を継続するために必要な財務条件を確保できなかった」と声明で述べた。

ノースボルトは、独VWが21%、ゴールドマン・サックスが19%などを大株主に持つ。欧州自動車業界は、寧徳時代新能源科技(CATL)や比亜迪(BYD)といった中国の電気メーカーへの依存度を下げるためにもノースボルトに期待していた。

ノースボルトの経営危機を受け、同社と供給契約を結んでいたVWグループのポルシェは代替調達先を検討し始めた。
以上、

 

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VWの2024年決算がノースボルトに鉄槌か・・・
事業提携のVWの決算は大幅な減益に見舞われており、またEV販売も低迷、EV価格を下げるにはCATLの燐酸鉄リチウムイオン電池(LFP)を搭載するしかなく、欧州には韓国勢3社が進出しているものの中国勢のLFPより3割高いノースボルトと同じ3元系バッテリー。

欧米などは政治的にEV販売を推進したものの、安全性に問題、価格が高い、充電インフラ未整備、購入補助金削減などにより2024年下半期より急速に販売台数が減少している(中国除く)。

その煽りを受け、韓国勢バッテリーメーカー3社も米欧で大苦戦。ただ、韓国勢は財閥系であり長期戦略に基づき、EVの販売シェアは拡大することから、事業を縮小することはない。だが、3元系オンリーは2024年決算で利益が急減、LFPは中国勢の特許の壁があるとすれば、性能を落とさず、安価な二次電池を開発するしかない。

LFP電池は以前からあり、1充電走行距離はそれまで250キロ止まり。それを400キロに伸ばした改LFP電池が2020年にCATLから発表された。2021年から納品開始、韓国勢は改LFP電池を開発するとしたものの4年を経過し、いまだ開発されていない。この間、米国のバイデン政権下でEV販売が加速、ビッグスリーや日本勢が米国で韓国勢と合弁バッテリー工場建設の動きを加速させるなど引く手数多、韓国勢は改LFP電池の開発を怠ったものと見られる。

待望の全固体電池は、
世界中の電池メーカーや自動車メーカー、スタートアップ企業が開発に当たっているが、搭載可能な小型化、生産歩留まりなどの問題を抱え、製造コスト高、価格が手ごろな大衆車に搭載できる日は遠い。

自動車は、中国のように価格競争をしなければ、日本車や欧米車は高価格で、新興国では販売できなくなる。
トヨタ設定価格は中国では通用せず、トヨタも中国では中国価格で販売しているが、EVやPHVの弾が少なく、内燃機車も含め売れてもいない。

中国で販売台数1位になった注目のBYDは、バッテリーメーカーでもあるが、中国では8千元を切るEVを販売(海鴎と海豚)し、1万元のPHV(秦)も販売している(最安価格の車両)。

VWのEVが中国で売れないのは、中国勢がIT技術や通信機能、自動運転など最新設備機器を搭載し、VW-EVは相対的に見劣りするからだと指摘されている。VWは対策に中国のEVメーカーや自動車向け生成AI開発の新興企業と提携し、早期に遅れを取り戻す動きをとっている。中国で底なしの凋落が続く日本勢はどうだろうか。
以上、

EVの中国勢は欧州では貿易摩擦を引き起こし、EUは高率の関税賦課、2024年の中国勢の販売台数は前年並みで増えていない。
欧州は中国EVを規制しているが、欧州は中国勢のPHVは規制していない。そのため、中国勢はEV販売より、中国でも急成長してきたPHVの販売を欧州で強化しているという。

世界の市場は、中国で造れる物は中国勢にすべて駆逐される。そうした危機に先手を打ったのが米国であるのかもしれない。

 

[ 2025年3月13日 ]

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