ワクチン接種進むイスラエルはどうして感染拡大したのか 日本も学習を
イスラエルではワクチン接種が進み、模範国と持て囃され、大幅規制緩和となっていた。しかし、7月からはデルタ株が本格的に襲い、感染者が急増している。
イスラエル保健省は、ワクチン接種後の時間経過とともに、デルタ変異に対する効果が低下すると報告し、8月1日から60歳歳以上を対象に3度目の接種を開始した。
https://www.gov.il/en/departments/news/31072021-01
mRNA型ワクチンのファイザーとバイオンテック社は、3回目接種の臨床試験を行っていることを7月8日に公表。3回目を接種することにより、2回目接種後に比べて、中和抗体の値が5~10倍、増強したと公表した。
デルタ株のような変異ウイルスの影響から、2回目接種後の6~12ヶ月後に3回目接種が必要となる可能性が高いとした。
英保健省は6月30日、70歳以上の高齢者や免疫抑制剤を服用している人は中和抗体の減少率が高く、3回目の接種が必要だと公表した。
結果、中和抗体量が減少するのは人によって異なり、3回目の接種で抗体量はより強力になろうが、副作用などのリスクも考慮され、無闇に接種することも望まれない。人によっては4ヶ月後には中和抗体量が減少し始め、5ヶ月後には感染リスクにさらされる。
そもそも、それ以前にワクチンの有効率は88%前後、接種完了者でも中和抗体を育成できない人が12%あり、感染するリスクを擁している。
<日本は>
政府は3回目接種を2回接種完了の8ヶ月後から実施し、それも医療関係者や高齢者を優先する方針だとしている。(第6波を回避するためにも、半年後から接種しなければ、感染が爆発するおそれがある。河野・沈大臣がそれを望んでいれば別だが・・・。そんなことはないだろうが)
<抗体量をチェックできるキット販売>
そこで、急浮上しているのが、九大発ベンチャーの「KAICO」(電話:092-707-4016)の抗体量の検査キット、カイコから生成した「スパイクたんぱく質」を抗体にくっつけ、微量の血液から検査し、発色・検出する仕組み。
抗体の量がどれほどあるのか5段階の色で示される。
今後、抗体量しだいで3回目の接種が必要かどうかもわかる。
1週間後にメールで結果を知らせてくれるという。
価格は3~4千円、福岡の薬局で試験販売中、体制が整えば全国の薬局でも販売するという。
抗体量が5ヶ月後、8ヶ月後、1年後、十分にあれば感染するリスクは極めて少なく、接種する必要はない。人によって大きく異なる。
それは上記のように70歳以上の高齢者や免疫抑制剤を服用している人などでも異なることだろう。人の健康状態がそれぞれ異なるように。
接種完了しても12%はデルタ株に対処できる抗体が育成されないとされ、接種完了者に抗体がちゃんと育成されているのかどうか調べておく必要性もある。
(ワクチンパスポートの所持者でも12%は感染リスクがあり、感染しているかもしれない。パスポートの有効期限も管理しなければ、接種官僚から半年後からは感染リスクがあり、感染しているかもしれない、そうした人たちがパスポートを所有し、社会を闊歩することになる。)
スクロール→
日本のワクチン接種完了推移 |
||
2/16~ |
各月末 累計数 |
|
3月 |
125,580 |
0.1% |
4月 |
1,040,000 |
0.8% |
5月 |
4,010,000 |
3.2% |
6月 |
17,740,000 |
14.1% |
7月 |
37,840,000 |
30.0% |
8月 |
58,510,000 |
46.4% |
9月23日 |
70,730,000 |
56.1% |
人口 |
126,000,000 |
|
本来ワクチンは、3回目が必要かどうかも含めた長期のワクチンの臨床試験が必要、最低でも5年、長いものでは10年以上かかる。そうして初めて安全性など検証され、薬事当局から承認され世で使用されている。
しかし、武漢発の新型コロナ疫病はパンデミックに至り、全世界を震撼させ続け、これまでのワクチンの製造方法と異なるmRNAやアデノウイルスベクター型のワクチンが実質10ヶ月あまりで開発から3相臨床成果を受け緊急承認されてきている。
超短期間での承認のため、そもそも検証されておらず、ワクチン接種が引き金となり死亡しても、因果関係なしや不明でいとも簡単に片付けられている。リスクより利益が大として国家的な見地からワクチン接種は進められてもいえる。
<イスラエルの現状>
イスラエルでは3月はじめまでに人口の約4割が接種を完了させており、すでに6ヶ月を経過、中和抗体が減少し、感染リスクにさらされている。
イスラエルのワクチン接収状況 接種完了推移/人口比 |
|
1月末 |
21.1% |
2月末 |
38.7% |
3月末 |
54.6% |
4月末 |
57.5% |
5月末 |
58.5% |
6月末 |
58.9% |
7月末 |
61.2% |
8月末 |
62.5% |
9月25日 |
63.8% |
<イスラエルの感染者の増加原因>
イスラエルではワクチン接種が進み、模範国と持て囃され、大幅規制緩和となっていた。しかし、7月からはデルタ株が本格的に襲い、感染者が急増している。
原因は3つ。
1、法律が適用されないユダヤ教の超正統派(髭に帽子)が信者も入れ約100万人、
2、接種しない12歳未満が194万人、
合計して人口の32%が接種せず、感染リスクにさらされている。
そのため、3月まで急速に接種完了者が増加したものの、その後増加数が大幅に落ち、7月24日の60.3%、2ヶ月後の9月25日の63.8%とほとんど伸びていない。
