アイコン シェールオイル生産量初減速 原油安にリグ停止さらに広がる

サウジを筆頭とするOPEC軍団と新興勢力の米シェールオイル軍団の戦いは、油井を掘り続ける必要があるシェールオイル軍団がコスト高の中、原油安から根を上げ、シェールオイル生産の減速がやっと明らかになってきた。

4月13日に米エネルギー情報局(EIA)が発表した生産動向調査によると、米主要鉱区の5月の原油生産量は日量556万1千バレルで、前月より5万7千バレル減る見通しとなった。

米通信社ブルームバーグによると、シェールオイル生産量の減少は、この調査を開始してから初めて。原油安による関連各社の採算悪化が背景にある。

 原油価格は2014年後半に下げ足を速め、ピーク時の半額以下の1バレル50ドル台前半を中心に推移する。だが価格決定に大きな影響力を持つ石油輸出国機構(OPEC)は、既存市場を失わないために減産の姿勢をみせない。

 OPECを率いるサウジアラビアは、原油安を放置する狙いが市場占有率の確保だと指摘している。
生産コストが高めなシェールオイル関連企業を狙い撃ちしているのは明らか。シェール各社と産油国の「持久戦」が続く展開になっている。

 シェールオイルの生産減速の主因は、リグと呼ばれる掘削設備の稼働数が減少していることにある。(1600本が3月に800本と半減していると報道されていた)

<リグ稼動半減・リグ1本当たりは4割増産>
 EIAによると、ノースダコタ州を中心に広がるバッケン鉱区で3月時点のリグ数が14年9月よりほぼ半減した。
5月の1リグあたりの生産量は、前年同月より約4割増える見通し。しかしリグの減少ペースが急ピッチで、5月の同地区での生産量は前月比で日量2万3千バレル減るという。

 米石油サービス会社ベーカー・ヒューズによると、米国で原油生産に使うリグの数は4月10日時点で760基。14年10月のピークから半減した。シェール各社が新規投資を抑えているためだ。
 生産の低迷は広がる動きが続いている。

米国の産油量は、4月3日時点で日量940万バレルの高水準だが、今後は本格的な調整局面に入る可能性が出てきた。
 なかには増産基調が続く鉱区もある。テキサス州とニューメキシコ州にまたがるパーミアン鉱区で5月の原油生産量は4月より1万1千バレル増える見通し。
シェールの掘削コストは、油井によって異なる。原油安でも生産を継続できる鉱区も少なくない。
 シェール各社は原油価格が上昇に転じれば再び増産できるように技術者らを確保している。このため、原油は今後、値上がりしたとしても限定的だとの見方は多い。
 
EIAは、国際指標の一つである米国産WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)の15年の平均価格を1バレル52.48ドルと予想している。
以上、

原油は、原油層から汲み出すため、一度掘ったら、その層が枯渇するまでくみ続けられる。初期投資は原油掘削リグが比べ物にならないほど高いが、一度掘ってしまえば低コストで産出される。

一方、シェールオイルは、頁岩層(=シェール層)にあるシェールオイルを、頁岩を破砕して汲み出しており、1本のリグで大量に汲み出せる層は少ない。そのため、移動しながら、次から次にリグを設置する必要があり、生産コストは自ずと高くなる。
米東北部では、大量生産されるシェール層が多くあり、これまで北西部で開発されたシュール層が採算割れから、リグ停止に追い込まれているのに比較し、増産している。そのため、昨年11月ころからリグ停止が相次ぎ今や半減しているが、3月に至るまでシェールオイルの生産量は増産され続けてきた所以である。

やっと、生産量が減速するとされるが、カナダには世界の原油埋蔵量に匹敵するオイルサンド(但し重質油)も商業生産が開始され、パイプラインでアメリカの石油精製施設へ送られている。
データはそれも含んだものかどうかは不明。
こうした発表により14日のアメリカの原油価格(WTI)は52.90ドルと前日より1ドルほど高くなって取引されている。

<上がり続けることはない>
世界経済が低迷する中、アメリカはシェールオイル・ガス革命で経済回復を果たしている。その代わり、サウジ等から輸入は激減し、シェールオイル含む原油の需給バランスが崩れ、暴落を招いた。
これまでだったら、OPEC産油国が生産調整に入り、下がった価格を押し上げる動きをしたが、今回は、世界最大の原油消費国のアメリカでは、シェールオイルの生産拡大が続き、このままでは市場を奪われてしまうという懸念から、OPECは生産量を維持したまま、一方のシェールガスが増産され続けていることから、需給バランスが崩れ原油価格が下げた。

ただ、シェールオイルの生産量が落ち価格が上昇すれば、値上がりを手ぐすねひいて待っていたシェールガス会社が、リグを稼動させることから、上昇し続けることはない。
 

[ 2015年4月15日 ]
スポンサード リンク

 

コメントをどうぞ

関連記事

  • この記事を見た人は以下も見ています
  •  
  • 同じカテゴリーの記事です。
  •   
スポンサード リンク
 
JCNET注目記事!
PR いま建設業界の求人が急増中、当サイトおすすめのワークポートが便利です。


PICK UP

↑トップへ