アイコン 相次ぐ脱税告発、架空外注費・売上除外が焦点に 国税局が中小企業の経費処理を厳しく監視


国税局による脱税告発が相次いでいる。直近では、東京都のITシステム開発会社、東京都の解体工事業者、鹿児島県のコンサルタント会社、大阪府の輸入卸会社、東京都の不動産会社などが、法人税法違反などの疑いで告発された。いずれも社名や代表者名は公表されているが、本稿では業種と地域に絞って整理する。

東京都中央区のITシステム開発会社は、架空の給与手当や外注費を計上したなどとして、法人税と消費税あわせて約8200万円を脱税した疑いで東京国税局から告発された。報道によると、2023年3月期までの2年間に所得約1億4300万円を隠し、法人税約4000万円のほか、消費税約4200万円を免れた疑いがある。多数の外国人を雇用し給与を支払ったように装ったほか、別会社に虚偽の請求書を作成させていたとされる。

東京都葛飾区の解体工事業者は、架空の外注加工費を計上するなどして、法人税など約5200万円を脱税した疑いで仙台国税局から告発された。報道では、2021年9月から2023年8月までに所得約2億1100万円を隠した疑いがあるとされ、脱税資金は代表者名義の預貯金や有価証券購入に充てられていたという。

 

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鹿児島県のコンサルタント会社は、架空の資産を計上し、それに伴う架空の減価償却費を計上するなどして、法人税など約6600万円を脱税した疑いで熊本国税局から告発された。関連報道では、同じ人物が別会社の消費税脱税事件でも起訴されており、その後の捜査で新たな脱税疑いが浮上したとされている。

大阪市の鞄輸入卸会社は、売上を除外するなどの方法で、法人税など約9800万円を脱税した疑いで大阪国税局から告発された。売上除外は、架空経費と並ぶ典型的な所得隠しの手口で、帳簿上の売上を実際より少なく見せることで課税所得を圧縮する。

東京都中央区の不動産会社は、確定申告書を提出しないまま法定納期限を過ぎさせ、法人税など約1億900万円を脱税した疑いで東京国税局から告発された。不動産売買で得た利益を申告しなかった疑いが報じられており、直近の告発事案の中では脱税額が大きい。

これらの事案に共通するのは、事業そのものが赤字で行き詰まったというより、利益や資金の流れを帳簿上で操作した疑いが持たれている点である。IT会社や解体工事業者では外注費、コンサルタント会社では減価償却費、輸入卸会社では売上除外、不動産会社では無申告が焦点となった。業種は異なるが、いずれも「売上を減らす」「経費を増やす」「申告しない」という形で課税所得を圧縮した構図といえる。

背景には、国税当局が架空経費や消費税不正、海外取引、SNS・デジタル関連事業など、幅広い業種に査察対象を広げている事情がある。国税庁の令和7年度査察概要によると、検察庁への告発は82件、告発分の脱税総額は84億円、1件当たりの脱税額は1億200万円だった。また、一審判決80件はすべて有罪で、6人に実刑判決が言い渡されている。

特に中小企業では、外注費や業務委託費、仕入れ、減価償却費などが資金繰りや節税の名目で曖昧に処理されやすい。しかし、国税当局は取引先への反面調査や請求書、入出金、現場実態の確認を通じて、帳簿上の経費に実体があるかを調べる。書類の体裁が整っていても、実際の作業、支払い、相手先の売上計上が一致しなければ、架空経費と判断されるリスクがある。

今回の一連の告発は、脱税の手口が特定業種に限られないことを示している。建設・解体、IT、不動産、輸入卸、コンサルタントと業種は分かれるが、問題の核心は、利益をどのように帳簿から消したかにある。人手不足や物価高で中小企業の経営環境が厳しさを増すなかでも、税務当局は悪質な所得隠しに対して刑事告発を含む厳しい対応を続けている。


 

[ 2026年7月 8日 ]
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