【特集】クリーンセンターの現在地――入札方式の変遷と業界の力学

読者のみなさん、おはようございます。
いつもJC-net・日刊セイケイをご覧いただき、誠にありがとうございます。
今回は、ごみ焼却施設、いわゆる「クリーンセンター」について、これまでとは違う視点から掘り下げてみたいと思っております。
ここ数十年で、クリーンセンターの建設・運営の発注方式は大きく変わってきている。
その中核にあるのが「DBO方式(Design・Build・Operate)」である。
■ 指名競争から「総合評価」へ――DBO方式とは?
かつてクリーンセンターは、いわゆる「安い業者が勝つ」価格重視の指名競争入札や一般競争入札が主流であった。
いわゆる安かろう、悪かろうである。
まさに今、大村市で稼働している「クリーンセンター」がそうである。
平成10年(1998)大村市(甲斐田邦彦市長時代)は老朽化していた旧型の焼却炉(三菱重工業製)を建て替えるとして入札を行ったが、当時、100億円の予算に対し、三機工業が半値以下の48億円で落札し、業界を震撼させたことを記憶している大村市民は少なくなった。
安かろう、悪かろうの典型と言われたものである。

数年前には火災事故まで発生し、関係者の奔走によって、毎日発生する生ごみ等は他の地域の「クリーンセンター」に運び処分するという大変な不祥事迄起きていた。
そんなこともあって、約20年前からその潮流は転換され、現在ではDBO方式が主流となっている。
DBO方式では、自治体(発注者)が、あらかじめ施設の規模・性能などを仕様として提示する。
応募する企業は、それに対して設計・建設・運営の一体的な提案を行う方式である。
価格だけでなく、提案内容(技術点)と価格点を合わせた「総合評価」で受注者が決まるのが特徴である。
この方式は、特定業者による事実上の談合を排し、公正な競争を確保する観点からも有効とされている。
■ 技術的には横並び、その先をどう魅せるか?
実は現在、多くのメーカーが採用している焼却方式は「ストーカ方式」で、燃焼効率などの基本性能には大きな差はない。
つまり、「燃やす」だけでは差がつかないのである。
そこで各社は、以下のような独自提案で競争力を高めようとしている。
• 余熱を利用した温浴施設や温水プールの併設
• 地域との交流を促す見学・学習スペースの整備
• 発電した電力を地域に還元する仕組み
• 災害時の避難所機能や蓄電設備の導入
ただの焼却施設から、地域に開かれた複合拠点へと進化させることが、提案の要となっている。
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■ 運営期間は最長50年の時代へ
従来方式では、建設後の運営やメンテナンス契約は1〜5年、長くても10年単位が通例であった。
20年ほどで建て替えるのが基本線だったとされている。
一方、DBO方式では、設計・建設・運営のすべてを担う企業に最初から20年間の一括契約が結ばれるのが標準である。
さらにその後、10年ごとの再契約を重ね、最終的に50年の長寿命運用を想定した案件も増えつつある。
こうなると、初期の提案段階から、長期目線での施設計画が求められる。
単に「作って終わり」ではなく、「50年にわたって運営する責任」まで問われる時代に突入しているのである。
■ 各地で起きている“見えない激戦”
現在、全国のクリーンセンターの多くが老朽化により建て替え時期を迎えている。
その再整備案件は、全国規模の争奪戦とも言える状況である。
ちなみに、大村市とほぼ同じスケジュールで提案書が提出された「福岡西部クリーンセンター」では、某政局さながらのタクマと日立造船による熾烈な競争が展開されているとの未確認情報も……。
詳細な動きについては、続報が入り次第、当ブログでもご報告していく。
■ まとめ:クリーンセンターは「地域の顔」へ
かつてのごみ焼却施設は、裏方のインフラであった。
しかし今や、技術・デザイン・運営提案のすべてが問われる時代である。
「いかに地域と共存し、長く愛される施設にできるか」が、クリーンセンターに課せられた新しい命題でもある。
建設だけでなく、50年にわたる地域との関係性も見据えた提案こそが、これからの「勝てる提案」なのである。
次回は、実際のDBO案件で見られた提案の事例なども交えて、さらに掘り下げてみる予定である。
引き続き、ご注目いただければ幸いである。
JC-net・日刊セイケイ編集長・中山洋次





