アイコン 新コロナ後の日本経済、資源・半導体・物流すべて急騰中 スタグフレーションの危機到来か


すでに世界経済は新コロナ後を動いている。それほどワクチン接種の進捗により新コロナの収束は現実化している。置いてきぼりのどっかの国の話ではない。
新コロナの感染拡大を権力により押さえ込んだ中国は早、経済を回復させ、米国でもワクチン接種が確実に進み、一部の感染拡大州を除き経済回復を鮮明にしている。
米中・世界2大経済圏の回復により、すでに原油や資源価格も値上がり、木材も急騰、穀物類も高騰している。

<インフレは必然か>
米ニューヨーク州では、「レストラン・ホール募集}広告で、人手が集まらず、最低賃金1250ドル(約1360円)よりも10ドル高い時給23ドル(約2500円)を提示している。
1年前、新コロナ感染症拡大のため営業を停止していた飲食店が一斉に営業を再開して求人難に陥り、「時給アップ」を提示してまで人手の争奪戦が始まっている。
米国など主要国の新コロナワクチン接種が急速に進むにつれ、「インフレ(物価上昇)が予想よりも早くやって来るかもしれない」と予想する声が上がっている。
早まった経済再稼働に起因する人件費上昇、半導体および原材料不足による工業製品価格上昇、各国政府が注入した巨額の景気浮揚投資などが相まって、市場では既に物価上昇が始まったとの見方も少なくない。

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<米財務長官「インフレの心配ない」/業界「もう来ている」>

 インフレ懸念に米連邦準備制度理事会(FRB)は「物価上昇は一時的な現象であり、心配する状況ではない」との見解を変えていない。イエレン米財務長官も2日、「インフレを心配する必要はない。もしインフレが来ても対処手段を持っている」と語った。バイデン政権は200兆円規模の経済支援策を3月に議会承認を受け実施する。
 イエレン政策はFRB長官時代から一貫しており、すべては失業率の改善にある。広域のアメリカにあり、全体だけを見た場合、まだ雇用は新コロナ以前に戻っていないが、そこがイエレン采配の落とし穴になる可能性も高い。ほとんどの州では感染が収束へ向かい、人手不足が顕在化している。

しかも、生産現場や市場の専門家らの見方は違う。
米投資会社バークシャー・ハサウェイのウォーレン・バフェット会長は5月1日の年次株主総会で、「米国経済は急速に回復しているが、とんでもないインフレが起こるかもしれない。人々は財布に金を入れておき、消費を止めずにいる」と語っている。
業務用冷蔵庫メーカー、ドーバー・コーポレーションのリチャード・トービン社長は実績発表で、「FRBはしょっちゅう『インフレの心配はない』と言っているが、とんでもない話だ。インフレは既に来ている」と述べた。

雇用・生産・消費など経済のさまざまな変数は複合的に物価を引き上げる力として作用している。まず、新コロナで抑え付けられていた消費が増え、需要が急増する可能性が高い。

米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは「アップルからドミノピザまで、米企業は急増する消費に伴う需要を満たすため苦戦している。自動車や家具などを注文した後、配達までにかかる時間はますます長くなっている」と2日報じている。
格付会社のムーディーズは今年1~3月期の全世界の家計余剰貯蓄が5兆4000億ドル(約590兆円)に達すると推定している。

経済回復で求人企業が増え、人件費が上がるのもインフレの可能性を高める大きな要素。人件費の上昇は企業のコスト増と同時に消費を増やし、インフレを誘発する。
全米自営業連合会によると、会員企業の42%が「働く人々を求めている」と最近のアンケートで回答している。
求人難のため、米レストラン・チェーンのダーデン・レストラン(Darden Restaurants)は賃金を既に引き上げ済みで、米最大の電子商取引企業アマゾンも平年より6ヶ月も早い5月に賃金を引き上げると発表した。
英紙エコノミストは「アマゾンの賃上げは求人競争を展開している他企業の連鎖的な賃金上昇を誘発するだろう」と見ている。米連邦法での最低賃金は7.25ドル/アマゾンは最低賃金を15ドルに賃上げした。コストコ14ドル、ウォルマート11ドル。

