ファイザー社のパクスロビドは新コロナのゲームチェンジャーになれるのか
ファイザー社が開発した新型コロナウイルス感染症の治療薬パクスロビド(Paxlovid)は、感染初期に服用する治療薬。その高い効能から新コロナとの共存、With Coronaにとって欠かせないこれまでの防疫対策から、ゲームチェンジャーになれるとされている。
パクスロビドの臨床治験では、軽・中程度の新型コロナ感染症と診断された患者で、肥満や高齢など重症化リスクを少なくとも一つ抱えている人を対象に実施。
1219人の患者を分析した結果、症状が出てから3日以内にパクスロビドの投与を開始した患者のうち、投与開始から28日以内に入院が必要になった患者は0.8%にとどまり、死亡者はゼロだった。
一方、プラセボ(偽薬)投与のグループでは7%が入院し、7人が死亡した。
パクスロビドを服用した775人は、偽薬(プラセボ)を服用した患者群に比べ入院・死亡リスクが89%減少。
また、発症してから5日以内に投与を開始した場合では、入院率は1%で死亡者はいなかった。これに対しプラセボの投与を受けたグループの入院率は6.7%で、10人が死亡した。この結果から有効率は85%に相当するという。
パクスロビド薬は、コロナウイルスが体内で増殖するのに必要な酵素に対して、その働きを抑制するという。ヒト免疫不全ウイルス(HIV)治療薬の「リトナビル」と混合した経口錠剤となっている。5日間、1日に2回、3錠ずつ計30錠服用する。
ファイザー社は年末までにパクスロビド薬18万人分、来年には5000万人分を生産し、全世界に供給する計画だと表明している。
米メディアは、パクスロビド薬の1人当たり初期価格が約700ドル(約8万円)で米メルク社の「モルヌピラビル」(重症化リスク50%抑制/(英で承認済み)と同水準に設定されると予想している。
当治療薬について、感染してから短時間内に服用した場合、重症化や死亡のリスクを低下させる効果にとどまるが、ワクチンは感染そのものと、重症化や死亡を抑制する効果があり、ワクチンと治療薬の効果を混同してはならないとする見方もある。
ただ、健康上、ワクチン接種ができない感染リスクの高い人たちにとっては朗報だろう。
なお、ファイザー社は治験の結果に基づき、こうした薔薇色の報告をしているが、合剤である「リトナビル」には以前から下痢や吐き気の副作用が報告されている。今回、ファイザー社は「パクスロビド」については効能ばかり発表し、副作用については報告していない。
米製薬会社は、株価に与える影響を前提に、刺激的な内容を発表するのが常套手段にもなっている。ファイザー社の副社長には元FDA長官が天下っている。
なお、ファイザー社は早急にFDA申請を行うとしているが、11月20日には米メルク社が開発した治療薬「モルヌピラビル」について検討することになっており、ファイザー製の「パクスロビド」も同時に検討されるかは現在のところ不明。検討されなかった場合、1ヶ月遅れる可能性もある。
なお、今回のファイザー製とメルク製の治療薬については、米国が先行予約契約を締結しており、バイデン米大統領はFDAが承認すれば即医療機関に投入すると公表している。
また、EUは感染者がドイツなどで再び急拡大しており、両社と購入について交渉しているという。
イギリスでは感染者増の中ワクチン接種が進んでいるとして7月19日から規制を全面解除、世界に先駆けてWithCoronaに入ったが、毎日3万人以上が感染して、100人以上が死亡している。
そうした国も朗報だろう。
世界では現在も毎日40万人前後新たに感染し、6千人前後が亡くなっている。ワクチン接種も進み治療方法も進化し致死率は下がっているが、最近は昨年の2月同様、欧州を震源地として再び感染者が増加して登り坂を形成しており、感染者の増加により、死亡者も増加している。感染者の増加は、デルタ株より、デルタプラス株より怖い変異ウイルスが発生するリスクが高まり続けることになる。
日本は第6波に向け、これまでの指標を見直しているが、一方で6波来いとまで感染者が多く発生している国からの渡航者の受け入れを大幅緩和するという。
その指標は相変わらず、言葉でコロコロ変えられるように数値をほとんど示していない。
8月東京で医療機関がパニックになっていたとき、確保していた病院の稼働率は60%であった。80%にすれば多くの人の命が救われた可能性は否定できない。患者受け入れで指定された医療機関の経営者たちがガンになっていた。情けないことにマスコミも逼迫した病院ばかり報道し、医師会などのお偉いさんたちに乗せられていた。
スクロール→
新コロナ 世界の感染状況 |
||
累計感染者数 |
250,797,699 |
データはWorldMeter & OurWorldinData |
11月7日感染者数 |
343,754 |
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11月6日感染者数 |
418,953 |
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累計死亡者数 |
5,068,041 |
|
11月7日死亡数 |
4,678 |
|
11月6日死亡数 |
6,391 |
|
累計隔離解除者数 |
227,010,734 |
|
現在感染者数 |
18,718,924 |
|
うち重症者数 |
72,985 |
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11月6日(日)の感染者数の多い国 |
接種完了率 |
|
ロシア |
41,335 |
34.0% |
米国 |
32,479 |
57.2% |
イギリス |
30,539 |
67.2% |
トルコ |
27,474 |
57.8% |
ウクライナ |
25,063 |
18.3% |
ポーランド |
15,204 |
53.1% |
オランダ |
11,954 |
68.9% |
ブラジル |
11,866 |
57.8% |
ベルギー |
10,915 |
73.8% |
インド |
10,879 |
24.5% |
・以上16日に1万人以上新規感染者発生国 |