チベット・ネパールの大土石流 外国人旅行者も直撃
26日早朝に発生したチベットに接するネパール中部ラスワ郡で発生した渓谷河川で発生した土石流により、観光地であるラスワの町のボテコシ川沿いの建物のほとんどは破壊され、大量の死者と行方不明者を出している。
土石流の発生原因は氷河の崩落だったとされ、土石流が発生してボテコシ渓谷(河川)を下り、高い山々から抜けたラスワ郡で最大の被害が生じている。
河川沿いに宿泊施設があったのか、外国人観光客の多くが行方不明になっているという。
土石流はネパールラスワ郡から中部に達したという。
ラスワから氷河やチベットのラサに抜けるルートがあり、多くの観光客が滞在していた。
氷河崩落は、米地震観測所がM4.4の地震を観測するほどの大規模なもので、ボテコシ渓谷(河川)を鉄砲水となり押し寄せ、土石流となり下り、大きな災害をもたらした。(同観測所では地震波は氷河落下衝撃波でM5.2相当に修正されている)
氷河の氷岩が、相当な高さを滑り落ちたものとみられ、落下した際の衝撃が地震波として観測されたものだった。
●標高7234mのランタン・リルン山にある氷河崩落、
ランタン・リルン山は首都カトマンズ北方約96キロ付近にあり、落下した氷岩が渓谷の河川を塞ぎ、天然ダムのようになり、さらに河川は水かさが増し、その圧で天然ダムが崩壊、一挙に下流域へ流れ出、深い渓谷のため、土石濁流が加速し、下流の山間の町ラスワを土石流が超短時間で押し寄せ、逃げ出した人たちさえ一瞬にして飲み込んだ。
ラスワ地区の最低標高は614m、この標高差が想像以上の速さで土石濁流となり流れ出たものとみられる。
●●氷河落下の衝撃波が観測されたのは26日午前8時半ころ、ラスワ地区を土石流が襲ったのは午前9時ころ。落下した氷河が川を堰き止めた天然ダムを形成し、それが崩壊して土石流になったとの見方より、元々あった氷河湖を落下した氷河が氷河湖の護岸を破壊し、氷河湖の水が一挙に河川に流れ出た可能性が高いとみられる。
氷河が落下した地点(地震波発生源地)とラスワ地区は直線にしても20~30キロ離れている。
カトマンズの研究者らは今年、ヒンドゥークシュ・ヒマラヤ地域の氷河が急速に溶けており、2000年以降、氷河の減少率が2倍になったのは、主に地球の気温上昇と気候変動が原因だとしている。
ネパールラスワ郡と中国チベットとの国境にある中国側の検問所にある監視カメラ映像には、検問所近くのボテコシ川沿いの駐車場に観光バス10台ほどが駐車していたが、膨大な土石流に10台とも瞬く間に押し流され、土石流の中に消えていったという。
カトマンズに所在するネパールニュースの27日の報道によると、
ネパールで確認された死者数は360人のほか、旅行者や巡礼者600人以上が行方不明になっているという。その中には多くの外国人が含まれている。
NTBによるとラスワのティムレ地区およびボトコシ地区で、これまでに合計27人の外国人観光客が救助されたという。
●報道機関によると外国人不明者は、
インド人177人、
アメリカ人90人、
オーストラリア人34人
英国人33人
カナダ人25人
マレーシア人17人、
日本人(5人家族…ツアー参加)
韓国人
南ア人
20ヶ国以上
●中国の報道では、
ネパールにいた中国人約100人(連絡取れず行方不明)
(国境の中国側の吉良龍検閲所(5階以上建物)が飲み込まれ、建物を出て避難する人たちも一瞬にして飲み込まれた映像が報道されている)
川沿いにある検閲所を高さ30メートル以上の山津波が襲った。
●韓国の報道によると
ラスワで水力発電所の建設にあたっていた斗山社員9人と連絡が取れていないという。別の事業に携わっていた斗山の10人の社員とは連絡が取れ安全が確保されているという
●中国チベット側では3人死亡、558人が行方不明
一方、中国チベット側でも被害が大きく、ツガツェ市では3人の死亡が確認されているだが、行方不明者が558人に上り、うち260人が外国人だという。
土石流で渓谷の橋や道路が破壊され、交通の便は最悪、通信環境も著しく悪化しているという。
捜索が進むとともに被害者はさらに多くなるとみられている。
南アジア全域では6月から9月にかけ、モンスーン(季節風)による大雨で洪水や土砂崩れが発生しやすくなる。
特にヒマラヤ山脈を囲む中国やインドでの人為的な地球温暖化ガスの排出量が高く、ガスの滞留により、ヒマラヤ一帯の温暖化は急速に進んでいるという。
また科学者らによると、気候変動により同地域でも異常気象の頻度と規模が増していると指摘し、温暖化で氷河の崩落、氷河も減少しており、今後とも今回同様の土石流が発生する可能性は高くなっているという。
ただ、今年のモンスーンはエルニーニョの関係で集中豪雨などは少ないというが、シーズンであり山間部の雨量や河川の水嵩は増していた。また、最近、ネパール東部でも豪雨による洪水が発生していた。
今回は、氷河崩落に伴う河川の流れ遮断、天然ダム、雨量による増水が続き、天然ダムが崩壊、一挙に峡谷を流れるボテコシ川を流れ出て、ラスワ地区に、その際、峡谷河川沿いの山肌を削り、膨大な量の土石流が、猛スピードで下流のラスワ地区を襲ったもの。
こうした山津波が襲ったのは水曜日の午前9時ころ、多くの人たちが仕事で家を出ていたことから、住民の被害者は少なかったとの見方もなされている。
また、今回の山津波の被害は、ラスワ地区以外のボテコシ川の支流域でも大きな被害を出している。
二次災害の危険性
ボテコシ川の山間部で土石などにより再び天然ダムが形成されているのが見つかっており、その崩壊の危険性が指摘されている。
ネパール側で被害を受けた一帯は、ネパールのカトマンズからチベットのラサに至る国境の町で、ヒマラヤ山脈の観光地、避暑地、氷河観光、トレッキング、巡礼者が多いが、昨年も7月と9月に洪水被害を受けており、モンスーンシーズン(6~9月)の旅行は危険と隣り合わせのようだ。
今回は氷河崩落に起因しているが、温暖化で氷河も減少し続けており、再び氷河崩落に起因した大災害が発生する可能性は大幅に増している。
なお、ネパールでは行方不明外国人のうち判明した外国人については、国籍、氏名、年齢、性別などが公表されている。

河川のランタンコーラ川は東から西へ流れ、支流と合流してトリスリコーラ川になり、南下してボテコシ川に、ラスワ地区を通り南下している。