需要は急増、供給は「ボトルネック」
 需要が新型コロナ前の水準に急速に回復しつつある一方、供給体制はまだスムーズにできておらず、原材料や物流コストが上がり続けているのも、物価上昇の遠因となっている。
半導体の供給が需要に追い付かない「ボトルネック」は簡単には解決できない状況にある。すでに半導体の回復には2~3年を要するだろうとの見方も示されている。
原材料価格は原油価格を中心に高騰し、価格上昇をあおっている。アップルやキャタピラーなどのグローバル企業はこのほど業績を発表した際、4~6月期の最大のリスク要因に供給不足と原材料価格の上昇を挙げた。
新コロナで暴落した1年前、1バレル当たり25ドル(約2700円)前後だった原油価格は、現在65ドル(約7100円)前後と2.5倍に上がっている。

<海上輸送のコンテナ価格急騰中>
世界経済の景気回復に伴う物流経費が高騰、今だ港湾機能が新コロナ対策に時間を要し、加えスエズ運河での座礁も影響して高騰し続けている。上海コンテナ指数は、北米航路で昨年1~6月間は前年比で▲2%も下がらなかったが、今年は1~3月までに前年比で25%も上昇し、その後も上昇し続けている。
バルチック海運指数も2020年1月1,000ポイント前後、10月には2,000P、21年4月6日に2,160P、5月4日3,157Pまで急騰している。

市場は、既にインフレを既成事実化する方向に動いている。
インフレで最大の恩恵を受ける企業の一つであり、金融株を集めた米SPDR金融業ETF(上場投資信託)は年明け以降、価格が25%上昇している。
世界の主要原材料価格に応じて動く米インベスコ・パワーシェアーズ(Invesco PowerShares)ETFは年初より29%上昇している。
以上、

原油も鉄鉱石も銅など資源も値上がり、大豆や食料油なども世界需要の高まりから値上がりしている。調達ではそれに加え物流経費まで上乗せされる。

日本はETFを国の機関である日銀が50兆円も買い込んでおり、そのさじ加減で日本の株価は新コロナの感染拡大で一時的に下げ、さらに、今後発生する可能性がある東京五輪中止などより下落要因はいくらでもあろうが、一定水準まで下がれば、日銀(国内ETF50兆円)と年金(国内株式45兆円)が買い支えることから、現在は安泰領域に達しているものと見られる。日本では9月に向けワクチン接種も進み、米市場をにらみながら上昇するものと見られる。
米国では経済回復に加え、住宅需要の増加、それも新コロナ対策から戸建需要が増加、木材価格が急騰、米国発で世界中の木材価格が急騰し「ウッドショック」に陥っている。中国でも景気対策から住宅需要が急増し再び住宅価格は一部地域でバブル化している。
米松 集成梁材(4m×0.12×0.30)価格(東京木材問屋組合)
2019年12月18,000円⇒2020年12月18,000円、2021年3月19,940円

ただし、CME(シカゴ取引所)のRumber相場は昨年10月から上昇し、それも今年1月からは冒頭、今年2月にはピークを向かえ、3月以降、幾分低下、高値圏での取引が続いている。昨年10月からの比較では3倍高となっている。ただ、来年(2022年)1月の先物価格は昨年12月水準の価格で取引されており、半導体のように買占めなど発生しない限り落ち着いてくるものと見られる。

日本の場合、懸念されるのは一時的な回復はあっても消費低迷が続き、内需悪化の中、輸入材に起因した物価高だけが進み、さらに消費を減退させるスタグフレーションの発生だろうか。

過去の政府と経団連とが結託して、本来やるべき生産性の向上ではなく、東南アジアの低賃金と日本の労働者の賃金を競わせた結果のこん日の日本企業の賃金体系により、また、アベノミクス政策で何もせずに利益を享受し、政府が設備投資を訴えても、利益に満足して、見てくれの事務所移転や株主還元策に奔走し利益を費消、生産性向上のデジタル化投資を怠った日本企業にあり、景気回復は、直接的にはGDPの16%しか占めない外需は別にしても内需は期待できそうもない。スタグフレーションは必至ではないだろうか。
菅首相は最低賃金を大幅に上げるとしたが、その上げ幅により言行不一致か、一致か、結果次第では金の玉が問われることになる。
(日銀黒田の茶番は別として、日本はインフレにできない根本問題を一方で抱えている。それは膨張しきった国債残にあり、その利子により国家予算の多くがすでに吹き飛んでおり、インフレのため利子が上がることなど到底想定できない事情がある)

[ 2021年5月 5日 ]

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