韓国の造船業界 労組と賃上げ交渉膠着 賃上げと大幅な業績成果給要求
韓国の造船業界は、豊富な受注残を抱え、スーパーサイクルを迎えている。そうした中、今年の賃金・労働協約交渉が労使間でまとまらず秋夕連休を越すことになった。造船業界は、好業績を背景に、労組が成果給の拡大を最大の要求に掲げて交渉が膠着している。
1、HD現代重工業(HHI)の労組は9月、交渉決裂を宣言し、秋夕連休明けに造船業種労組連帯の共同ストライキを含む全面闘争に乗り出すと予告している。
労組は号俸昇給分とは別に、基本給14万9600ウォン(1万7,383円/1ウォン:0.1162円)の引き上げと営業利益の最低30%配分などを要求し、これまでに会社側が提示した基本給11万ウォンの引き上げや激励金1000万ウォンの支給などの3次提示案を拒否している。
2、ハンファオーシャン(元大宇造船海洋)の労使も9月22日、24回目の交渉で合意点を見いだせなかった。
労組は基本給14万9600ウォンの引き上げ、賞与金の900%への拡大、成果給の支給基準の改善などを要求し、18日から事業所内のゴライアスクレーン(船のブロックを搭載するクレーンで最大1000トンを釣り上げ可能)4台すべてを停止させた。
ハンファオーシャンの会社側は、経営成果給は組合との義務的な交渉対象と見るのは難しいとしており、労組がこれに反発し、争議行為を続けている。
造船業界では、すでに生産への支障が対外的な信頼に及ぼす影響を懸念している。背景には中国の造船業がLNG船など高付加価値船にまで急速に追い上げている状況で、韓国造船業が積み上げてきた競争力が損なわれることが懸念されている。
3、サムスン重工業は造船大手3社のうち初めて、9月23日に実施された組合員の賛否投票で58.78%の賛成を得て、賃金交渉を妥結している。
基本給13万1786ウォンの引き上げと激励金700万ウォンの支給、今年の営業利益の10%を基準とした成果給の算定などが盛り込まれている。
4、創業以来初のストライキに突入した鉄鋼業のポスコは、労組執行部選挙の日程に伴い、10月2日まで交渉そのものを中断している。
以上、
日本では組合は悪とみなされ、形骸化させられ、労組は経営側からお裾分けの賃上げに甘んじている。小泉時代から、財界企業が空前の利益を計上しても従業員への還元をしてこなかったが、円安・物価高に大手企業の尻にも火が付き、2026年に入り、やっと賃上げ率が物価上昇率を超え、実質賃金増となっている。
人手不足で賃金が上昇するはずだったが、低賃金の外国人労働者を急増させ、賃上げを抑制させてきた政財界、造船業の外国人技能労働者の賃金はすでに日本より韓国が多くなっている。
何でも民営化の日本と違い米国では郵便局は国営事業、世界恐慌と第2次世界大戦当時のルーズベルト大統領が当時組織させた自動車労組は今も健在、全米労働者の賃金上昇をけん引している。日本の政治家や財界には国民に対して競争を煽るだけで包容力がない。
韓国の造船業界は、タンカーやバラ積船ではすでに中国に追い越され、技術力を要し付加価値が高いLNG船や原油生産の海上基地などのプラントの受注が好調に推移している。
韓国のLNG船は仏の造船会社が特許を持つ箱型、従来の丸型より多くを運搬でき効率的。2022年3月の露制裁により、米国や中近東の天然ガスを液化させ運ぶLNG船のニーズが急激に高まった。米国の場合は、LNG輸出の本格化も露制裁以降、LNG船の船主は米国企業とは限らず、多くは欧州の超大手商船会社や欧州の巨万の船主たち、およびカタールのように国営企業が発注している。
そのLNG船も中国の造船技術も向上し、受注隻数では最近は韓国との差も縮小してきている。
(ちなみに客船は、中国は造れるが韓国では造れない)
受注から納品まで3年以上かかり、現在、韓国の造船業はスーパーサイクルに入っているが、2029年までには納品も終了、現在は、新たな受注を増加させるしかない。中東勢はイラン戦争で原油生産基地や石油精製施設、天然ガスの液化工場などが攻撃を受け、傷ついており、余計な巨額の改修工事が必要になっており、ホルムズ海峡の封鎖合戦で、輸出も限られ、2022年の特需は見込めそうにない。
また、中東戦争やウクライナ戦争の終戦、露制裁の緩和などがあれば、現在のサウジ原油のスエズ運河・地中海経由アジア行きも解消され、船台不足もなくなり、今後、大型タンカーやLNG船の発注量は減少するものとみられる。
造船業界は中国の台頭に韓国も含め世界の造船会社は後退を余儀なくされている。
造船に使用する厚板鋼板も中国製の韓国での輸入価格は、韓国の鉄鋼会社製より20%安価となっており、、韓国の造船業界もそれまでは20%以下だった中国製厚板鋼板使用率を現在では30%以上に引き上げ、トータルコストを引き下げている。
韓国の造船業界は、スーパーサイクルは短期間で終了する見方が大勢、株価も好業績に反し、下げが目立っている。
まずは、プーチンとトランプの戦争を終了させなければ、習が倣って戦争をおっ初める可能性もあり、早期に終戦させる必要がある。ただ、狂人トランプは、イランとの戦争を終戦させれば、暇を弄び、現在、軍艦で貿易封鎖、経済封鎖しているキューバをゲーム感覚で攻撃する可能性もある。
韓国の造船業界が、挙って米国に進出し、米国の軍艦受注に本腰を入れているのも理解できようか。






