アイコン 老舗百貨店「佐世保玉屋」で何が起きているのか


希望退職の“約束”守られず、元社員17人が提訴

長崎県佐世保市の老舗百貨店「佐世保玉屋」を巡り、元社員ら17人が、退職金などが支払われていないとして長崎地裁佐世保支部に提訴していたことが分かった。請求総額は約2,238万円にのぼる。

訴えを起こしたのは、元正社員10人と元契約社員7人。正社員は1人あたり約39万~約320万円の退職金未払いを、契約社員は約30万~約36万円の退職慰労金未払いを訴えている。


 

 

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希望退職で示された条件が未払いに

訴状などによると、同社は2024年8月、売り場縮小を理由に希望退職を募集した。この際、正社員には退職金の割り増し、契約社員には基本給2カ月分の慰労金を支給すると説明していた。

これに応じて、正社員7人と契約社員7人が同年8月末で退職。しかし、その後、割り増し分の退職金や慰労金が支払われていないという。さらに、2023年に退職した元正社員3人についても、退職金の一部が未払いだとしている。

元社員側は「会社が提示した退職条件が守られていない」と主張しており、単なる支払い遅れではなく、約束そのものが履行されていない点が争点となっている。

 

建て替え計画と重なるタイミング

佐世保玉屋は2024年12月、現在営業している栄町の9階建て店舗について、2026年1月末で営業を終了し、万津町へ一時移転すると発表した。理由は「建物を、商業テナントが入るビルへ建て替えるため」としている。

希望退職の実施、退職金未払い、そして建て替え計画の公表が短期間に続いたことで、元社員の間には不信感が強まった形だ。もっとも、建て替え資金の調達方法など詳細は明らかにされておらず、会社の資金繰りの実態は裁判の中で判断されることになる。

 

地方百貨店が抱える厳しい現実

地方百貨店を取り巻く環境は年々厳しさを増している。来店客数の減少、郊外型商業施設やネット通販との競争、重い人件費や建物維持費――。こうした構造問題の中で、人員削減に踏み切る企業は少なくない。

今回の問題は、人件費削減のために行った希望退職が、結果的に従業員との信頼関係を損なう事態に発展したケースとも言える。

 

今後の焦点は

今後の注目点は、
・裁判が和解に至るのか、判決まで進むのか
・未払い金の支払い方法(分割など)が示されるのか
・建て替え後の経営体制に影響が及ぶのか

といった点だ。

佐世保玉屋は、長年にわたり地域の雇用と中心市街地を支えてきた存在でもある。今回の訴訟は、地方の老舗企業が直面する経営の限界と、従業員処遇の難しさを浮き彫りにした出来事として、地域経済に重い課題を投げかけている。

 

[ 2026年1月 6日 ]
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