アイコン 中国ZTE 実質破綻・国有化か トランプ政権とは和解したが、米議会が反対

 

 

4月16日のスマートフォンや通信中継基地用機器を安価に製造・提供する中国ZTEに対する米トランプ政権の制裁では、同社に製品の20%超とされる米企業製の核心部品が入らなくなり、同社は、同月末までに販売停止に追い込まれた。その後工場も停止していると報じられていた。在庫は2ヶ月分もなく、数ヶ月で倒産が予想されていた。

そうした中、

香港紙・蘋果日報が7月2日、米中貿易摩擦の象徴的な存在となった通信大手中興通信(ZTE)の経営破綻と国有化が取り沙汰されていると報じた。

報道では、中国国内の関係者の話として「ZTEが間もなく経営破綻を公表。(国有通信企業の)烽火通信科技集団がZTEの全株式を買収した」と報じた。

国有化は6月に行われた共産党政治局会議で決定されたという。この決定を受け、6月27日、中国の国務院国有資産監督管理委員会が、烽火科技の親会社である武漢郵電科学研究院有限公司(武漢郵科院)と電信科学技術研究院有限公司(電科院)の統合・合併を承認し、新たに中国信息通信科技集団有限公司を設立した。

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業界関係者の間では、新会社の設立で、ZTEの完全国有化の動きが加速したとの見方が広がっている。

武漢郵科院と電科院はいずれも国有のインフラ通信会社。

 

<経過>

2017年3月米政権は、ZTEが対し、イラン禁輸措置に違反したとし10億ドルの罰金と付帯事項遵守を科した。

4月16日、しかし、ZTEが上記制裁の付帯事項である「関係した幹部社員たちの処分」をしていなかったとして、米トランプ政権は、ZTE向け米国企業の製品の販売を7年間禁止すると発表した。

ZTEを事実上の経営破綻に追い込んだ。

その後、中国側は米政権に対して、制裁の解除を求めてきた。

6月7日、トランプ政権はZTEとの間で、制裁解除で合意した。合意内容に、ZTEが10億ドル(約1100億円)の罰金の支払い、今後の条項違反保留金として4億ドルの預託、米国が選任するコンプライアンスチームの設置、30日以内に取締役や経営陣を刷新するなどが含まれていた。

6月18日、ところが、同社に対する安全保障上の懸念から米超党派の議員たちは、これに反発した。米議会上院は超党派で、制裁解除を認めない条項を盛り込んだ法案を賛成多数で可決した。

ZTEの復活は再び不透明となっている。

6月29日、ZTEは、制裁解除の条件の1つとしている経営陣の人事刷新を公表した。同日、中国で開催した同社の株主総会で、14人の取締役が辞職した。新たに8人の取締役が選出された。

西安微電子技術研究所副所長を務めた李自学氏(54)が、取締役会の新会長に就任した。

西安微電子技術研究所は、中国国有航空宇宙企業「中国航天科技集団」の子会社で、コンピューター、半導体集積回路などの研究開発を担っている。

同社は、ZTEが創業当時から大株主を務めている。ZTEは当局と民間資本の共同経営企業で、いわゆる官民共営の体制を取ってきた。

「蘋果日報」によると、ZTEの幹部は経営破綻と国有化の動きを否定したとしている。

以上、

中国の華為(ファーウェイ)やZTEはスマートフォンや通信中継基地の機材を製造しているが、以前からバックドアが仕込まれており、情報が中国側に筒抜けになっているとして、米国では政府機関での使用を既に禁止している。

米国ではオバマ政権時代、米国内のパソコンやタブレット・スマホに、これまでに多くのウイルスが人民解放軍の上海61398部隊(サイバー部隊)などにより仕込まれ、米軍・米政府・米企業の極秘情報が中国側に流出したとして、サイバー部隊と華為やZTEを名指しで批判してきた。

中国政府は、最先端技術につき、開発するには長時間を要し、コストも莫大にかかり、それもいつになるかわからない。そこで、合法的にはM&Aにより取得、違法では産業スパイさせ、バックドアやウイルスを駆使して、最先端情報を取得している。しかし、最先端企業に対するM&Aが、安全保障上問題があるとして、欧米当局が認可をおろさなくなった。

そのため最近では強硬手段に転じている。

中国進出企業に対して、あからさまに最先端技術情報を提供するように指示している。しかし、日本を除き知財問題では、ほとんどの国の外資企業が断っており、EUは6月、WTOに対して、中国を知財問題で提訴している。

こうしたなか、中国当局は6月、韓国のLGディスプレイに対して、生産技術に関する企業秘密情報を提供しなければ、現在、LGディスプレイが建設中の中国工場(最新有機EL工場)での生産を認可しない(不許可)という申請却下処分を行った。基地外めいた動きに転じている。

(日本政府が言う知財問題は、主にアニメやゲームソフトのパクリ問題だけを指している)

当時、新日鉄の最大級の極秘製造技術だった特殊鋼板「方向性電磁鋼板」を韓国のポスコが産業スパイして盗み出し、ポスコ関係者がその技術情報を中国の宝山鋼鉄に550万ドルで売り飛ばしていたことが裁判で明らかにされている。・・・知財とはこういうものを指す。

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[ 2018年7月 3日 ]

 

 

 

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