3、また3月初めまでに接種したのは人口の約40%にもなっているが、すでに抗体量が減少過程に入り、感染リスクにさらされている。
イスラエルの主たるワクチンはファイザー製。88%の有効率の問題より、中和抗体減少が最大の感染リスク問題となっており、8月から3回目の接種をすでに実施している。
こうしたことを前提に、感染者数も、2回接種完了率が58%に達したあたりから、徐々に増加しだし、今日に至っている。日本の1/13の人口であり、直近週の日平均で5,900人台の感染者数は非常に大きい感染者数となっている。
スクロール→
イスラエルの人口とワクチン /千人 |
|||
人口 |
9,216 |
ワクチン対応 |
|
0~11歳 |
1,947 |
21.1% |
接種せず |
超正統派 |
1,000 |
10.9% |
接種せず |
小計 |
2,947 |
32.0% |
接種せず |
接種世代 |
6,269 |
68.0% |
接種可 |
人口は2020年世銀。 |
スクロール→
イスラエル 感染と死亡者数 |
||||
|
週の感染者数 |
週の感染死者数 |
||
|
週 |
日平均 |
週 |
日平均 |
5/30~6/5 |
113 |
16 |
11 |
2 |
6/6~12 |
95 |
14 |
10 |
1 |
6/13~19 |
169 |
24 |
0 |
0 |
6/20~26 |
993 |
142 |
0 |
0 |
6/27~7/3 |
1,825 |
261 |
0 |
0 |
7/4~10 |
3,163 |
452 |
7 |
1 |
7/11~17 |
5,157 |
737 |
11 |
2 |
7/18~24 |
8,430 |
1,204 |
12 |
2 |
7/25~31 |
14,620 |
2,089 |
15 |
2 |
8/1~7 |
23,308 |
3,330 |
62 |
9 |
8/8~14 |
38,331 |
5,476 |
76 |
11 |
8/15~21 |
50,886 |
7,269 |
164 |
23 |
8/22~28 |
60,153 |
8,593 |
175 |
25 |
8/29~9/4 |
66,938 |
9,563 |
204 |
29 |
9/5~11 |
62,636 |
8,948 |
184 |
26 |
9/12~18 |
45,246 |
6,464 |
173 |
25 |
9/19~25 |
41,352 |
5,907 |
130 |
19 |
累計 |
1,262,868 |
|
7,641 |
|
なお、数値のデータはWorld MeterおよびOurWorld in Dataによるもの。
<ワクチンパスポート>
ワクチンパスポートの所持者でもデルタ株では12%に感染リスクがあり、感染しているかもしれない。
パスポートの有効期限も管理しなければ、接種完了から半年前後から感染リスクがあり、感染しているかもしれない。
そうした人たちがパスポートを所有し、全国の観光地を訪れることになる。
当然、連れてパスポートを持たない人たちも観光地へ旅行することになる。12歳未満だけでも1280万人いる。
また7月は緊急事態宣言下ながら、オリンピック休暇があったことから、観光大増により3007万泊と新コロナ発生後最大の延宿泊数となった、当然8月の全国的感染爆発の原因の一つとなった。
ワクチンパスポート・キャンペーンは、よくよく防疫対策に立脚して進めてもらいたいものだ。
ワクチンは万能ではない。
Witrh Corona=決してウイルスとお友達ではない。一緒にいたくもない。横文字が大好きな都知事だけにしてもらいたい。
SARS CoV2-Delta、感染すれば人に多くの後遺症をもたらし、命さえ奪う。これまでにすでに475万人が亡くなっている。
スクロール→
ワクチン接種 9月24日更新分 |
||||
Our World in Data版 |
||||
人口 |
イスラエル |
日本 |
英国 |
米国 |
千人 |
9,320 |
126,000 |
68,320 |
333,400 |
接種回数(千) |
11,692 |
156,560 |
90,270 |
395,820 |
人口比接種回数 |
125.5% |
124.3% |
132.1% |
118.7% |
1回以上接種数(千人) |
6,082 |
85,830 |
48,710 |
212,860 |
人口比 |
65.3% |
68.1% |
71.3% |
63.8% |
接種完了者数(千人) |
5,610 |
70,730 |
41,560 |
182,960 |
人口比 |
60.2% |
56.1% |
60.8% |
54.9% |
未接種者数(感染リスク者) |
||||
1回未接種者数(千人) |
3,238 |
40,170 |
19,610 |
120,540 |
人口比 |
34.7% |
31.9% |
28.7% |
36.2% |
接種未完了数(千人) |
3,710 |
55,270 |
26,760 |
150,440 |
人口比 |
39.8% |
43.9% |
39.2% |
45.1% |
最近の感染者数(実数)/World Meter版 |
||||
9月23日 |
6,419 |
3,602 |
36,175 |
132,437 |
9月24日 |
853 |
2,091 |
35,089 |
131,938 |
9月25日 |
6,345 |
2,674 |
31,348 |
54,144 |