アイコン 百貨店は閉店、ドラッグストアは拡大 小売業界で進む「店舗の入れ替え」


日本の小売業で、店舗の「入れ替え」が進んでいる。かつて地域商業の中心だった百貨店は店舗網を縮小する一方、ドラッグストアは出店を続け、食品や日用品まで取り込みながら生活圏への浸透を強めている。

経済産業省が公表した2026年6月の商業動態統計によると、百貨店の販売額は5122億円で前年同月比1.3%増となった。売上だけを見れば回復しているが、調査対象店舗は175店で、前年同月の182店から7店減少した。

対照的なのがドラッグストアだ。6月の販売額は8025億円で前年同月比0.6%増。店舗数は2万772店に達し、前年同月の2万131店から641店増加した。4~6月期の販売額も2兆4521億円と前年同期比4.8%増えており、店舗網の拡大が続いている。

 

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1年間でドラッグストア641店増、百貨店は7店減

2026年6月時点の主な小売業態を比較すると、店舗数の動きには大きな差がみられる。

業態 2026年6月販売額 前年同月比 店舗数 1年前から
百貨店 5122億円 +1.3% 175店 ▲7店
スーパー 1兆3584億円 ▲1.3% 6061店 +46店
コンビニ 1兆1255億円 +0.4% 5万6696店 +150店
家電大型専門店 3966億円 ▲6.9% 2645店 ▲7店
ドラッグストア 8025億円 +0.6% 2万772店 +641店
ホームセンター 2749億円 ▲6.9% 4577店 +24店

※経済産業省「商業動態統計(2026年6月分)」を基に作成。

数字が示しているのは、単純な小売市場の縮小ではない。消費者が日常的に買い物をする「場所」そのものが変化している。

ドラッグストアは「薬を買う店」から変わった

ドラッグストアの強みは、すでに医薬品だけではない。

6月の販売額8025億円のうち、最も大きいのは食品の2774億円で、全体の約35%を占める。調剤医薬品も880億円で前年同月比11.5%増となった。

食品、日用品、化粧品、医薬品、調剤を一つの店舗で扱うことで、ドラッグストアはスーパーやコンビニ、ホームセンターなどが担ってきた需要にも入り込んでいる。

2025年年間でもドラッグストアの販売額は前年比5.5%増、店舗数は3.6%増となった。経済産業省によると、販売額の増加には食品や調剤医薬品が大きく寄与しており、ドラッグストア市場は長期的な拡大基調を維持している。

百貨店は「売上回復」と「店舗縮小」が同時進行

一方、百貨店を単純に「売れなくなった業態」とみるのも実態とは異なる。

日本百貨店協会によると、2026年6月の全国百貨店売上高は4687億円で前年同月比2.3%増となった。免税売上高も伸び、高級時計や宝飾品など高額商品の販売が業績を支えている。

しかし、その恩恵には地域差がある。10都市の売上高が前年を上回る一方、10都市以外では前年割れとなった。調査対象店舗も前年同月から減少し、総店舗面積も縮小している。

大都市の百貨店が高額品やインバウンド需要を取り込みながら存在感を保つ一方、地方では店舗網の縮小が進むという二極化が鮮明になっている。

「遠くの百貨店」から「近くの生活店」へ

もちろん、閉店した百貨店の跡地に、そのままドラッグストアが入るという意味での「店舗の入れ替え」ではない。

統計から浮かび上がるのは、小売市場の重心そのものの変化である。

百貨店は衣料品や高級品を中心とした大型店舗を都市中心部に構え、消費者を広域から集めてきた。一方、ドラッグストアは住宅地や郊外にも店舗網を広げ、食品や日用品といった購入頻度の高い商品を扱う。

人口減少や高齢化、節約志向が進むなか、小売業には「わざわざ出向いて買う場所」よりも、「日常生活の途中で繰り返し利用する場所」としての役割が強く求められるようになっている。

コンビニの店舗数が大きく増えなくなった一方で、ドラッグストアが1年間で600店以上増加したことも、この変化を象徴している。

百貨店が減り、ドラッグストアが増える――。これは単なる店舗数の増減ではない。消費者の生活圏と購買行動が変わり、それに合わせて地域商業の主役も静かに交代しつつある。

 

【参考】経済産業省「商業動態統計」日本百貨店協会

 

[ 2026年8月18日 ]
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