日産東京販売に下請法違反で勧告へ "無償運搬"2000台超、公取委が是正要求
日産系ディーラー大手の日産東京販売(東京)が、車体整備業者に対し修理車両の運搬を無償で行わせていたとして、公正取引委員会が下請法(現・中小受託取引適正化法)違反を認定し、再発防止などを求める勧告を行う方針を固めたことが分かった。自動車ディーラーによる「無償運搬」への勧告は初めて。
関係者によると、同社は遅くとも2024年夏以降、板金塗装などの修理業務を約20の車体整備業者に委託する際、故障車の引き取りや納車にかかる運搬を無償で実施させていた。期間中の対象車両は2000台以上にのぼるとみられる。
本来、運搬費は発注側が負担するか、契約段階で明示的に対価を設定すべきもの。しかし、契約に運搬料を盛り込まず、実費も支払われていなかったという。積載車を持たない業者は外部の運送業者に再委託するなどし、実質的な持ち出し負担が発生していた可能性がある。
公取委は、同社の行為が、優越的な立場を利用して取引先に負担を一方的に強いる「利益提供要請の禁止」に当たると判断した模様だ。勧告では再発防止策の策定に加え、整備業者側が負担した運搬費の支払いを求める見通し。
業界慣行にメス
自動車ディーラーと車体整備業者の取引を巡っては、公取委が昨年から集中調査を実施。違反や違反のおそれが確認されたとして、ディーラー計160社に是正指導を行っている。今回の事案は、その流れの中で初の“勧告案件”となる。
都内で100店舗以上を展開する日産東京販売は、地域整備業者にとって重要な取引先だ。仕事量を握る発注側に対し、受託側が異議を唱えにくい構造が、長年続いていた可能性がある。
背景にコスト圧力
自動車販売業界は、EV投資の増加や人件費・物流費の上昇などで収益環境が厳しさを増している。アフターサービス部門の収益確保が重視される中、付随コストを取引先に転嫁する動きがあったとすれば、業界構造そのものが問われる。
親会社の日産東京販売ホールディングスは「調査を受けているのは事実で、全面的に協力しているが、現時点での回答は差し控える」とコメントしている。
今回の勧告は、単なる一社の問題にとどまらない。運搬費を含めた取引条件の透明化が進むかどうか、自動車流通の公正性が試される局面に入った。





