トレンドマイクロ、96億円の申告漏れを指摘される/東京国税局がタックスヘイブン対策税制を適用
情報セキュリティー大手「トレンドマイクロ」(東京都新宿区)が東京国税局の税務調査により、約96億円の法人税の申告漏れを指摘されたことが、関係者への取材で明らかになりました。同社は、日本より税負担が軽いオランダにある子会社を巡り、外国法人を用いた租税回避を防ぐ「タックスヘイブン対策税制」が適用され、子会社の所得を日本国内の所得と合算して申告すべきだと判断された模様です。
関係者によれば、問題となったのは、オランダに設立されたトレンドマイクロの子会社です。この子会社は債券運用などを行っていたとされていますが、東京国税局は同社の関与が大きく、実質的に事業を運営しているとは言えないとして、ペーパーカンパニーに該当すると判断しました。その結果、2022年12月までの3年間で96億円余りの申告漏れが指摘され、過少申告加算税を含む法人税の追徴税額は約24億円に上ると見られています。
トレンドマイクロは、今回の追徴課税について「いったん納付はしたが、十分に納得できていない。今回の処分について対応を検討していきたい」とコメントしています。
同社は、ウイルス対策ソフト「ウイルスバスター」の開発・販売で広く知られ、北アメリカ、ヨーロッパ、アジアなど世界中に拠点を持つ東証プライム市場上場企業です。2023年12月期の連結売上高は約2486億円に達しました。
今回の申告漏れ指摘は、国内外に多くの拠点を持つグローバル企業における税務管理の複雑さと、租税回避地を利用した節税策に対する当局の厳しい姿勢を浮き彫りにしています。今後、トレンドマイクロがどのような対応を取るかが注目されます。